【登場した遺跡・場所】 アルヒジュル遺跡(サウジアラビア国)
【ヘッポコ絵】 絵だとよく分からないと思いますが、これは墓です。 風に浸食された岩が肉団子のように丸くなっています。 この寂しげにたたずむ岩を削り墓を造ったのですが、正面だけ綺麗に整えてあるのでなんとも奇妙な…だまし絵みたいな光景が印象的でした。
■最初のシーンの岩を見たとき「ナバテア人っぽいな」と思ったらやっぱりそうでした。 彼らはどこへ行っても自分たちの”美学”で建物を造ります。 このアルヒジュルもミニ・ペトラのように、細い道、奇岩、水路、バラ色の岩肌…などなど似ているところがたくさんありました。 その美的感覚はまったくスゴイですが、その美が常に建物の正面だけにしか施されていないのは残念です。 インドのエローラ遺跡みたいに、そのまま後ろも削りだして、一つの建物として作り上げたらもっとスゴイだろうに、どうしてやらなかったのか本当に不思議です。 やはり造っても風で浸食されるだけだから、無駄だと思ったんでしょうね。
■砂漠の街アルヒジュルが栄えた理由は「通行税」だったそうです。 乳香を運ぶキャラバンに宿と水を提供することで税を取る。 商人も助かるし、住人も楽してもうかる。 こうしてアルヒジュルはペトラと並んで繁栄したそうです。 雨が降ると水が一気に遺跡になだれこみ、水路を水で満たしますが、こんな天気頼みの治水方法で大丈夫だったのかな…と思いました。 探せば井戸などもあるんでしょうが、実際、何人ほどが暮らしていたのか気になりました。 サウジアラビアの遺跡自体、あまり紹介されることがないので、位置関係をはっきりさせるために地図を描いてみました。 ペトラはちょびっと北になります。
■その当時の住人?が残した絵が紹介されましたが、シンプルな人間図が多く、これも面白かったです。 ロングドレスを着た人たち。 乳香を運ぶ商人か、それとも街に住む人たちなのか。 割と肩幅がしっかりと描かれているのが特徴かなと思いました。 ナバテア人が残したライオン像やメドゥーサ像(←どうみてもおっさん顔)もありますが、こっちは子供向けみたいな愛嬌があります。
■ラクダの子供を乗せたバンを追う親ラクダのシーンが良かったです。 親子の愛情がたっぷりで、見ていて微笑ましくなりました。 サウジのラクダは太っていて、丁寧に飼育されているのが分かります。 そういえば車が砂にはまって動けなくなったとき、馬に乗ったヒーローがどこからともなくやってきました。 やはり砂漠では馬やラクダが車より重宝するということが分かりました。
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