アウシュヴィッツ強制収容所より、列車と線路と車輪 ばかりが映されていて、ちょっと乾いた笑いが出てしまいました。
列車に連れてこられた人たちの不安や恐怖を伝えるための手段として列車の映像を使いたいのは分かりますが、とにかく多すぎます。
スタッフの中には鉄道マニアさんでもいるんでしょうかね。
線路よりもっと映さなきゃいけないモノがあるのに…不思議に感じました。
私がアウシュヴィッツ強制収容所を訪れたのは昔のことなのですが、「処刑広場」や「3段ベッド」そして「取り上げられたカバン」は、今でもよく覚えています。
特にカバンは映像ではショボく映されていましたが、実際は数の多さに圧倒され、また古くなった皮の持つ臭気が、ガラス越しに伝わってくるようで心底ゾッとしました。
「切り取られた髪の毛」も紹介されていましたが、三つ編みをザックリと切られた人の無念が伝わってくるようでした。
その毛で絨毯を織ったり、靴下作ったり…まさに狂気とした言いようがありません。
ガス室…私の記憶より広かったです。
入口から見える2本の巨木が陰鬱な雰囲気だったことを覚えています。
中に入った瞬間は広さと明るさにホッとしましたが、やがてこの場所で多くの人が亡くなったことが思い出されてきて、隣の焼却炉室に逃げ込みました。
最初私は、この炉はガスを発生させる装置かと思って中まで覗いたりしていたんですが、「人を焼いていた」と聞かされ、かなりビビりました。
当時の生き残りの方たちが証言していましたが、当時の過酷な生活を言葉で伝えるのは難しいだろうな…と感じました。
何かを話そうとするたびに思い出が邪魔をして言葉にならないような感じがしました。
私は以前、『夜と霧(ヴィクトール・フランクル著)』を読んで、死が迫っていると分かっていても希望を捨てないことの素晴らしさをこの本から教えてもらいました。
この名著を紹介しなかったのも残念でした。
ゲートの手前にミヤゲ屋があって、私はそこでバッジを買いました。
今でも残っているのかな。