日中国交正常化30周年記念
シルクロード展-絹と黄金の道
THE BROCADE AND GOLD FROM THE SILK ROAD
東京国立博物館 平成14年8月20日~10月6日まで
▼なんとなくブームが去った感のある、シルクロード…。
某国営放送が盛んに番組を放映していた時、その地はまさに「愛の国、愛の土地」でした。
久保田早紀の異邦人が流れるCM…、トルファンかなぁ、ロバに乗った老人がポプラ並木の道を進む…。
「憧れ、悠久のロマン…」 遙かな地であったシルクロードも、昨今はあまり省みる人もなく、
私でさえもその地を旅できたのですから、時代も変わりました(-_-;)。
そんな気持ちだったものですから、「まぁ、軽くね、サラッと見ればいいか…」と思い、いざ入場………。
そしてそこで改めて思いました…。
「やはり国立博物館、さすがだぁ~! ツボを良く知っている!!」
「シルクロード」という言葉は、依然として輝き、私を身体ごとロマンチックな世界へ引きずり込むパワー、文化、謎があることに気がつきました。
こんな素晴らしい展示会を見学させていただき、ありがたいことです。
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★展示紹介-1室目★
■さまざまな言葉、交差する人々
最初のコーナーは堅苦しいトコロがなく、目に楽しい物がポンポンとリズムよく展示されていました。
木簡、教典、墓碑や通行証のような多種多様な文字資料の展示。
大きな説明表が壁に貼ってあり、とても見やすい。
楼蘭から出土した木簡がさりげなく展示…楼蘭は幻の王国と言われていましたが、今は遺物もこうやって普通に展示されるようになりました。
見たこともない文字を見るのも楽しいです。
ホータン語をブラーフミ語で書いた人身売買の木簡とかは興味深いですねぇ。
他にもトハラ語とかウィグル語とか、ソグド語とか、チベット語とか、シリア語とか…。お腹いっぱい(^-^)
カローシュティ文字(カンボジア文字みたい)は初めてみました。
★ 説明文は、20文字×5行の100文字が目安のようで、その限られた文字数で、年、出土地、出土状況が巧みに織り込まれているのは、まさに職人芸! おまけに名文ぞろい。
以後、書き写した説明なども入れていきます。
■草原の道
遊牧系諸民族が残した、まばゆいばかりの金銀製品の数々…。
それと青銅製の生活用具、絹織物などを展示。
■このコーナーのいちおし!
★虎の形の金製品
下半身をひねって、上に振り上げる。特殊な形。カザフスタンから中国北部で愛好されたモノだそうです。
その他、豪華な金細工の指輪や真珠を縫い込んだ布など、4~6世紀の技術の高さはすごいです。
■オアシスの道、西域北道
カシュガル→アクス→クチャ→トルファン→敦煌
紀元前2~1世紀の塑像菩薩頭部、舎利容器、色鮮やかな染織品も展示
金製品の動物飾り(紀元前2~1とか)
■このコーナーのいちおし!
★布のお守り。立身出世を願った「登高」という文字は、センス良し!
■ガラス脚杯
丸いあめ玉が貼りついているようなデザイン。全体的にソーダ色でカワイイ。
6~7世紀の物なので、あまり銀化が進んでいない。
★ 39番円花鳳凰文錦
瑞花風の円花文の周りをさまざまな姿態の鳳凰が華麗に群れ飛び、
これらが朱地に金色に輝いて見え、華やいだ雰囲気を醸し出している
■説明文丸写ししてみました。
実物は何の変哲もない布なのですが、この文章を書かれた人のイマジネーションにビックリしてしまいました。
この方にはこの布が動画のように見えているようです。
「輝きながら群れ飛ぶ鳳凰…」この説明文を読んでから、改めて布を見ると、
グルグルと飛翔する鳳凰の風を切る音まで聞こえてきそうでした。
やはり人の興味を引き出す文章というのはあるもので、とても勉強になりました。
名もなき学芸員サマ、感服しました。
■宇宙から見たシルクロード
衛星画像を使った地図は、このような博物展では見たことなかったので、新鮮な感動がありました。
こういう時代なんだなぁ~としみじみ…。
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★展示紹介-2室目★
2室目は草原などがふんわりと印刷された垂れ幕が天井からつり下げられ、まるでパオ(ゲル)をイメージさせる空間となってます。
空間を大胆に使用したイメージ作りは、平面展示になりがちな博物展では、ちょっと面白い工夫。
最近の流行なのかなぁ。
エジプト展でも入り口にちょっとした神殿のオブジェを配置したことで、見学者の気持ちがあたためられたし、これはいい流行だと思いますよ。
■オアシスの道-アスターナ
「THE ASTANA TOMB」-唐の影響をもっとも多く受けた地域(トルファン)
62番の胡人俑
「確かな技術に裏付けられた秀逸な出来ばえ」
カッチョイイ男の粋な一瞬をとらえたポーズに、ちょっと惚れてしまいました。
7世紀の囲碁盤があった。十九路盤で今と同じなのでちょっと感動。
布などは7世紀に技術的なモノは、ほとんど完成されていることを知りました。
とても美しく繊細で、ヨーロッパではまだ毛織物という状況を比べてみると、やはり中国はすごいなぁと思う。
■オアシスの道-西域南道
カシュガル→ヤルカンド→ホータンなど、下の道。
あざやかな絹織物が多数出土
1世紀頃からすでに綿も絹も毛もありました。
特に絹はすごい。毛も思ったより厚くなく、加工や製法によって、いくらでも姿を変えることができると知りました。
色もずいぶんとカラフルで、写真の靴は生地の色が微妙なグラデーションになっていて、とても繊細です。
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おみやげチェック!!
シルクロード展は、過去に何回も行われ、さまざまなグッズが売られ、その過去の実績の元で、売れ筋商品がこの場に並んでいる…、一目見てそう直感したものの、値段が高くて手が出ませんでした(T_T)。
マウスパッドに1200円
シルクロードチックな柄の名刺入れが2300円
ネクタイは1万500円
展示品の写真を使ったマグネットが1200円………
そろそろ値段を下げませんか?
そうしたらもっと売れると思うんですけど…。
薄利多売じゃダメなんでしょうかねぇ…。
それと、絵葉書、今回はまったくダメでしたね。
つまらない物ばかりが絵葉書になってました。
センス悪いです。絵葉書用に写真を取り直すくらいの気構えが欲しい。
センスの良さで、一歩先を行く博物館であって欲しい。絵葉書コレクターの願い…。