■ 好奇心の大天才!!  ・寄稿文



    『こちら葛飾区亀有公園前派出所−123巻』 に掲載された巻末コメントです。


    この123巻は21世紀最初の発売ということで、表紙がじつにおめでたい装丁となっています。
    タイトルが金文字で「こち亀」。絵はキャラの七福神!
    凝った作りはさすが秋本治師匠です。

    それだけ気合いの入った123巻の巻末コメントを高橋先生が担当するということは、両先生の熱いつながりが想像できます。

    巻末コメントには高橋先生が描いた”王様の髪型をした両さん”が載っています。
    すごく似せてあるのがよけいに笑いを誘います。


    『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
    作者:秋本治
    出版元:集英社
    123巻−2001年1月11日発行




      【巻末語録】

      好奇心の大天才!!

      漫画家
      高橋和希


      あ〜〜〜思い起こせばこの四年間、連載とゆう名の旅は、僕にとって気の遠くなるような長い道のりであり、毎日が原稿との格闘の日々……(ジーン…)……そんなこんなで「遊戯王」の単行本22巻が出ました!ヨロシクね……って違〜〜う!! (宣伝してどーする!!)

      ☆☆☆こち亀 123巻…!!☆☆☆
      そう…遙か彼方に聳え立つ金字塔!!
      秋本先生の血と汗の結晶の塔だ!!
      あの場所までの距離はおよそ百巻分だ!!
        もう休もう……

      「あの塔からほとばしるオーラは何だ!?」
      「果てしなく天に積み上がっていくエネルギーは、どこから来るんだ!!!」
      僕は腰をおろし膝をかかえて考える。
      耳を澄ますと声が聞こえてきた……
      それは好奇心の声だ!! 元気で純粋で無邪気な笑い声だ!! その声は塔の中から聞こえてくる……!!

      「昔…誰もが持っていた声、僕も今は声変わりしちゃったかもなぁ…」
      大切な宝物をもらった気がした。腰を上げ僕は歩き出した。別の場所に向かって……。
      自分の旅の到達地点はすぐ近くかもしれないし、もう少し遠い場所かもしれない。
      ……ふと塔に目をやった…
      塔のてっぺんの窓で…子供の秋本先生が微笑っていた。




      【所感】
      最初に読んだ時、自本の宣伝をする先生に「?」と思い、謙虚な人なのにめずらしいなぁ〜と思いました。
      悪ふざけをしているような感じにも思えました。

      が、しかし!! 何度か読み返すうちに、これは「秋本先生と自分の差をさりげなく紹介することで、秋本先生の偉大さを強調しようという捨て身の戦法!!」と気がつきました(笑)

      気になるのは、『腰を上げ僕は歩き出した。別の場所に向かって……。』のトコロ…。
      2001年といえば、原作はいよいよバトルシップ浮上の頃だったり、アニメはペガサスとのラストバトルだったりで、先生自身も転換期に当たっていたのかな〜と思ったりします。

      秋本先生が子供のような無邪気さで作品を作り続ける姿に高橋先生は憧れつつも、遊戯王の世界を広げるために企業と手を組んで大人の道を歩き始める決意を決めた…そんな後ろ姿を想像しました。
      そう思って読み直してみると、最初の印象とは全く違うコメントが浮かび上がってくるように思えます。




和希の素・語録