遺跡馬鹿のイベント潜入記

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ルーブル美術館所蔵古代エジプト展

ファイル 10-1.jpg L'HOMME EGYPTIEN D'APRES LES CHEPS D'CEUVRE DU LOUVRE
ルーヴルのエジプトコレクション、日本初上陸!

ルーブル美術館所蔵古代エジプト展

東京都美術館で開催 2005年8月2日~10月2日まで


▼夏休み真っ盛り! きっと過酷な展示会になるかと戦々恐々でしたが意外と空いてました。
やはり昨今のエジプト展ラッシュにお客もそろそろ食傷気味になってきたのでは…と思いつつ、老若男女が歩き回る会場を見ていると、相変わらずエジプト人気は健在だと思うし、やはり魅せるモノが多いので、満足な顔をして会場を後にする人が多かったです。

フランスは未到地なので、今回の展示はワクワクしていたのですが、いやぁ~主催はガンバってくれました。
大きな石像物がドカドカと展示されていて、「運送費は大丈夫なのか!?」と心配になるほどでした。
この遺物の巨大感、圧迫感は近頃の展示会にはなかったので、拍手喝采でした。


大絶賛したいのは、展示の方法です。
望み続けた「案内板のサイズと掲示位置」が理想通りの形だったので感動しました。
案内板の文字数も適量で、大きさも見やすく、とにかく展示品の上にきちんと掲示してあるので、人の頭ごしでも充分に読むことができました。
今まで展示物の下に置かれた、小さな文字で書かれた案内板を読もうとお客どうしが頭突きしあっていた現状を見てきただけに、このスタイルを今後も他の展示会で使ってくれるといいなぁ~と心から思いました。


■今回の入り口は…


チケットに印刷されているルーヴル屋敷の写真が正面に飾られていました。
で、その前にガラスのピラミッドを配置。見た目はチケットと同じ構図になるようにデザイン。
ピラミッドの中にはスフィンクスとピラミッドのスケッチ絵(作:ヴィヴァン・ドゥノン)を挿入。
現代と過去がミックスした面白いデザインでした。
地味ながらもセンス良くまとまっていたと思います。


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★第一章 ルーヴルとエジプト学

入り口を入ってすぐに『ナポレオン』の胸像が展示されていました。
「う~ん、さすがルーヴル」と不意打ちにニヤニヤしつつ、胸像の背後に置かれた絵のトンデモ・デザインに苦笑しました。
狭い砂漠に古代の建物だの、農民だのがゴチャゴチャと描かれている絵…実際のエジプトを知らない人がイメージだけで描き上げたようなイラストですが、これはこれで時代を感じさせます。

シャンポリオンの年表が興味深かったです。
彼もエジプトに行っているんですね。自分が解読した文字を読みにエジプトへ。
本物の文字を見た時、彼はどう思ったのかな~なんて思いました。

★石のシャブティ(紅花崗岩)
こんなデカイの初めて見た!
シャブティというと、木製の小さな人形ばかりだと思っていたので意外でした。
面白かったのは、ヴィヴァン・ドゥノンのスケッチが一緒に展示されていたこと。
実物とスケッチを見比べながら改めて見てみると、画家の目が細かい点を逃さず描きこんでいることを発見し驚きました。

★テディアのステラ(会場中央に展示)
珍しい親子揃い踏みの石像。
ホルス・オシリス・イシスの順で並んでいますが、やはりオシリスは左足を出さず両脇の神はそっと出していました。
神に対して服従している”証”、たとえ親子でもハッキリしているんだなぁ~と感心しました。


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ファイル 10-2.gif ★第二章 エジプト人の素顔に迫る

彫刻の練習に使われた板などが展示されていました。

★パイのピラミディオン(新王国第18王朝末1550-1295)
三角錐の石灰岩に彫られた彫刻達…見た目はどうってことはないんですが、衣装のプリーツがとても繊細で感動しました。

