■ 遊んでる?−21世紀を楽しむために  ・インタビュー



    このインタビューは、「遊んでる?−21世紀を楽しむために」 の連載で紹介されたモノです。

    この 『遊んでる?』 は
      世の人たちがどんな遊びをしているのか?
      どんな遊びを求めているのか?
      そして遊びの中でどんな悩みを抱えているのか?
    というようなことを掘り下げるために企画されたモノです。
    ネットと紙面の両掲載という気合いの入った企画のせいか、反響も大きかったようです。

    連載の記事候補リストに 「『遊戯王』カードブーム」というタイトルがあるのですが、実際の紙面には以下の大見出しが踊っています。

      「遊び」は自己確認の場所
      1250万部/ゲーム人口400万人/売り上げ600億円

    2000年4月からテレビ東京系列でアニメも始まり、向かうところ敵無し!というブームを生み出した作者とはいったい何者なのだろう?…ということで、記者が高橋先生にインタビューをお願いしたみたいです。

    【インタビュー】
    朝日新聞家庭面2000年12月21日より引用
    【関連記事】
    朝日新聞 2000年12月10日,18日より引用





      【隠れたテーマは「自立」】

      「遊戯王」作者 高橋 和希氏インタビュー
      隠れたテーマは「自立」

      小学生から中学生にかけての男の子に圧倒的な人気になっている漫画「遊戯王」
      「週刊少年ジャンプ」で連載され、単行本は21巻までで計1250万部が売れた
      漫画から派生したカードゲームの競技人口は推定400万人、売り上げは600億円近い
      なぜ、「遊戯王」の世界が今の少年たちの心を捕らえたのか
      初めてマスコミのインタビューに応じた、作者の高橋和希さんに聞いた


      ―「遊戯王」を書こうと思ったきっかけは。
        少年漫画のモチーフはやっぱり勝者と敗者がくっきり分かれる「戦い」だろう、と思った。
      でも、僕はあまり殴るけるが得意じゃないんで、ゲームはどうだろうか、と考えたんです。

      ―最初はヨーヨーやパズルなどが中心で、カードには力を入れていませんでしたよね。
        そう、当初はゲーム全般を考えていたけれど、カードを登場させた時に読者の反応がすごくよかった。
      編集部にも「あのカードはどこで売ってるんですか」という問い合わせの電話がジャンジャンかかってきて、それでカードが中心になってきたのです。

      ―なぜ、今の少年たちに、遊戯王カードがこんなに受け入れられるのでしょうか。
        遊びって、本来自己確認の場所だと思うんです。相手の出方を見て、自分が見えるというのが友達関係の基本。テレビゲームは反応が一つしかない、それに子どもたちが飽きてきて、もっと生きた反応を求めていたんだと思う。

      ―高橋さんの好きな遊びはなんですか。
        テーブルゲームはたいてい好きですね。トランプとかマージャンとか。
      そこに会話があって、駆け引きがあって。中でもカードゲームが好きです。
      カードを念じながら引いてくるときの触感って、相手が一枚の紙なのに、じっとりとか、すっととか、とても多様。漫画の中でも、主人公の少年・遊戯がカードを引く動作は、最も神経を使って描いています。

      ―先行ヒットのポケットモンスターは意識しましたか。
        世界観を全く変えようと思い、現実感を出しました。
      いじめがあったり、遊戯の友達の城之内君が酒好きのお父さんから虐待を受けていたり。
      カードからモンスターが出る場面や、デュエル(決闘)の場面以外は地に足をつけた話にしています。

      ―作品に込めたメッセージはなんですか。
        まず第一に、仲間、友達を作れ。
      本来、決闘は一対一でするものですが、遊戯王の中では、タッグやチームでの対戦が出てくる。
      一人なら負けちゃうけど、友達と一緒なら勝てるかもしれない。連帯ってすばらしいという期待を込めて描いています。

      ―時に一人で戦わなければならないこともある。
        もう一つ、隠れたテーマは「自立」です。
      作品の中では遊戯のおじいちゃん以外の大人は全部悪者にしています。
      今の大人、特に親は子どもを囲い込みがちで、子どもはなかなか自立心を培えない。
      子どもだけの楽しみだったはずのカードに大人が口をだすのは、僕はあまり望んでいなかった現象です。
        物語では、城之内君が遊戯の手助けを拒否したり、直接対戦する場面も作ったりしました。
      友達とタッグも組むけど、ここはおれ一人で自立して戦うんだ。人生の中でそういう局面は必ず出てくる。そんな時に子どもたちが遊戯王を思い出してくれたら、うれしいです。


      『カードという形態に愛着、ありますよ。だって仮面ライダーカード世代ですから』





      遊戯王現象


          1996年10月から週刊少年ジャンプで連載が始まった。
        いじめられっ子の主人公・遊戯が、ある立体パズルを組み立てたのをきっかけに、ゲームに強い別の人格を持つようになる。
        遊戯は城之内、本田、杏子(あんず)ら級友と結束し、ライバルの海馬瀬人(かいばせと)ややみ組織グールズの使徒とカードゲームで争う。

        レアカードを求めて子供たちは今日もカードを買う

        作品の中に登場するカードをゲームソフト会社コナミが99年2月に発売、人気となった。
        ルールは、自分の集めたカードの中からよりすぐった約40枚のセットをつくり1対1で戦う。カードに書かれてある攻撃力の点数で相手の持ち点、8000点(ライフポイント)をゼロにした方が勝ち。
        魔法カードやトラップ(わな)カードなど特殊な効果のカードが多く、攻撃力の高いカードを使うだけでなく、戦略が重要だ。
        5枚1袋150円だが、購入時にどんなカードが入っているかわからないため、めったに入っていない「レアカード」を引き当てるために、子どもたちが競って買い集める社会現象に。
        99年8月には、東京ドームでの限定カード発売会に4万人が詰めかけ、発売が急きょ中止された。
        2000年4月からはアニメがテレビ東京系で放映され、ファン層が幼稚園児にまで広がった。



        読者から寄せられた反響(大人のみ)

        ■レアカードの売り買い&取引についての批判
        ■カードをめぐる盗難、無理矢理の交換、カードを持っていないと仲間外れにされる等、人間関係のこじれ。
        ■ルールが難しく、ゲームというよりコレクションのためにカードを集めている感じがする。企業の態度も問題。




      【所感】
      高橋先生が初めてマスコミのインタビューに応じた記事です。
      発表された記事には顔写真とカードゲームに興じる子供達の写真も載っていました。
      考えてみれば4年たっても相変わらず人気が続いているという事は本当にスゴイですよね。
      ファン層が幼稚園児にまで広がった…とありますが、『大人』という言葉も含めて欲しかったです。


和希の素・語録