遺跡馬鹿のイベント潜入記

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契丹 草原の王朝 美しき3人のプリンセス

契丹展契丹 草原の王朝 美しき3人のプリンセス The Splendor of the khitan Dynasty
2012年7月12日(木)~9月17日(月祝)
東京藝術大学大学美術館「東京・上野公園」
【契丹展公式サイト】http://www.tbs.co.jp/kittantokyo/

なかなか見るチャンスがない契丹の遺物。
世界初公開の遺物が50件も展示されるというので、ちょっと遅くなりましたが上野の芸大へ行って来ました。
芸大は学祭の準備で大忙しでした。
ついでに芸大の学食も堪能してきました。「肉詰めピーマン+合えモヤシ」美味しかったです。


契丹は今の中国内モンゴルにあった王朝で、最盛期は紀元10世紀頃だったそうです。
草原の王国なので、今回は女性をテーマに展示してありましたが、馬具など騎馬関係のモノが多かったです。


【入口の様子】

入り口から入って3階まで階段を上がりました。
壁に内モンゴルの写真などが飾ってあり、良い写真がいくつもありました。


第1章 馬上の芸術

契丹展陳国公主墓(1018年)の墓から出土した品々を展示していました。
公主は夫と共に埋葬されていて、発掘当時の写真も出ていましたが、とてもキレイに保存されていました。
解説を読んでいると、契丹には「樹上葬」というのもあったそうです。

金の仮面が展示してありましたが、顔がまん丸でいかにも草原の人って感じです。
目が小さくて、おでこがちょっと出てて丸いのが可愛いです。

第2章 大唐の遺風

契丹展ここは「トルキ山古墳」から出土した遺物を展示していました。
偶然発見された契丹の墓。その中から出てきた豪華な品々を展示してありました。
世界ふしぎ発見で見た「女性のミイラ」もあるのかと思ったら、さすがに展示はされていませんでした。
テレビで観た黒くて美しい髪をした女性がこれらの品々を使っていたのかと思うと感慨深いです。

今回の展示会の目玉はこの彩色木棺です。
バラバラになった破片を組み立てたそうです。
あとちょっと金箔足したりして、往時の美しさを復元しています。
不思議なのは階段がある高床式になっていることです。
中国西安にある「法門寺」の仏舎利容器がよく似た形をしていたことを思い出しました。
当時はこういう棺が尊ばれたんですね。


他には「怪魚カマラ」のピアスが面白かったです。
シャチホコみたいに、お腹がポッコリ出ている魚で、この図案は当時好まれていたらしくあちこちで見かけました。
それと琥珀がネックレス等になって展示されていましたが、形だけ整えたら終わりみたいで、磨いてないモノが多く展示されていました。
欧州だとギラギラに磨いたりしてあるので、美意識の違いなのかと興味深く感じました。


第3章 草原都市

瀬戸物が多く展示されていました。
気に入ったのは、チラシにも写真が出ている『白磁皮嚢壺』です。
これは「黒釉皮嚢壺」と対になっていて、丸みがとても可愛いです。
契丹展ではこのように皮や木の日常品を瀬戸物で真似てつくってある展示品が多かったです。
墓に納めるため、腐らないよう瀬戸物で作って奉納したんでしょうね。
ここには緑釉、ガラス、三彩など多種が並んでいました。


第4章 蒼天の仏国土

赤峰市の白塔から見つかった奉納品を展示してありました。
美しかったのは「鳳凰舎利塔」です。
繊細な美しさで、これを奉納したのは契丹第6代皇帝妃・章聖皇太后という方だそうですが、彼女の美意識が感じられました。
面白かったのは地味な遺物ですが、「迦陵頻伽・天人」です。
天人のモチーフは世界中ありますが、その国ごとのこだわりがあって比較したりするのが楽しいです。


【おみやげコーナー】

相変わらずの品であまり興味を引くものはありませんでした。
もっとモンゴルっぽいモノとかあるのかな…と期待していましたが残念でした。

誕生! 中国文明

誕生! 中国文明
2010年7月6日(火)~9月5日(日)
東京国立博物館 平成館


誕生中国文明中国文明と言っても広大な領土を持つ中国のことなので、どの辺を中心にするかで展示の雰囲気も大きく左右されるのですが、今回は河南省をメインに中国の古い文化に焦点を当てて展示されています。

