遺跡馬鹿のイベント潜入記

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古代ローマ帝国の遺産

【栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ】
古代ローマ帝国の遺産-L'EREDITA DELL' IMPERO ROMANO

国立西洋美術館 2009年9月19日~12月13日


国立西洋美術館で古代文物展をするなんて、私の記憶の中では初めてだよ~ん
国立西洋美術館でポンペイ展をすると知った時、「めずらしいな~」と思いました。
長く上野の博物館群をウロウロしている私でも西洋美術館は無縁の場所で、企画展などやっていても自発的に行くことは今までありませんでした。
以前、正月に行ったとき、無料で解放されていた常設部分はちょこっと観たことはあるのですが、お金を払って内部を観たことは一度もありませんでした。
今回、ポンペイ展が企画されたので初めて常設以外のところを歩きましたが、内部はこじんまりとしたフロアになっていて、博物館とは違う構造が興味深かったです。
さすが世界遺産に登録申請している建物だけあるなと思いました。

初日の開館時間に合わせて行ったのですが、多くの人が入り口に並んでいて関心の高さにビックリしました。
また時間が経つに連れ、会場内にお客さんが増えてきて、これもビックリでした。
ローマに関心を持っている人がこんなにいるのかと、その勢いを実感しました。

気になったことは説明板の位置が低くて、手前のお客さんが顔を近づけて読むと、他の人は読み終わるまで待たなければならず、それで渋滞が起きてしまうことです。
最近の博物館では説明板の貼り付け場所は、高いところに貼って渋滞回避に努めているのですが、さすがに美術館ではそういうノウハウがないのか、古風な設置方法をとっていました。
ガラスケースの前でゆっくり読まれると、本当に待たされるので、主催者は配慮して欲しかったです。

あと、コーナーごとに展示の説明をした案内板があるのですが、これが長文で笑ってしまいました。
なんかすごく分量が多くて、読むのが大変でした。
半分くらいで良いと思うのですが、どうしても語りたくなるんでしょうね。


入り口の様子

白い大理石をイメージした空間になっていて、シンプルな感じが良かったです。


1.帝国の誕生

広いフロアに彫刻がたくさん展示されていました。
解説を読むと、ローマ人はギリシャ風の彫刻から脱却し、「カエサルのハゲ頭まで「冷徹」に表現するようになった」という解説があって笑ってしまいました。
確かにギリシャ人は「美」を優先していたから、汚点はなるべく隠すようにしていたと思います。
ローマ人はあるがままに描写することを「善」としていたようなので、解説を読んで「ローマ人っておもしろいな」と認識を新たにしました。
だがしかし、皇帝アウグストゥスはその表現が嫌だったらしく、常に自分を若々しく表現するようにさせていたそうです。
アーモンドの目に柳マユゲ…それがこの時代の特徴なので、若者の像はだいたい似ていて、私のようなシロウトにはみんな同じに見えてしまいました。


2.アウグストゥスの帝国とその機構

ここは小さな壁画が多かったです。
目玉は『ディオニソス』の壁画でしょうか。
ディオニソスの女信者たち「マイナス」が一杯描かれている壁画ですが、ちょっと薄いなと思いました。
№17のアポロ像は目が怖くて、目が合いそうになると思わずそらしてしまいたくなる感じでした。

ポンペイ絵はガラスビンを保護&運ぶために作られた土器の入れ物です。
割れやすいガラスビンを割れやすい土器に入れても仕方なんじゃないの?と思いながら見ましたが、草のバッグに入れるよりは多少丈夫なのかなと思いました。

№37のオッサン顔したヘラクレスにショック!
私の中では美貌の勇者だったのに…。

ポンペイあと、歯をむき出しにしたヘビの腕輪と、ガラスの骨壺が印象深かったです。
骨壺の方は、あれで一人分なのでしょうかね…。
ちょっと骨の量が多いような気がしました。
胴体につけられた太い持ち手がおしゃれなデザインでした。
出来れば蓋を開けて中の匂いを嗅いでみたいものだと思いました。

3.帝国の富

ブロンズ関係が多く展示されていました。

№66:真っ裸なのにマント…。
マントよりパンツが先じゃないのかとツッコミながら見てました。
でもオリンピック選手は全裸での参加が基本だから、これは選手が肩を冷やさないようにマントを羽織った姿を彫刻家が面白がって作品にしたのかな…と妄想してみました。

ポンペイ№102:イルカの像ですが、目がKISSのジーン・シモンズのように星型をしていて、可愛いかったです。

№116:ディオニソス像
チケットにも登場する、展示の目玉。…の割には、隅っこの方に展示されていました。
紀元前1世紀に作られた白大理石の美少年で、豹を抱く姿をしています。
とにかく顔が美しく、中性的な魅力が溢れていて女性達は釘付けでした。
私はギリシャで何体もディオニソス像を見てきましたが、これほどの美貌の持ち主には出会えませんでした。
隣に近くから出土した女性像があるのですが、こちらが無表情の分、よけいにディオニソス像が美しく見えてしまいます。


4.地下の展示

地下にどーんと、部屋の壁画をまるごと展示してました。
色んな植物が生い茂る様子を壁に描き、そこで優雅に茶を飲んでいたそうです。
よく見ると、白い花びらのカモミールなどが描かれていて、当時の人もこの花を愛していたのかと思うと、嬉しくなりました。

さらに奥には水槽施設の壁画も展示してありましたが、これも美しいものでした。
貝殻とガラスモザイクが織りなす壁の模様が、とてもリズミカルで、見ているだけでワクワクしてきました。
先の壁画とこの水槽施設が設置された家に住んでいた人は、どんな人だったのかな~と、とても気になりました。
こんな美しい家に住めるなんて、本当に羨ましいと思いました。


おみやげコーナー

壁画をモチーフにしたクリアファイルが売ってました。
あとディオニソスをプリントしたTシャツが目立ってました。
お~と思ったのは、クッキーです。
最近は食べ物系のオミヤゲが必ずあるので驚きです。
商品の量は少ないので、見応えはあまりないのですが、ココでの”買い”は、ショップに置いてある、「考える人」の携帯ストラップがマニアの間では人気だそうです。