遺跡馬鹿の番組&雑多感想








 TBS世界遺産 「アルヒジュル古代遺跡」−2012年12月9日
【登場した遺跡・場所】
アルヒジュル遺跡(サウジアラビア国)


アルヒジュル【ヘッポコ絵】
絵だとよく分からないと思いますが、これは墓です。
風に浸食された岩が肉団子のように丸くなっています。
この寂しげにたたずむ岩を削り墓を造ったのですが、正面だけ綺麗に整えてあるのでなんとも奇妙な…だまし絵みたいな光景が印象的でした。



最初のシーンの岩を見たとき「ナバテア人っぽいな」と思ったらやっぱりそうでした。
彼らはどこへ行っても自分たちの”美学”で建物を造ります。
このアルヒジュルもミニ・ペトラのように、細い道、奇岩、水路、バラ色の岩肌…などなど似ているところがたくさんありました。
その美的感覚はまったくスゴイですが、その美が常に建物の正面だけにしか施されていないのは残念です。
インドのエローラ遺跡みたいに、そのまま後ろも削りだして、一つの建物として作り上げたらもっとスゴイだろうに、どうしてやらなかったのか本当に不思議です。
やはり造っても風で浸食されるだけだから、無駄だと思ったんでしょうね。


アルヒジュル砂漠の街アルヒジュルが栄えた理由は「通行税」だったそうです。
乳香を運ぶキャラバンに宿と水を提供することで税を取る。
商人も助かるし、住人も楽してもうかる。
こうしてアルヒジュルはペトラと並んで繁栄したそうです。
雨が降ると水が一気に遺跡になだれこみ、水路を水で満たしますが、こんな天気頼みの治水方法で大丈夫だったのかな…と思いました。
探せば井戸などもあるんでしょうが、実際、何人ほどが暮らしていたのか気になりました。
サウジアラビアの遺跡自体、あまり紹介されることがないので、位置関係をはっきりさせるために地図を描いてみました。
ペトラはちょびっと北になります。


アルヒジュルその当時の住人?が残した絵が紹介されましたが、シンプルな人間図が多く、これも面白かったです。
ロングドレスを着た人たち。
乳香を運ぶ商人か、それとも街に住む人たちなのか。
割と肩幅がしっかりと描かれているのが特徴かなと思いました。
ナバテア人が残したライオン像やメドゥーサ像(←どうみてもおっさん顔)もありますが、こっちは子供向けみたいな愛嬌があります。


ラクダの子供を乗せたバンを追う親ラクダのシーンが良かったです。
親子の愛情がたっぷりで、見ていて微笑ましくなりました。
サウジのラクダは太っていて、丁寧に飼育されているのが分かります。
そういえば車が砂にはまって動けなくなったとき、馬に乗ったヒーローがどこからともなくやってきました。
やはり砂漠では馬やラクダが車より重宝するということが分かりました。

TBS世界遺産

 世界遺産 「エーゲ海が生んだ黄金文明」〜ミケーネの古代遺跡(ギリシア) 2011年10月9日(TBS)
ミケーネ遺跡【登場した遺跡・博物館】
  ミケーネ(ギリシャ)
  ティリンス(ギリシャ)
  デロス島(ギリシャ)
  ピュロス(ギリシャ)
  トロイ(トルコ)


へっぽこ絵
ミケーネ遺跡の全景。
「プロプィティス イリアス山」と「ザラ山」の間にひっそりと建つ遺跡。
とっても規模が小さく、遠目で見たとき、「えっ?これだけ??」と思い、実際に歩いても「これだけか…」と、うっかりつぶやいてしまうほどの狭さでした。
こんな狭いところに宮殿や墓を作った理由をミケーネ人に聞いてみたいです。
広々とした土地がいくらでもあるのに…不思議です。
墓も敷地の外に作れば良いのにどうして城壁の内側…泥棒を警戒して?