「夏」や「商」など、あまり取り上げられらない時代の遺物が来ているので、古代中国好きにはたまらない展示かと思います。
だがしかし、中国の文物って古い時代にデザインが生まれ、それをずっと受け継いでいることが多いため、時代が変わっても素人の目には古さも素材もデザインも全部似たように見えてしまい、ちょっと飽きてしまうこともありました。
今回はとくに人寄せパンダ的な目玉もなく、淡々と展示品が並んでいるので、その地味さが逆に売りかと思いました。


【入り口の様子】

入り口をふさぐように大きなパネルを置き、そこに河南省の地図がどーんと描かれていました。
あれを見て、河南省がどんな所なのかイメージ出来た人は少ないと思います。
できれば今の様子を映した現地の写真なんかも展示して、過去と現代のギャップをお客さんに感じさせても良かったのではないかと思いました。


1.王朝の誕生

誕生中国文明1-1:幻の初期王朝 夏(前2000年頃~前1600年頃)

    幻の夏王朝は紀元前2000年~紀元前1600年に栄えた中国最初の王朝と言われています。
    その時代の遺物はいきなり完成度が高く、どれもため息出るほどの一品ばかりでした。
    チケットに印刷されている緑色の『動物紋飾板』も、この時代のモノです。
    あの図は犬みたいな動物を真上から見下ろしているそうです。
    それを聞いて、子犬が腹をすかしてクタっとしている姿を想像しました。

1-2:王朝の確立 商・西周(前16~前8世紀)
    誕生中国文明ここでは「№17-じこう」という、妙な生き物の丼鉢を見なければいけません。
    というか、あまりの可愛らしさにイヤでも目に入ってきます。
    お腹がふっくらしていて愛嬌があります。

    次にオススメなのが、「№20-玉璧」です。
    一見すると普通の璧ですが、中央に開けられた穴に厚い縁が残されています。
    この縁を残すために職人がどれだけ苦労したのかなーと思うと、オススメしないわけにはいかなくなりました。
    説明文にもスゴイと書いてありました。


1-3 競い合う国々 春秋・戦国(前8~前3世紀)
    ここでは、「№39-六戈戟」が見所です。
    青銅製なのに長い月日を経たため、表面が石のように見えます。
    普通、緑青まみれになるのに、なんだか不思議に感じました。

1-4 大帝国の形成 前漢(前3~後1世紀)
    ここは特にないのですが、おなじみの「金縷玉衣」が横たわっていました。
    ただ寝ているだけで、ちょっと芸がないなーと思います。
    たまには、ビクっと動いて、お客さんを驚かしたりすると楽しいかもです。

第二部 技の誕生

2-1:暮らし

    誕生中国文明ここでは出土した土偶などを展示し、人々の生活を紹介していました。
    大きいモノは「№50-七層楼閣」が見所でしょうか。
    当時はこんな巨大な建物を建てる技術があったのかと驚きました。

    あと、「えっ!」と思ったのは、セミの丸焼き。
    「№52-炉」
    当時はセミを丸焼きにして食していたようです。
    土器のセミは丸々していて、確かに美味しそうです。


2-2:飲食の器
    特に目玉なし

2-3:アクセサリー
    「№81-トンボ玉」は必見。
    といっても割と良くみるデザインでどこが必見なのかというと、中国最古級のトンボ玉なんだそうです。
    それを聞くと、たいそうありがたく思えます。

第三部 美の誕生

3-1:神仙の世界

    中国の人たちは昔から仙人にあこがれていたようで、そのあこがれに関する品々が展示されていました。
    「羽人」と呼ばれる、天女の原型みたいな人たちは興味深かったです。

3-2:仏の世界
    見所は「№104-宝冠如来座像」です。
    展示物のなかで一番大きいです。
    龍門石窟から持ってきたモノで、良いお顔してました。

    あとは陶器が素晴らしかったです。
    白磁とか黒陶など、清楚な美しさがたまりませんでした。


3-3:人と動物
    「№127-1~4 4動物集合」が可愛いです。
    特に象と牛の丸っとしたところにドキドキでした。
    後漢時代のものだそうですが、この時代の人たちも小さい人形が好きだったんですね。

3-4:書画の源流
    誕生中国文明文字関係の一品が並ぶ中、なぜか笑ってしまうようなモノが展示されていました。
    「№146-青花塔形台付壺(唐時代)」
    子供のらくがきみたいで笑いました。


