■ 第37回8月期ジャンプ天下一漫画賞審査結果  ・講評 ・ムテキマン



    現在、『ボボボーボ・ボーボボ』をジャンプに連載中の澤井啓夫さんが『ムテキマン』で入賞しています。

    週刊少年ジャンプ:1999年47号より引用




     ★高橋賞−SHOW TIME(鈴木 愛・作)

      遊戯のここがポイント!

      オリジナリティーを出していけ!!−高橋先生も絶賛!

      絵・コマ割のセンス、人物の表情の出し方など、作画の技術は高い。ストーリーも良くまとまっていて、最後まで読者をひきつける力がある。
      ただ、絵はどこかで見たような感じがするし、ストーリーにも目新しさが足りない。
      独自性をどう出していくかが今後の課題だ。


     THE TAIL WAGGING
       〜オレと兄貴と落魂鏡(坂井太陽・作)

      遊戯のここがポイント!

      独自の設定に説得力を持たせろ!!

      画力は非常に高いし、ストーリー展開にもテンポの良さが感じられる。
      隠密・落魂鏡(らっこんきょう)など、オリジナリティーを打ち出している点も評価できる。
      しかし、読者に対して、その独自の設定を納得させるだけの説得力が欠けている。
      勢いがある展開だっただけに残念。


     トトカルチョ(内海 悟・作)

      遊戯のここがポイント!

      キャラクターを魅力的に描け!!

      設定やストーリーに無理がなく非常に良くまとまっているという印象を受ける。
      その反面、ステレオタイプで盛り上がりに欠けるのも事実である。
      また、主人公が周りに動かされすぎていて、キャラクターが弱い。
      今後、主人公を魅力的に描けるかどうかがカギだ。

      ステレオタイプ:ありふれたやり方。きまりきった型。(国語大辞典(新装版)・小学館)


     スターダスト(内田朝陽・作)

      遊戯のここがポイント!

      ストーリーが破綻しない設定を!!

      画力はかなり高い。構図やコマ割も上手く、読者をひきつける絵が描けている。
      ストーリーは、基本的な設定に不明な点が多い。
      なぜ竜がペットなのか、どうしてビルに妖怪がいるのか…、疑問な点が多いせいで話に入っていけない。
      ストーリーが破綻しない設定を心掛けろ。


     ムテキマン(澤井啓夫・作)

      遊戯のここがポイント!

      単なる”雑”にならない画力をつけろ!!

      絵は個性があるともいえるが、やはり雑さが目立ってしまう。
      個性的なのはいいが、キャラの動きや表情が描けていないのは少々つらい。
      しかし、キャラクターの個性の強さ・勢いがそれをカバーしている。
      ストーリーはないに等しいが、そのパワーで笑わせる。
      画力UPがカギだ。


     奇術師オキト(はちもり よしえ・作)

      遊戯のここがポイント!

      アイデアにリアリティーを持たせろ!!

      マジックをテーマに選んだ点は目の付けどころがいい。
      マジックを武器にしたヒーローという発想もおもしろい。
      しかし、肝心のマジックシーンが盛り上がらない。
      マジックの見せ方にリアリティーがないからだ。
      アイデアにリアリティーを持たせるだけの研究と見せ方が必要だ。


     死神様の花咲か日記(天野洋一・作)

      遊戯のここがポイント!

      キャラクター設定をしっかりと!!

      キャラクターの表情がていねいに描かれていて好感が持てる。
      主人公の死神という設定ももっと生かして、長所や短所を明確にすれば、キャラが立つ。
      また、主人公とその他のキャラの絡みをもっとていねいに描けば、ストーリーに深みが出る。
      17歳という若さに期待。


     幸せくん(山形正志・作)

      遊戯のここがポイント!

      理屈っぽくならないストーリー展開を!!

      絵は独特のフォルムで好き嫌いがはっきり別れるところ。
      ロボットが幸・不幸を調整するという発想はおもしろいが、途中から展開が理屈っぽくなってしまったのが残念。
      やや重いテーマなだけに、暗くなったり、説教臭くなったりしないような展開を心掛けろ。





     高橋先生総評

      全体的に、画力や構図・コマ割などの作画テクニックの高さには驚かされました。
      また、ストーリーを最後までまとめ上げるという意味で、構成力がある作品も多かったように思います。

      「まとまっている」反面、個性的な作品、元気のある作品が少なかったのはちょっと残念です。
      今回は将来性を感じる作品が多かったと思います。




    和希の素・語録