★イウイの座像(中王国第13王朝1766-1650)
ルーヴル美術館が2000年に買った物だそうです。
中王国時代末の特徴が出ているそうです。
なんとその特徴は「無愛想」
この像、よく見ると口角は上がっていて優しげな笑いをしているんですが、パッと目の印象は確かに無愛想かも。
言われてみれば他の石像も中王国時代のモノは無愛想ばかり。
私はその方が好きです。


ファイル 10-3.gif ★ジェドホルの石棺のふた(王朝末期 前4C頃)

巨大なフタです。厚さも高さもあり、誰もが「おぉぉぉぉ~」と口に出していました。
表面の色は渋い紫色、でも少し削られた岩肌は薄灰色で、そのコントラストが石棺に上品な印象を与えています。
女神の柔らかな体の線がそっと強調されるのは、ナナメ横に立った時なので、必ずその立ち位置から女神を見てみてください。
印影の付け方、肌面の処理の仕方に驚くはずです。

裏側のヒエログリフも見事です。キッチリと彫られた線。
この石材はグレーワッケ(砂岩の一種)だそうです。

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ファイル 10-4.gif ★第三章 人生を謳歌するエジプト人

エジプト人って貧しいながらも楽しい人生を送っていたようです。

★青銅製の鏡(中王国時代前2033-1710)今も信じられないほどピカピカと光り輝いていました!
どうやって腐食を免れたのか、とても不思議!
砂漠だから錆びなかったのかな…。
4000年も前の鏡に自分の顔が映るという事が面白くて、何度も列に並んで鏡に顔を映しニヤニヤしました。
柄は黒檀、持ち手はアカシアだそうです。

ファイル 10-5.gif ★かみそり(新王国1550-1295)
当時は毛を剃りまくりだったので、かみそりも活躍しました。
こちらは錆びているので、刃先がどれくらい鋭いかは分からないのですが、ちょっと使いづらい形だと思います。

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★第四章 働くエジプト人

牛とか農民とか…色々。


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★第五章 ファラオ:半神半身

王の像や王が描かれた壁画などが展示されていました。

チケットに印刷されている王の像はここにありました。
『センウセルト3世座像』(中王国時代第12王朝1862-1843)
説明板には「王家の図像学の歴史の中で最も感動をよぶもの」とありました。
確かに均整の取れた肉体、細部に到るまで丁寧に彫刻され、彫像としての美しさも素晴らしいです。
でも私は”なで肩”が気になるので、それほど感動はしなかったです。人それぞれですね。

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★第六章 エジプト人神々

カバや猫の像が多数。
ルーヴルの青カバはムラがなく、美しいモノでした。
お尻が可愛いので、必見です!


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★第七章 エジプト人と死

来世に生まれ変わる事を願ったエジプト人が考えた延命作は以下の通りだそうです。


■ミイラ化による遺体の保存
■生前の姿を伝える彫像や図像の製作
■葬式儀式の実行(開口の儀式や供物奉納儀式)

とうわけで、ミイラ登場!?と思ったら、ミイラはなく棺だけ来日。
でもビューティーな装飾にドキドキです。
お気に入りは『歌い手タアネトミイト』の棺。
カルトナージュ製(しっくいであま布を固めたモノ)
これは地の白色も美しいのですが、覆い被さるように広げられた赤と黒のツバサの色合いが絶妙で、今までの棺にはない斬新なデザインで目を魅ひきました。


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★★おみやげチェック★★


久々に買い物しました(゚∀゚)ノ
絵はがきはダメだったけど、クリアファイルが気に入りました。
A5サイズのクリアファイルは以前から欲しかったのですが、今回、青カバの絵が印刷されたモノがあったので速攻でゲット!
あと他にバステト神(クロネコ)もあったので、これもゲットしました。
他にもピンやハンカチ、Tシャツなどなど…。
売り場も大混雑でした。

気になったのは、メガネ拭き(850円)がなぜか完売。
ヒエログリフ模様が先に売れ、それ以外(カバ)は在庫あり。
「なんでこんなモノが完売に…」ちょっと不思議でしたが、珍しいと言えば珍しいので、お客も目ざとい人が多いみたいです。やはり実用的で、それでいてエジプトデザインの物は欲しくなるよね。