【おみやげコーナー】

誕生中国文明チケットに登場するヒヨコをモデルにした「マスコット」が販売されていました。
中国とヒヨコ…謎のコラボレーションでした。

チンギス・ハーンとモンゴルの至宝展

2010年2月2日(火)~4月11日(日)
江戸東京博物館

相撲好き、そして横綱白鵬を応援している私としては、モンゴルをすごく身近に感じます。
というわけで、モンゴルから至宝が来るというので博物館まで駆けつけました!
だ・が・し・か・し! 同じモンゴルでも、これは「内モンゴル」ヽ(`Д´#)ノ キィィィィ!
つまり出品物はすべて中国の文物で、気持ちとしては「ダマされた!!!」でしたが、草原の歴史が丁寧に解説してあり、とても勉強になりました。

【草原の歴史】

東胡族→鮮卑族→魏国(フフホトで建国・北魏)
             └→大同→洛陽へ遷都

草原の歴史に最初に登場するのは、『東胡族』という民族で、時は戦国。青銅器などをすでに使っていたようです。


【面白かった展示物】

+鮮卑族コーナー:20番=牽駱俑(荷物を運ぶラクダ)

目がうっとりしていて可愛いです。
笑っているようにも見える不思議なラクダ像。


+突厥族コーナー:24番=灰陶牛

可愛らしさは一番でした。
4頭、並んでいるんですが、そのうちの2頭は塗料がしっかり残っていました。
白目、黒目がクッキリしていて、とても愛くるしかったです。
大地にどっしり座り込んでいる姿がまた牛らしくて良かったです。
2頭が1頭に話しかけるような形に置いてあったのですが、自分だったらどんな配置にするかな~なんて考えながら観るのも楽しかったです。


+契丹族コーナー:33番=動物玉飾り

当時、五毒と呼ばれた動物たちをあしらった玉の飾り。
強い動物たちを身につければ魔よけになるということらしいです。


+チンギス・ハン陵所蔵の遺物-チンギスハン伝来とされる鞍

チンギス・ハンの遺物が飾られていましたが、これらは墓から出土したものじゃなく、チンギス・ハンの葬祭施設にあったものを借り出してきたようです。
「陵所蔵」なんて書いてあるから、「えっ、いつの間に発見されたの!?」とびっくりしてしまいました。
遺物はどれも古びた感じがして印象としては質素に思いました。


+一代の天驕モンゴル帝国の勃興コーナー 展示

白纛(しろとく)-黒纛(くろとく)
大八車の上にパオを置いたものを当時は戦車と呼んでいたそうです。
その戦車の先頭に飾られているのが、難しい漢字で表記された「黒纛(くろとく)」です。
81束の馬の毛で作られているそうですが、最初見たときは不気味で生首を乗せているのかと上の方を凝視してしまいました。
魔よけや神の借りるために飾られているそうですが、馬の毛が長ければ長いほど、怖いと感じます。


+モンゴル族女性の衣装(清代)

モンゴル女性のきらびやかな衣装が展示してありました。
女性たちは長い髪を真横に流し、そして下向きにおろすという…おもしろい髪型をしていたようです。
髪は板状に広げてあるのですが、似た髪型をしている人は「ウルトラ母」です。
その手間のかかった結い方に感動しました。


【おみやげ】

モンゴル展ですが「内モンゴル」なので、中国の服とか食器などが多く売られてました。

平山郁夫とシルクロードのガラス展

ファイル 42-1.jpg開館30周年記念特別展
平山郁夫とシルクロードのガラス展(-平山郁夫シルクロード美術館蔵-)

古代オリエント博物館(東京・池袋) 2008年3月15日(土)~5月11日(日)

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▼平山郁夫美術館から250点ものガラス製品が出品されると聞いて行って来ました。
「個人所蔵の品々なんて…」と、少々高をくくっていましたが、さすが平山氏!
その種類の多さと地域の広さに驚きました。

▼主な展示品
この展示会では地域別ではなく、製造方法が発明された年代順に展示が並んでいるので、とても分かりやすかったです。
最初に紹介されているのは『コアガラス』
めずらしいミタンニ国のモノが数点、出ていました。