しかし古代世界での存在感は半端ないので、名の大きさと住まいの小ささ…そのギャップを楽しむと良いかもしれません。
…が、個人では行きにくいところなのが残念です。

ティリンス遺跡ティリンス遺跡を紹介してくれるというので、ワクワクしながら観ましたが…時間が短く、もうちょっと取り上げ方を工夫して欲しかったです。
まぁ実際に訪問した身としては見どころが特になく、それゆえ扱いに困ったんだろうな…と感じましたが、城壁の美しさや石積み方法など、ネタになる物は色々あるだろうと思うんですが…軽く流されてしまったのが残念でした。
ヘラクレスの生まれた所という伝承も、詳しく解説して欲しかったです。


ミケーネは紀元前1700年頃に生まれました。
シュリーマンが墓を発掘し、黄金がどっちゃり見つかりましたが、特に有名なのが黄金のマスクです。
いろんなマスクが紹介されていましたが、威厳というより「ひょうきん」という表現がふさわしいなと思いました。

ミコノス島のペリカンまで紹介されていましたが、確かにミコノス島は楽しそうです。
デロス島のライオンはレプリカですが、ああやって並んでいると本物みたいでした。
小さいのに山まであるデロス島は興味深いところです。


ミケーネ遺跡の中を紹介するところで、「地下貯水池」が登場しました。
照明とカメラのせいで、とっても美しく、素晴らしい石組みを観ることが出来ました。
しかし、なぜ最奥まで行かず階段の途中でカメラを止めてしまったのか…奥が観たかった私としてはひじょうに残念に思いました。
私も途中まで降りたのですが、「蚊」がひどくて先へ進むことができませんでした。
おそらく同じ理由でカメラマンも降りていけなかったんでしょうね。
画面を凝視すると黒い物体が飛び回っているのが見えました。
まぁ意を決して水辺に行っても、何かヤバイ物が水面を泳いでいる可能性もあるので、あの位置でカメラが止まったのは正解だったかもしれません。
もう少し遺跡が往事の姿をとどめていたら、宮殿跡もそれなりに美しかったんでしょうね。
ピュロス遺跡の宮殿再現図を見ると、当時の人々の美意識の高さを感じられました。


おまけ程度に紹介された「コリントス運河」
私も長距離バスの中から見学しましたが、高さがかなりあって怖かったです。
人の手であの運河を造ったのですからすごいです。

TBS世界遺産

 ■世界遺産−アルタミラ洞窟と北スペインの洞窟壁画−2010年8月1日
アルタミラ■登場した遺跡・場所

アルタミラ洞窟
エル・ベント洞窟
ラパシエカ洞窟
ラス チメネアス洞窟
クロマニヨン人住居跡カスティージョ
エル・カスティージョ洞窟
ペシュ・メルル洞窟


へっぽこ絵
洞窟に描かれた馬の絵です。
ピンと伸びた首、小さめに描かれた足など、独特の味わいがあります。


スペイン北部の洞窟絵
    カンタブリア州のビスケー湾近くに、一列に並ぶように絵のある洞窟が並んでいることを知りました。
    フランスの壁画にはマンモスやライオンの絵がありましたが、スペインの岩絵には、そういった動物が描かれず、牛が多いというのは闘牛好きの血がこの頃からあったのかなと思ったりしました。
    どの洞窟もだいたい1万年前に描かれたモノで、それを描いたのはクロマニヨン人でした。
    クロマニヨン人っていうと北京原人のように今の私たちと世代が違うような感じがしますが、縄文人くらいに思っておくとちょうど良いかも。
    日本の縄文人とスペインのクロマニヨン人を比べるのも強引だけれど、この頃の人たちの芸術に対する冴えは素晴らしいと思います。

天才
    アルタミラの入ってすぐの小部屋に描かれた、うずくまる牛たち。
    言われてみると確かに目がそっくりでした。
    あの天井の牛たちを一人で描いたのだとしたら、よほど描くことが好きな人だったんだろうな〜と思いました。
    まだ専業画家はいないと思われるので、昼は狩りをし、夜や雨の日に洞窟にこもって、絵を描き続けていたんだろうと思います。
    狭いとはいえ、暗い中での作業、おまけに天井に描くとなると、無理な姿勢をとり続けなくてはならないので、相当体に負担をかけたと思います。

    昔の人は健脚だから、この天才も山を越えて、フランスのラスコーへ絵を見に行ったりしたかもしれない…と空想したり、また逆に向こうがこのアルタミラにやってきた可能性もあるかと思います。
    人が動けばモノも動くので、両者を結ぶような発掘品が出土すれば、ますます面白いことになりそうだと思いました。

