遺跡馬鹿の番組&雑多感想








 世界遺産:マルタの巨石神殿群 ☆-2007年7月22日(TBS)
世界遺産:マルタの巨石神殿群 ☆-2007年7月22日(TBS)
■登場した遺跡・場所

(どの神殿もだいたい5,600年前のモノです)
ハジャー・イム神殿
ターシュン神殿
イム・ナイドラ神殿
ハリ・サフリエ(地下神殿)
神殿時代の貯水池
ジュガンティーヤ遺跡(ゴゾ島)


blo_39.gifへっぽこ絵
この話は知らなかったので驚きました。
太陽光線が穴を通るのか…。
私が持っていたガイドブックには、ここから壁の裏にいる人と話をしたと書いてあったので、そう信じてました。


総評
    マルタ島に残る世界最古の神殿を紹介していました。
    神殿の紹介は空撮などを多用して見応えがありましたが、ちょっと上っ面をなぜただけで終わっていたのが残念です。
    せっかく番組の冒頭に「眠れる巫女」の像を撮していたのに、あまりそのことに触れていませんでした。
    マルタ神殿のキモは巫女による神託です。
    それも眠りながら神の言葉を告げる巫女が大人気だったのですから、その辺のことを研究員の人にもっと聞いて欲しかったです。せっかく英語が分かるスタッフが同行しているんだろうからさ。

    ここで生まれたシステムがやがて神託の世界基準になっていくと思うので、巫女と遺跡の関係を深く掘り下げることは意味があると思います。


天体と遺跡
    マルタの遺跡が太陽の運行を意識して建設されたことは、今回、初めて知りました。
    そうか〜、この頃から人は太陽の動きに興味を持っていたんですね。
    マルタ島は地中海と言ってもアフリカのような気候なので、昼は暑く、夜は寒い。
    なんとなく一年中同じような気候なので、そんなに天文観測する必要もないだろうと思ってました。
    でも違うんですね。
    やっぱり人間は空のことが気になるのだと実感しました。



遺骨
    7000体もの遺骨が見つかり、調査したら、どうやら当時の人は栄養状態が良かったと先生が言ってました。
    ということは、太った女性は意外と多く、豊満さが決して貴重なモノではないという証になるかもしれないな〜と思いました。
    たとえば民が太った女性を崇拝するのは、自分たちも腹一杯、飯を食えるようになりたい、豊かになりたいという願望のあらわれ…というのがありがちな解釈ですが、なんかマルタは、それとは違うように思いました。
    飯も大切だけれど、母親の持つ優しい愛情を崇拝していたような…そんな印象です。
    遺骨の埋葬方法は身分の差がなかったとも先生は言ってました。
    指揮をする人間がいないと、あれだけの神殿を建てるのは難しいとは思いますが、マルタなら本当に階級もなく、互いが兄弟のように仲良くしあって生きていたような気がします。
    まぁ、そうしないと狭い島で生きていくことは難しかったと思います。

TBS世界遺産

 NHKスペシャル:失われた文明 インカ・マヤ アンデス・ミイラと生きる〜 ☆-2007年7月1日(NHK)
■登場した遺跡・場所

マチュピチュ(ペルー)
モライ(ペルー)
イロの砂漠の墓地(ペルー)
カルラさん(エルナンデス家の祖先のミイラ)
クスコ大学考古学博物館
チャチャポヤス地方の断崖墓


blo_38b.gifへっぽこ絵
カルラさんに挨拶するエルナンデスさんです。
インカ時代のミイラらしいですが保存状態がとても良く、私も挨拶しに行きたくなりました。
ドミンゴさんの奥さんは幼少の頃、重い病気になり命が危なかったそうですが、その夢枕にカルラさんが立ち、病を治してくれたそうです。
インカのミイラにはそんな力があるんですね。
ドミンゴ夫婦は片道2時間かけて通い、何かあるたびにカルラさんに相談しているんだそうです。


総評
「ミイラ」という切り口でアンデス文明を再考察している点が、とても新鮮でした。
今までアンデス文明を紹介する番組というと、マチュピチュや地上絵、チチカカ湖や黄金など遺跡や遺物ばかりだったので、視聴者は今度の番組を観て、インカ文明が実はミイラ大好き文明と知って驚いた人も多かったと思います。
文字を残さなかったインカ人(…というかアンデス全域も含めて)が死後の世界をどんな風に考えていたのか…。
今回の番組でそれが少し分かったような気がしました。
死んだ子供があの世でひもじい思いをしないようにと食べ物を満たした食器を捧げていたのは、死んでも今と同じ生活が続くと信じている証拠だと思いました。
エジプトのミイラ信仰と似ていますが、エジプトでは埋葬することで死者にゆっくりあの世を楽しんでもらおうという気持ちを感じますが、アンデスの人は共に生活したい、いつでも会いたいという発想になるのは興味深かったです。


おもしろ「アニメ」
宣教師ワマン・ポアが残した絵を使ってのアニメーションは面白かったです。
色なしで地味なんですが、手足がバタバタと良く動き、特に王のミイラを腰に乗せて運ぶ家来の様子がユーモラスで印象的でした。
もちろん、インカ人をイメージさせる役者『幻影』さんも花を添えてくれますが、アニメの方が強烈でした。


インカの王は真っ黒け
インカでは遺体にタールを塗り、薄い金の板で目を覆い、服を着せて祀っていたそうです。
タールは防腐剤の役割もしていたと思いますが、ちょっと想像するだけでも怖いです。
スペイン人が王のミイラを処分してしまったそうで、実物を一目見たいと思っている私は凄く残念に思います。


blo_38a.gifインカと他民族の争い
チャチャポヤ族とインカの闘いが、実は遺骨とミイラの争いでもあったことは、とても興味深かったです。
一般的に他民族を征服した場合、自分たちが信じる「神」を押しつけるモノですが、インカはミイラを押しつけたとは!
先日、大平秀一先生の講演で聴いたのですが、インカが太陽神を信じていたというのは宣教師が書いた本の中のことで、実際は違うというようなことをおっしゃってました。
確かにチャチャポヤ族に残していったのはインカのミイラだけで、特に太陽神を信仰するように…なんて押しつけはなかったように思います。
インカが何を信じ、どうやって回りの地域を征服していったのか…まだまだ課題が残っているように思いました。


雪山で見つかった3体の子供のミイラは痛ましかったです。
すごく保存状態が良くて、皮膚の様子もまったく変わっていなかったです。
アニメで最後の瞬間を描いていましたが、死の意味も分からずに死んでいく様子には涙でした。

大平秀一先生:東海大学文学部アメリカ文明学科准教授

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