展示タイトル一覧

・第一章 ガラスの開花
・第二章 ガラスの爆発
・第三章ガラス 西へ東へ
・イスラームガラスの展開


ファイル 42-2.gif★ガラスの発見
今から2300年頃に登場したガラスは、主にソーダ石灰ガラスなんだそうです。

 +珪酸:砂、石英片、フリント
 +ソーダ:天然ナトリウムを含む川や湖などの堆積物

←北メソポタミアのミタンニ国のモザイクガラス片(14BC~13BC)
ムラサキの色がとてもキレイでした。
もうモザイクの技術ができていたことに驚きですが、植物の繊細な描写も素晴らしいです。

その他、、メソポタミアの各地で出土したコアガラスたちがずらっと並んでいます。
こうやって並べてもらうと、多少ながらも地域差などが分かり、今までエジプトのコアガラスしか目にしたことのなかった私には新鮮でした。

【みどころ】

★美しいガラス : 美しい千華文(ミルフォオリ)の容器

とにかく息をのむ美しさ。
ビーズガラスで小花を作り、それを土台となる器に並べ、型を押し込んで器の形にするという技法らしいです。
これで日本酒飲んだり、煮物を盛ったりしたら、おいしく見えるだろうと思いました。

ファイル 42-3.gif★おもしろい形 : ガラス製品の中には、面白い形もモノもありました。
←まるで手のひらのツボ押し具のような形。
簡単にパーツをくっつけられるガラスならではの遊び心だと思いました。


★ネックレス、腕輪などなど

トンボ玉と呼ばれる美しい玉を連ねたネックレスなどもたくさん展示されていました。
個人的には透明な青色の玉が好きなんですが、他にも人間の顔がついているものなどもありました。


★戦国玉

中国で見つかったガラス玉も展示されていました。
戦国時代のモノを特に「戦国玉」と呼ぶようです。
特に中華風のデザインではないので、これだけ見せられても中国出土とは思わないと思います。

【おみやげ】

古代オリエント博物館の常設ショップで、絵はがきなどが売ってました。
特にイベントに合わせて販売されているものはなさそうでした。

新・シルクロード展

the SilkRoad
幻の都 楼蘭から永遠の都 西安へ

新 シルクロード展

江戸東京博物館で開催 2005年4月16日~7月3日まで


▼NHKで絶賛放送中なので、初日から混雑しているんだろうなぁ~なんて思いつつ午前中に到着。
入場券を購入していざ入ってみると、あれ…人が少ない!?
ちょっとスカスカな入場者数でしたが、ゆったりと展示物を見られたのはラッキー!
でも午後を回った辺りから混みだしてきたので、人の出足は上野と違うようです。

▼今回のテーマは新しく発掘された遺跡の品々がメインなので、ものすごいお宝はないけれど、どれもこれも新鮮&新奇なデザインのモノが多く、興奮しながら展示物を見回ったのは私にとっても久々でした。

■多くが新しい遺跡ばかりという事で、各遺跡の紹介と写真はとっても分かりやすかったです。
解説文もちょっと長めかな~と思いつつ、親しみを込めた文章は好感度高かったです。


■今回の入り口は…

入口正面には赤い砂漠を進むラクダの隊列写真!
そしてその写真の前に透けた布をのれんのように下ろしていました。
のれんには4つのテーマを代表するような写真が印刷されていました。
割とよくある演出ですが、イヤミがなくて良い感じでした。


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Ⅰ楼蘭(古名-クロライナ)

★『木製・人物像(№6)』紀元前2000~1000年(小河墓地遺跡)
とにかく一番印象的な展示物でした!もう鳥肌が立つほどのインパクトでした。
見た目は3m近い長身の木製・人型像が寝ているだけなんですが、その木肌がすっごい事になっていて、自然が作り出した前衛芸術作品みたいでした。
どう木肌がすごくなっているかというと、風と乾燥が木肌を繊維のところでささくれ立たせ、全身がガサガサのスカスカのハネハネの切り傷だらけみたいで、痛々しさを感じさせるほどでした。
私だけがこんなにチキン肌になっているのかと思ったら、どこぞのおばあさんがスケッチを描いていました。


ファイル 13-1.gif ★木製ミイラ(小河墓地遺跡)

珍しかった~! 木のミイラなのに可愛い帽子や靴まで履いていました。
副葬品にはこれまた植物の茎を織り込んだ籠がついていて、本当に人間のような扱いをされていました。
この人形がここに収められた背景を観客達もあれこれ推理していましたが、埋葬する側の気持ちが籠もっていて、みんなの胸を打っていたようです。
もちろん私も…。