指絵と吹きつけ
    絵を描く道具として指と吹きつけが紹介されていました。
    鳥の骨に溝をつけ、そこに絵の具を貯め、一気に吹くと噴霧器のようになって、赤い絵の具が均一に手の回りを染めるシーンには感動しました。
    以前、NHKでラスコーの特集をした時は、絵の具を口に含んで、「ぶーっ!」と吹いていたのが、ちょっとカッコ悪かったので、ラスコーよりアルタミラの方がオシャレな感じがしました。

2011年
    人間が洞窟内に入ることで壁画にダメージを与えるという理由で閉鎖されている洞窟が2011年に人数を限って公開する予定があるそうです。
    本物も見てみたいけど、混むんでしょうね…きっと。


TBS世界遺産

 ■世界遺産 エローラ石窟群(インド)−2008年12月28日(TBS)
blo_59.gif世界遺産 エローラ石窟群(インド)−2008年12月28日(TBS)


■登場した遺跡・場所
エローラ石窟群
エレファンタ島


へっぽこ絵

軽やかに踊るシヴァ神を描いてみました。
石窟に彫られたシヴァ神は重量がありますが、イメージとしては風に舞うほどの軽さでヒラヒラ踊っているんじゃないかと思いました。


何度見てもエローラ石窟群は面白いです。
実は今まで、ヒンドゥー教はあまり関心がなかったのですが、今回の放送を見て、ちょっと興味が沸きました。
たぶんシヴァ神と踊りを結びつけてシンプルに紹介してくれたのが良かったのかもしれません。

それと神様が世界の真ん中で踊っているとか、シヴァ神が再生と破壊の二つを司るとか、存在自体がアクティブで、西洋の神様ばっかりに接してきた自分にはすごく新鮮に感じられて、さすがあの熱いインド人が信じる神だと思いました。


ムンバイから1時間ほどのところにあるという「エレファンタ島」は、興味深かったです。
大陸と島が同じ岩盤で繋がっているという解説に驚きました。
いや…言われてみると距離から考えてもありえることなんですが、間に海があると島は島で独立した物体で成り立っていると思ってしまうみたいです。
エレファンタ島の石窟も世界遺産に指定されているそうですが、こっちはこじんまりとした趣のある石窟でした。
島に渡って石窟見物なんて楽しそうだなと思いました。
エローラは乾いた山に囲まれたところにあるので、石窟もカラカラなので、島の石窟ならきっと岩肌もしっとり美肌なんだろうな…と勝手に想像してしまいます。

エローラの見どころは美しい彫刻技術ですが、それ以外にスゴイと思うのは、その技術を連綿と伝え続けた職人一族です。
7世代も寺院建立に携わってきた人たちがいるなんて聞いて本当に驚きました。
インタビューに答えていたオジさんも、父親の仕事を見て覚えたと言ってましたが、石を彫るセンスみたいな物は遺伝子レベルで受け継がれていくのかもしれないな…と想像してみました。

TBS世界遺産

 ■世界遺産 タムガルの考古的景観にある岩絵群−2008年3月2日(TBS)
blo_52.gif■登場した遺跡・場所

タムガルの岩絵群
5つのテントと呼ばれるクルガン(墓)(カザフスタン)


へっぽこ絵
    サカ王の墳墓と、それを取り巻くメンヒル(立石)を描いてみました。
    ヨーロッパのメンヒルと違って、こっちは明らかに墳墓の飾りという印象でした。

総評
    峡谷の岩壁に彫られた絵はそれほど珍しくはないですが、この地形を目にするとちょっと驚きでした。
    昔は川が流れ、緑も多く、農業を営むことができたそうですが、今は風と枯れ草しか目に入ってきません。
    岩絵に描かれている動物は牛や鹿などの大きな動物ですが、彼らを養うだけの緑が今や消えてしまっているのが残念です。

タムガルの岩絵
    一番キラキラと輝く面を探して絵を刻んだと言っていました。
    やっぱり昔の人も見栄えを気にしていたんですね。
    絵は平面的で雑に見えますが、尻尾をつけたシャーマンを見ると、一つ一つの絵に意味が籠められていることを感じます。
    「太陽神」は、分かりやすかったです。
    太陽は世界中の誰が見ても、丸くて炎が上がっているように見えるんですね。
    岩の中でも一番高いところに刻まれていた太陽は堂々としていて、まさに神でした。
    ただ風化のせいか、一部切れていたのが残念です。

