2012年3月3日〜3週間上映
【登場した洞窟】 ショーベ洞窟(フランス−アルデシュ県) 発見されるとすぐに封印された洞窟。
【へっぽこ絵】
馬の絵が多いのです。 そしてどの馬も瞳が描かれていません。 まぶしそうに目を細めているのです。 この穏やかな微笑みがすごく魅力的です。 反対にライオンは瞳が点だけなのに、すごく凶暴さが出ていて、画力のすごさを感じました。
【ショーベ洞窟とは】 発見は1994年。 一番古い壁画は3万2000年前のモノです。 墨一色で描かれた動物たちは、線だけのモノ、体が塗られたモノなど、色んな表現方法で生き生きと描かれています。
■総評 貴重な絵を守るため、電池式の熱を発しないライトを使って撮影するのでスタッフも大変だったと思いますが、残念ながら私が期待したほどの「質感」は出ていませんでした。 洞内の湿度や絵を覆う水分を感じたかったのですが、やはり3Dであっても再表現には限界があるんだなと思いました。 しかし洞窟という狭さを体感するには3Dはすごく効果的な手法だと思いました。
■驚きの洞窟 洞窟の長さはそれほどないのですが、絵の量が多く、見応えがたっぷりありました。 サイ、馬、ライオン、マンモスなどなど、色んな動物が描かれていて、その種類の多さにも驚きでした。 難しい技術のことは分かりませんが、迷いのない一本の線で描き上げた動物を見ていると、まるで禅僧の筆づかいみたいだなと思いました。 心に浮かんだイメージを一気に形にする…旧石器時代の人が壁を前に息を整えている姿が浮かびました。 一ヶ所、奥まった壁に大きな馬の絵が描かれていました。 普通、奥まった場所は絵がみっちりと絵がかれたりする事が多いのですが、この場所だけは、この一匹の馬だけしか描かれていないようでした。 これは「神馬」なのではないかと思いました。
■赤い手のお兄さん 小指の曲がった、ちょっと印象的な手相を持つ人間が壁面に手形を残していました。 この人が絵を描いたとしたら、きっと誇らしげに手を岩に押しつけたのではないかと思いました。
■ホラアナグマ フランスの岩絵を見に行くと、ホラアナグマの爪痕を良く目にしますが、絶滅した種だということを初めて知りました。 熊は暗闇が怖くないのかと爪痕を見ながら思ったのですが、鼻が利くから暗くても問題ないんでしょうね。 ホラアナグマの頭蓋骨が置かれた石は、確かに他の石とは違っていました。 頂上を平らに削り、祭壇のように磨かれた石の台は、古代人にとって特別意味のある場所になっていたと思います。 動物をうやまうことで、再生を願っていたのかなと思いました。
■【古代人にとって洞窟とは】 洞窟には女性のシンボルが描かれていることが多いので、「再生」や「復活」そして「豊穣」を祈願する場として洞窟を利用したというのが一般的な解釈ですが、私はそれに「遊び場」の要素もあったんじゃないかと思っています。 実際、自分が洞窟に入る時に感じるワクワク感は、遊園地のお化け屋敷に入る時と同じです。 古代の人も遠くから洞窟の評判を聞きつけて訪問したのではないでしょうか。 普通はたいまつが燃え尽きる時間だけしか入れないところを、入口を守る管理人に干し肉をいくらか渡し、多めに灯火用の油をもらい、じっくり楽しむ古代の絵好きもいたように思います。 古代人は生活に追われて楽しむことを知らないみたいに思うこともありますが、なんでもかんでも宗教施設として片付けてしまうのは違うように思います。
■【3Dはすごいけど、疲れる】 現地に行かなくても、洞窟に入らなくても、まるで自分が洞内にいるかのような体験が出来るのではないかと、ワクワクしながら映画を観たのですが、ぶっちゃけ3Dは疲れました。 奥行きのある映像は確かに迫力ありましたが、ちょびっと乱視気味の私はピントを合わせるのが大変でした。 今回、クリップ式の3Dメガネを購入して使ってみました。 今までメガネの上にメガネを載せていましたが、これで多少は重さが解消されました。
■劇場で売っていたパンフレット(600円)とクリップ付き3Dサングラスです。 ショーベ洞窟の資料を日本で買うことはほぼ不可能なので、これは貴重なパンフです。
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