★その他
ここのコーナーは布の展示が多かったです。


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ファイル 13-2.gif Ⅱタクラマカン

★嬰児のミイラ 紀元前500年~紀元前300年頃(ザーホンルック遺跡)

鼻の穴が大きいんじゃなくて、詰め物をしているんです。
とっても小さいミイラで、生後8ヶ月~1歳くらいらしいです。
とても丁寧に埋葬されていたみたいで、パッと見ただけでは普通に眠っているようにしか見えませんでした。
頭に被っている青の帽子はフエルトで、ちょろりと見えている金髪の前髪がその青さと良く合っていました。
白人系の人々がこの地に住んでいたらしいので、この子も色白金髪の可愛い子だったんでしょうね。
枕も当時のモノで、本当に眠っているようでした。

★ダンダンウィリク遺跡の壁画群(唐時代)
テレビでやっていた、「西域のモナリザ」はここに展示されていました。
特徴的な丸顔に切れ長の目。
モナリザっていうと女性だけどこれは如来様なので、私としてはその呼び方には違和感を覚えますが、でも壁画に描かれた如来様の妖艶な瞳にはちょっとドキドキ★です。

ここの解説文も丁寧で、「屈鉄線」がいかに優美であるかを解説板が語ってました。
揺らぎがなく、同じ太さで線を引く当時の職人技に痺れました!


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Ⅲ天山南路

ミイラが身につけていた装束も素晴らしいですが、横のガラスケースに収められていた副葬品の食材(子羊のミイラ)が個人的には気に入ってます。
とっても可愛く干からびています。


Ⅳ天山北路とトルファン

アスターナ古墳群から出土した文物が並んでいました。
美しい青さを保ったままの靴が印象的でした。
十二支俑はお年寄りに大人気でガラスケースの前がガラ空きになることがありませんでした。
人気の原因はリアルな鶏頭の俑みたいです。


Ⅴ西安 永遠の都

壁画や唐時代の美人俑などが展示されていました。
西安の壁画は「馬」系が有名なんですが、ここに展示されている世界初公開の『献馬図』は力強いタッチで、本当に素晴らしかったです。
嫌がる馬の顔も良いし、その馬を押さえつける馬使人の怖い顔も味がありました。
見ていて笑いが出てしまうような絵でした。


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ファイル 13-3.gif★★おみやげ&レストラン・チェック★★


お土産系は全滅!
相変わらず手ぶらで帰宅しました…(/_;)メソメソ!

しか~し! 今回はレストランの企画メニューに挑戦しました!
レストラン名は「レストラン・モア」
料理の説明を書いたペーパーをくれます! (゚∀゚)ノ

カメラを忘れたので、ヘボ絵で紹介です。
値段は1500円。分量は少ない!
でもシルクロードを旅したことのある人間なら涙を流しながら食べてしまうであろう味でした。
美味しいかどうかは聞かないで…(^_^;)
でもヒツジ肉はやわらかく、ラグメンも現地の味に近かったです。
お茶がジャスミン茶だったのが残念!
やっぱりここは氷砂糖なども入っていると現地っぽいかと思います。

【シルクロード展特別メニュー】
■ラグメン(スープパスタ)
■カワプ(羊の串焼き)
■ハムサイ(トマト・キュウリ・タマネギのサラダ)
■ポロ(ピラフ)
■ミツチワ(ドライフルーツのヨーグルトかけ)
■お茶

大兵馬俑展

ファイル 15-1.jpg -今、甦る始皇帝の兵士たち-

大兵馬俑展

上野の森美術館で開催 2004年9月25日~2005年1月3日まで


▼入り口に記念撮影用の兵馬俑が立っていて、並んで写真を撮る人が続出!
皆、意外とこういう趣向が好きなんだな~と思いました。
まぁレプリカにしては良く出来ているので、何も知らない人が見たら”本物と並んで撮った”と思うだろうな。

初めてこの美術館に入ったのですが、とにかく玄関から展示入り口までの距離が短くて、なんだか落ち着かなかった…(-_-;)
玄関から5歩で展示入り口なのだよ…。
いつもは置いてある椅子にでも座って見学準備するんだけど、そんなモノはないし、仕方なく立ったままゴソゴソとカバンを漁ってメモやらペンやら取り出しました。
もう気分的に落ち着かない!
印象としてはとにかく狭い! 大きな会場に慣れた身には辛かった…。