    この岩山に5000点もの絵が残されているそうです。
    今から3500年前から刻まれ始めたそうなので、1年に1個は誰かしら彫っていることになりますね。凄いな〜。

5つのテントと呼ばれるクルガン(墓)
    乾いた草原にポコポコと並ぶ古墳は印象的でした。
    ほとんどの古墳は盗掘されて何も残されていなかったそうですが、サカ王の墓だけは奇跡的に盗掘を免れ、手つかずのままだったそうです。
    王の墓所から発掘された金の衣装は美しかったです。
    この辺りに住んでいたのはトゥルクと呼ばれる遊牧民だったそうですが、彫金の技術が素晴らしかったです。
    黄金の板に鹿を透かし彫りし、その体に宝石を埋め込んだ装飾品は実に見事でした。
    おもわず「美しい〜」とため息出ました。

    土山を取り払った写真が紹介されましたが、内部は木組みでした。
    トルコにあるミダス王の墓も確か内部は木組みだったので似ているなと思いました。
    写真の木組みは無惨な姿になってましたが、当時はこれだけの木材を調達できたんですね。

blo_52.gifクルガンの遺骨
    発掘現場には2つの四角い墓穴が口を開けてました。
    壁面に刻みかけの絵が残っていました。
    二人の人間が向かい合い、神に祈るようなポーズをしていました。
    なんとも控えめな祈りに、埋葬者の人柄が浮かんでくるようでした。


TBS世界遺産

 世界遺産:マルタの巨石神殿群 ☆-2007年7月22日(TBS)
世界遺産:マルタの巨石神殿群 ☆-2007年7月22日(TBS)
■登場した遺跡・場所

(どの神殿もだいたい5,600年前のモノです)
ハジャー・イム神殿
ターシュン神殿
イム・ナイドラ神殿
ハリ・サフリエ(地下神殿)
神殿時代の貯水池
ジュガンティーヤ遺跡(ゴゾ島)


blo_39.gifへっぽこ絵
この話は知らなかったので驚きました。
太陽光線が穴を通るのか…。
私が持っていたガイドブックには、ここから壁の裏にいる人と話をしたと書いてあったので、そう信じてました。


総評
    マルタ島に残る世界最古の神殿を紹介していました。
    神殿の紹介は空撮などを多用して見応えがありましたが、ちょっと上っ面をなぜただけで終わっていたのが残念です。
    せっかく番組の冒頭に「眠れる巫女」の像を撮していたのに、あまりそのことに触れていませんでした。
    マルタ神殿のキモは巫女による神託です。
    それも眠りながら神の言葉を告げる巫女が大人気だったのですから、その辺のことを研究員の人にもっと聞いて欲しかったです。せっかく英語が分かるスタッフが同行しているんだろうからさ。

    ここで生まれたシステムがやがて神託の世界基準になっていくと思うので、巫女と遺跡の関係を深く掘り下げることは意味があると思います。


天体と遺跡
    マルタの遺跡が太陽の運行を意識して建設されたことは、今回、初めて知りました。
    そうか〜、この頃から人は太陽の動きに興味を持っていたんですね。
    マルタ島は地中海と言ってもアフリカのような気候なので、昼は暑く、夜は寒い。
    なんとなく一年中同じような気候なので、そんなに天文観測する必要もないだろうと思ってました。
    でも違うんですね。
    やっぱり人間は空のことが気になるのだと実感しました。



遺骨
    7000体もの遺骨が見つかり、調査したら、どうやら当時の人は栄養状態が良かったと先生が言ってました。
    ということは、太った女性は意外と多く、豊満さが決して貴重なモノではないという証になるかもしれないな〜と思いました。
    たとえば民が太った女性を崇拝するのは、自分たちも腹一杯、飯を食えるようになりたい、豊かになりたいという願望のあらわれ…というのがありがちな解釈ですが、なんかマルタは、それとは違うように思いました。
    飯も大切だけれど、母親の持つ優しい愛情を崇拝していたような…そんな印象です。
    遺骨の埋葬方法は身分の差がなかったとも先生は言ってました。
    指揮をする人間がいないと、あれだけの神殿を建てるのは難しいとは思いますが、マルタなら本当に階級もなく、互いが兄弟のように仲良くしあって生きていたような気がします。
    まぁ、そうしないと狭い島で生きていくことは難しかったと思います。

TBS世界遺産

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