■ ING!ラブボール!!  ・語録 ・批評



    高橋先生の入賞作です。

    昭和55年度下期 第8回小学館新人コミック大賞入選(少年漫画部門)
    正賞:特製メダル、副賞:賞金20万円

    週刊少年サンデー:1981年31号より引用




      【予告&あおり】

      ■予告(掲載30号)
        強力新人出現!30ページ!!
        モテない高校生トリオがまきおこす、学園大混乱騒動!
      ■あおり(掲載31号)
        元気いっぱいの大型新人登場
        おちこぼれ三人組が引き起こす、学園大騒動!


      【ページ横語録】

      「受賞のことば」
        前々から夢みていた賞に入って、ともかく喜びがいっぱい。
        さっそく次の作品に取り組んでいるところですが、いろいろ作品上の注意されたところがあるので、悪戦苦闘しています。
        でも、まだ若いし、思い切ってやれるところまでガンバります。
        よろしく。



      【27号掲載:入賞作講評】
      見よ!これが期待の新人たちだ!!

      【ストーリー紹介】
        いつも、ふられてばかりいる男三匹。
        今度は、サッカー部の女マネージャーに猛アタック。
        ところが、女の子のほうは、サッカー部キャプテンに横恋慕。
        そのうえ三人のほかにもまだ一人、ライバルがいたもんだから、大変なことになってしまって……!?

      (赤塚不二夫先生より)
        見やすい絵のタッチです。
        でも、なんとなく、ストーリーが平凡です。
        もっと、ストーリーづくりを主体にして描けば、大いにのびると思うな。
        もっと主人公の感情をこまかく描いてほしかった。
        こんな時、こいつは、どんな顔をするのだろうと、イメージをふくらませてごらんなさい。


      (梅図かずお先生より)
        せっかく、三人が主人公格で登場してくるのだから、もっと性格をハッキリと描きわけてほしかった。
        だれだって、顔がちがうように、一つの物ごとをなしとげようとするときに、思いつく手段はちがうはずです。
        そのちがいが絵にでてきて、ストーリーが進展していくのです。
        作品は、その積みかさねなのだと思います。
        アングルには、工夫のあとが見られます。
        けれども、もっと見やすい背景の処理法を考えてください。
        せっかくのキャラクターが、動きにくくなってしまいますよ。


      (斉藤次郎先生より)
        コメディータッチを重視するあまり、絵がラフになっています。
        そのため、よく注意して読まないと、作者の主張がわかりません。
        主人公たちの行動を、もっと整理したらよかったのに。
        シーンごとに、登場人物へのスポットのあてかたに、もっと工夫するべきです。


      (藤子不二雄先生より)
        若々しさをおおいに買います。
        荒けずりなタッチが、新鮮に見えて好感をもちました。
        ただ、一シーン一シーンのつなぎがうまくいってなくて、そのため、ストーリーが複雑になってしまって、ちょっとソンをしたみたいです。
        ストーリーとか、人物を整理してかかれば、もっとよい作品になったと思うな。


      (松本零士先生より)
        画風が、内容にピッタリあった作品。
        高校生っぽい、ラブコメディーのタッチが、よくでています。
        ただ、動きを見せようとするあまり、コマ割がせせこましくなってしまっています。
        読みやすく描くことはプロの努めです。
        わかりやすい絵をわかりやすい構成で描くことに留意してください。
        読者を疲れさせないことも、またプロ作家の努めですぞ。


        【授賞式内容&先生の写真】

        ■新人コミック大賞の受賞者が、勢ぞろいしました!!(31号掲載)
          新しい感性、すぐれた才能、この二つこそ、少年誌愛読者が待ち望んでいるものです。
          特に、目がこえてる…といわれる少年サンデー読者に挑戦しようと、第八回小学館新人コミック大賞に集まった投稿原稿は、なんと九百余編。審査結果は、すでに発表発表したとおりです。
          さて六月八日、はれの入賞者をむかえて小社にて表彰式が行われました。賞状とメダルの授与のあと、小学館発行のコミック雑誌の編集長が、それぞれ受賞者のみなさんに対して祝辞をのべました。

          当賞出身の、いまや大人気作家石渡治、岡崎つぐおの両先生も先輩として激励のあいさつ。
          早くもライバル意識が…ってところもあって爆笑をさそいました。

          さて、二次会。
          本誌スタッフ総参加の会食。
          あちこちでまんが論などを展開するムキもあって、受賞者諸君の意欲のほどがうかがわれました。

          ”新人作家の育成にかけては一番”と少年誌界の折りがみつきの当サンデー編集部。
          先輩作家に続こうと懸命の新人たちと一緒になって、すばらしいまんがをつくってゆきたいと思います。
          ご声援ください。編集部


        入賞メダルを手に、石渡先生と岡崎先生を囲む、受賞者のみなさん。




        【所感】
        先生の作品が世に出た最初です。
        ずいぶんと立派な先生たちに批評してもらっていて驚きました。

        作品は絵のうまさ、テンポなど、とても新人とは思えないレベルでした。
        内容は人情ドラマで、ヒロインの切ない恋心など、とても良く描かれていたと思います。



        和希の素・語録