【文句1-プレートの字が小さすぎる】


とにかく字が小さい! 豆粒のような文字でしたよ(-_-;)
そしてプレートが展示物の前に置いてあるので、客が文字を読むために腰をかがめ、顔を寄せるので、横や後から展示物を見たくても見ることが出来ない…。
仕方ないので、ちゃんと見たい客が列を作ってた…。
お陰で、ただでさえ狭い会場のアチコチに行列が…。
こういう物は3倍くらいの大きさにして壁に貼っとけば良いんだよ。そうすれば混雑解消! 
っつーか、展示する側は客の利益を第一に考えてデザインして欲しいよ。
あのプレート作った人は視力が良いんだろうな…。
まったく、独り善がりな展示方法ほどウザイモノはないと思いました。

【文句2-係員について】


上記で書いた原因によって、会場内に列が出来た。
でもそれを係員が誘導しないので割り込む人も続出!
それを怒って文句言う人もいた。
だが列が通路をふさいだりして混雑していても係員はなぁ~んにもしていなかった。
ガードマンはいるけどあの人たちは不審者を見張るのが仕事。
本来は係員の仕事だよ、列整理は…。
その割にはちょっと柵に手を置いただけですっ飛んでくるんだもの…。
特に1階のビデオ前と2階! 混雑じゃなくて”混乱”していたぞ。

【主催挨拶】

本展覧会を通じて中国の悠久の歴史と文化への理解が深まり、日中両国の友好促進に寄与することを願っております。

【鶴間先生の展覧会の見どころ】

大兵馬俑展の一つ一つの展示品から地下に眠る始皇帝にも想いをよせてみよう。


馬の前髪が特徴


Ⅰ.秦兵馬俑-永遠の都を守る地下の兵士


ファイル 15-2.gif ★発見された経緯★

1974年春、始皇帝陵から東に1.5km離れた所で見つかった。
井戸を掘ろうとしていた農民が見つけた。
今から2千200年前の遺跡。


■手ブレのヒドイ8ミリ映画の前を通り過ぎると大きなフロアーが登場!
そこに目当ての兵馬俑たちが展示されている。


★鞍馬:「一級文物」 340kg 174cm
★騎兵俑:186kg 184cm


第一印象は「見事な灰色!」
そして「デカイ!!」

この騎馬兵を横から見ると身体の芯がまっすぐで気持ちがよいくらい伸びた姿勢。
この姿からこの人物の実直な性格さえ感じられた。
デカイ馬も立派。表記によると340kgだそうです。
これって焼いた後の重さだから水分を含んだ粘土の時はどれくらいの重さだったのかな…
想像すると恐ろしくなりました…(^_^;)
どの兵馬俑にも言えるけど、これだけの粘土を成形し焼くって大変なことだと思う。
当時の技術に脱帽です。


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ファイル 15-3.gif 凝った趣向は気に入りました ★この企画の目玉! 兵馬俑群


坑を再現した展示はあるだろうな~と思っていたが、実際に見せられるとちょっと嬉しい(*^_^*)。
俑を同じ高さで見ることはあまりない事なのでちょっとドキドキ★
部屋自体が広く場所を作ってあるので、客も思い思いの場所でじっくりと観察しているみたい。
まぁ…兵馬俑の足下が土と言うのが少々興醒めだが仕方ないよね。(本来はレンガ)

一番手前の将軍俑は197cm、250kgで、かなり重くて大きい!
さすが将軍様なのだ!
兵馬俑群の展示通路は少し高くなっていて、最初は単に上から見下ろすだけの機能しかないのかと思っていたら、なんと!発掘当時の様子を再現したモノを埋め込んであった!
凝った演出にこんな顔になりました→(*´д`*)素敵!
破片の厚さにもビックリ!
ここには馬も並んでいるんですが、向かって右側の馬はちょっと愛嬌がある。

Ⅱ.秦始皇帝陵園-永遠の都の偉容


■あれもこれも陶製!


ここでは陶製の品物がちょこっと展示してありました。

兵馬俑の足下に敷かれていた「焼きレンガ」は重さが13.2kgで、厚さ9.2cm。
こんな大きさのレンガを一体いくつ焼いたのかな…。
水道管も展示してあったのですがこれも陶製…。
これだけなんでも粘土で作るのだから、さぞ食器は華麗で細工の細かいものを使っていたんだろうな…なんて思うんですが、展示してあるものはどれも質素で無駄がない。
それはそれで素晴らしいけど。


★青銅認版

度量衡を統一しなさいという詔(みことのり)が書かれている文字資料。
BC221のモノだが教科書で習った法令がこれに書いてあったのか…と思うと感動。


この展示会の超目玉-文官像


肌がほんのりピンク色
独特な表情が良い! まさに「憂いを帯びた青年文官」っつー感じ。
妙な色気を口元から発しているような気もします。
よく観察すると眉根が少し盛り上がっているのが表情を豊かにしている要因かもしれない。
右斜めから見る顔が素敵なのに、チケットや絵はがきでは”荒れた肌”の方を撮している。
どうしてかな~。美しすぎる顔では不都合なのだろうか…。


Ⅲ.秦の兵器-永遠の都を守る武器


ここでは戈とか剣とかが展示されていました。
解説版がちょっと専門過ぎて、読んでいても楽しくありませんでした。
金石文が重要だということは分かりますが、難しい漢字ばかりで眼がすべりました。


Ⅳ.秦の祭器-始皇帝の鬼神を祭る


青銅車の複製が部屋の真ん中にドン★と置いてありました。
そのまわりを観客が囲むように見学!
小さなライトが車内についているので、中の様子も分かりやすかったです。
この部屋にはその他、青銅製の壺や装身具などが展示されていました。

この部屋で展示は終わり! 
「えっ!? これだけ???」って思う人も多かったんじゃないかな…。

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★★おみやげチェック★★


兵馬俑グッズの中に、何故か『三星堆の青銅像』グッズが紛れ込んでました…(^_^;)
間違って買う人はいないと思うけど、どれもこれも値段が高かったです。
絵はがきも100円を超えてました…。どう考えたって高すぎです。
気軽に買える値段のモノも用意して欲しいなぁ~。変なクッキーとかいらないからさ…。
幸運グッズや石など中国物産展でも買えそうな品が場を占拠していて、あまりお宝は見つけられませんでした。
残念。売り場も狭かったし…。

シルクロード展-絹と黄金の道

ファイル 24-1.jpg日中国交正常化30周年記念

シルクロード展-絹と黄金の道

THE BROCADE AND GOLD FROM THE SILK ROAD

東京国立博物館 平成14年8月20日~10月6日まで


▼なんとなくブームが去った感のある、シルクロード…。

某国営放送が盛んに番組を放映していた時、その地はまさに「愛の国、愛の土地」でした。
久保田早紀の異邦人が流れるCM…、トルファンかなぁ、ロバに乗った老人がポプラ並木の道を進む…。
「憧れ、悠久のロマン…」 遙かな地であったシルクロードも、昨今はあまり省みる人もなく、
私でさえもその地を旅できたのですから、時代も変わりました(-_-;)。

そんな気持ちだったものですから、「まぁ、軽くね、サラッと見ればいいか…」と思い、いざ入場………。
そしてそこで改めて思いました…。
「やはり国立博物館、さすがだぁ~! ツボを良く知っている!!」

「シルクロード」という言葉は、依然として輝き、私を身体ごとロマンチックな世界へ引きずり込むパワー、文化、謎があることに気がつきました。
こんな素晴らしい展示会を見学させていただき、ありがたいことです。

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ファイル 24-2.jpg★展示紹介-1室目★

■さまざまな言葉、交差する人々


最初のコーナーは堅苦しいトコロがなく、目に楽しい物がポンポンとリズムよく展示されていました。

木簡、教典、墓碑や通行証のような多種多様な文字資料の展示。
大きな説明表が壁に貼ってあり、とても見やすい。
楼蘭から出土した木簡がさりげなく展示…楼蘭は幻の王国と言われていましたが、今は遺物もこうやって普通に展示されるようになりました。

見たこともない文字を見るのも楽しいです。
ホータン語をブラーフミ語で書いた人身売買の木簡とかは興味深いですねぇ。
他にもトハラ語とかウィグル語とか、ソグド語とか、チベット語とか、シリア語とか…。お腹いっぱい(^-^)
カローシュティ文字(カンボジア文字みたい)は初めてみました。

★ 説明文は、20文字×5行の100文字が目安のようで、その限られた文字数で、年、出土地、出土状況が巧みに織り込まれているのは、まさに職人芸! おまけに名文ぞろい。
以後、書き写した説明なども入れていきます。


■草原の道


遊牧系諸民族が残した、まばゆいばかりの金銀製品の数々…。
それと青銅製の生活用具、絹織物などを展示。

■このコーナーのいちおし!

★虎の形の金製品
下半身をひねって、上に振り上げる。特殊な形。カザフスタンから中国北部で愛好されたモノだそうです。

その他、豪華な金細工の指輪や真珠を縫い込んだ布など、4~6世紀の技術の高さはすごいです。


ファイル 24-3.jpg■オアシスの道、西域北道

カシュガル→アクス→クチャ→トルファン→敦煌

紀元前2~1世紀の塑像菩薩頭部、舎利容器、色鮮やかな染織品も展示

金製品の動物飾り(紀元前2~1とか)

■このコーナーのいちおし!
★布のお守り。立身出世を願った「登高」という文字は、センス良し!

■ガラス脚杯
丸いあめ玉が貼りついているようなデザイン。全体的にソーダ色でカワイイ。
6~7世紀の物なので、あまり銀化が進んでいない。

ファイル 24-4.jpg■このコーナー、最高の名文!-----------→


★ 39番円花鳳凰文錦


瑞花風の円花文の周りをさまざまな姿態の鳳凰が華麗に群れ飛び、
これらが朱地に金色に輝いて見え、華やいだ雰囲気を醸し出している

■説明文丸写ししてみました。
実物は何の変哲もない布なのですが、この文章を書かれた人のイマジネーションにビックリしてしまいました。
この方にはこの布が動画のように見えているようです。
「輝きながら群れ飛ぶ鳳凰…」この説明文を読んでから、改めて布を見ると、
グルグルと飛翔する鳳凰の風を切る音まで聞こえてきそうでした。
やはり人の興味を引き出す文章というのはあるもので、とても勉強になりました。
名もなき学芸員サマ、感服しました。


■宇宙から見たシルクロード

衛星画像を使った地図は、このような博物展では見たことなかったので、新鮮な感動がありました。
こういう時代なんだなぁ~としみじみ…。

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★展示紹介-2室目★

2室目は草原などがふんわりと印刷された垂れ幕が天井からつり下げられ、まるでパオ(ゲル)をイメージさせる空間となってます。

空間を大胆に使用したイメージ作りは、平面展示になりがちな博物展では、ちょっと面白い工夫。
最近の流行なのかなぁ。
エジプト展でも入り口にちょっとした神殿のオブジェを配置したことで、見学者の気持ちがあたためられたし、これはいい流行だと思いますよ。


■オアシスの道-アスターナ

「THE ASTANA TOMB」-唐の影響をもっとも多く受けた地域(トルファン)

62番の胡人俑
「確かな技術に裏付けられた秀逸な出来ばえ」
カッチョイイ男の粋な一瞬をとらえたポーズに、ちょっと惚れてしまいました。

7世紀の囲碁盤があった。十九路盤で今と同じなのでちょっと感動。

布などは7世紀に技術的なモノは、ほとんど完成されていることを知りました。
とても美しく繊細で、ヨーロッパではまだ毛織物という状況を比べてみると、やはり中国はすごいなぁと思う。


■オアシスの道-西域南道


カシュガル→ヤルカンド→ホータンなど、下の道。

ファイル 24-5.jpgあざやかな絹織物が多数出土

1世紀頃からすでに綿も絹も毛もありました。
特に絹はすごい。毛も思ったより厚くなく、加工や製法によって、いくらでも姿を変えることができると知りました。
色もずいぶんとカラフルで、写真の靴は生地の色が微妙なグラデーションになっていて、とても繊細です。


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おみやげチェック!!

シルクロード展は、過去に何回も行われ、さまざまなグッズが売られ、その過去の実績の元で、売れ筋商品がこの場に並んでいる…、一目見てそう直感したものの、値段が高くて手が出ませんでした(T_T)。

マウスパッドに1200円
シルクロードチックな柄の名刺入れが2300円
ネクタイは1万500円
展示品の写真を使ったマグネットが1200円………

そろそろ値段を下げませんか?
そうしたらもっと売れると思うんですけど…。
薄利多売じゃダメなんでしょうかねぇ…。

それと、絵葉書、今回はまったくダメでしたね。
つまらない物ばかりが絵葉書になってました。
センス悪いです。絵葉書用に写真を取り直すくらいの気構えが欲しい。

センスの良さで、一歩先を行く博物館であって欲しい。絵葉書コレクターの願い…。

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