~知られざるアラブ世界 8000年の文化遺産~
砂漠の王国-ヨルダン展
世田谷美術館で開催 2004年9月18日~11月7日まで
▼久しぶりの世田谷美術館…9月20日の敬老の日に行きましたが、それほど混んでいなかったので、ゆっくりと堪能することが出来ました。
▼今回は彫像の展示物もあるので、ボールペン使用は不可でした。
代わりに渡されたエンピツは手頃な長さで好感持てました。
(ちゃんと削って芯も尖っていたよ!(゚∀゚)ノ)
ただ、もうちょっと芯の硬度を上げてもいいんじゃないでしょうか…。
メモっているうちに先がすぐ丸くなったのには閉口しました。
■入り口のほぉぉぉ~
チケットを切ってもらい、なにやら薄暗い通路を歩かされる…。
「ずいぶんと奥まった所に展示室があるんだな…」なんてノンキに考えていると、突然、薔薇の宝殿が目に飛び込んできてビックリ!!
「ああぁ…これってシーク(岩の裂け目の道)を再現していたのか!!」と感嘆!!
なかなか凝った演出だけど、やはり通路に入る前に、このセットがペトラのシークを再現したモノだという説明位はあった方が良かったと思いました。
実際、数人のお客の動向をチェックしていたけど、誰もこの素敵なセットに気がついていなかったし…(^_^;)
遺跡を訪れたことのある人やめざとい人には好評だろうけど、このままでは一般のお客さん無視だよな…。
セットの色(淡い薔薇色)などすごくこだわりを感じたけど、内輪受けではダメダメ。
一般の人もこのセットの楽しさを共に楽しんでこそ、作った意味も出てくると思う。
■ヨルダン国王のご挨拶
このたび、日本とヨルダン・ハシェミット王国との国交樹立50周年を記念し、『砂漠の王国-ヨルダン展』を開催することになりました…
★展示の内容自体は広く・浅く。
でも地域限定ネタも多いので、興味のある人にとっては、石片1個でも嬉しく感じると思います。
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★旧石器時代
50万年前の大地-ヨルダン:狩猟・採集民の足跡
←(細石器:約50万年~1万年前)
ハンドアックス→ホモ・エレクトゥス(原人)が使っていたそうだ。
【細石器】→この小さな石片が当時の人にとっては万能の道具だったそうだ。
確かに持ち運びに便利で、切れ味も良さそう!
狩猟で生きていた人たちにとっては、大きな石器よりこんな小さなモノの方が便利なんだろうな~。
道具もこんな風に進化していくんだ…と説明を読みながら思いました。
この展示会は説明板が物の前に置いてあるので、スゴク良心的でした。
説明文も気が利いていて、分かりやすかった! 満点!!
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★新石器時代
紀元前8,300~4,500年:集落の暮らしと祈り
農耕・牧畜が始まる
この時代は万能具として大流行した細石器から特化した石器へと流行が移った時代だそうです。
その理由は人が定住するようになったので、ちょっと使い難い万能具より使いやすく、機能重視の石器に人気が出始めたからです。
その当時の【日干しレンガ】が展示してあったのには驚き!
世界最古…そう書いてありました…(^_^;)スゲー!
日干し煉瓦:イェリコ出土
★ プラスター骸骨
人骨が展示されていましたぁ~(*^_^*)
でもなんか気持ち悪い顔なんで、「???」と思ったら、なんと骸骨に漆喰を塗って、生前の顔を復元しているんだそうです…。
【説明板】-紀元前7,000~6,000年にかけて、石灰プラスター(しっくいの一種)を用い、死者の顔面を復元するという奇妙な風習が広がった。
下アゴを外し、全体を復元しているので寸詰まりの出来!
可愛いと言えるかもしれないが、でも夜には見たくない…。
アインガザルの胸像 ★ アインガザルの胸像(石灰製)
廃屋の下から25体の像が出土
年代は、先土器~新石器時代B中期:紀元前7,300年~紀元前6,500年
これくらい古くて、こんな形の胸像は珍しかったので、絵葉書まで買ってしまいました…(^_^;)。
古いのにこれは割と保存状態が良かったのですが、頭が2体ある像(チケットの写真)は復元の部分が多くちょっと興ざめでした。
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銅石器時代
紀元前4,500年~紀元前3,500年
農耕社会からの発展、壁画からオリーブまで
『銅石器』という言葉になんとなく魅力を感じました。
「トゥレイラート・エル・ガスル」という遺跡が大集落遺跡として紹介されていたのですが、展示物が4点のみというのはちょっと寂しい…。
案内版に「都市文明成立の鍵」と書いてあったけど、たった4点でそれを理解しろというのは無理な話だよな…。
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青銅器時代
紀元前3,500年~紀元前1,200年
エジプト・シリア・ギリシャ-環地中海域との交流盛んに
★ ひつじの毛刈り用の石器が興味深かった!(3,500~2,000BC)
★ 中期青銅器時代の「チョコレート・オン・ホワイト」の土器は格別に美しいです。
ろくろ成形。胎土に白の化粧を施してある。
なにしろ他の土器が素っ気ないモノばかりなので、白い色が暖かささえ感じさせます。
その他、ミケーネ、キプロスの遺物やエジプトのスカラベなどが交流の証として展示。
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鉄器時代
紀元前1200年~紀元前332年
都市から”王国”へ-旧約聖書の中のヨルダン
★ ここでの目玉! 騎馬人物土偶(紀元前700~550年)!
この像を良く見ると、鐙(あぶみ)を使わず馬に乗っていることが確認できます。
当時はまだ鐙を使わず、手綱だけで馬を操っていたんですね。
それと大きな展示物は、人型陶棺が目立っていました。
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ヘレニズム・ナバテア時代
紀元前332年~紀元前63年
ヘレニズムの波 デカポリス(十都市同盟)のヨルダン
ギリシャ系の土器など多数展示されていました。結構美品揃い!
↑(薔薇の宝殿の壁の模様を再現しました)
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ナバテア・ローマ時代
紀元前63~紀元後324年
ペトラの繁栄・ローマの栄光-アラビアと地中海の結合
ペトラ遺跡は有名だけど、あまりめぼしい出土物がないので、展示物は少な目。
見慣れた「アンフォラの壺」にさえ時間を割いて、ゆっくり見てしまったほど!
個人的に欲しいなぁ~と思ったのは、「ガラス」です。
透明な青が美しい!隣に並んでいた銀化したガラスも形が良かったです。←ローマン・グラスマニア(゚∀゚)ノ
★ 子供の石棺→綺麗に描かれた同心円に一目惚れ!
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ビザンツ時代
324年~636年
ビザンツの静寂
★ 見どころ:教会とモザイクの町-マダバとジェラシュのモザイク陳列
マダバ…行きましたよ。マダバ…。小さな…本当に小さな村でした。
世界最古の地図があるという教会を訪ねて行ったのですが、なぜか管理人が外出中!
時間つぶしのために近くの小学校で子供たちに遊んでもらったのが懐かしいです。
教会の外観は新しかったのですが、目玉の地図はさりげなく教会の床に残っていました。柵もなく、間近でゆっくり見ることができました。
この町には小さなモザイク博物館があり、そこでも古いモザイクを見学できます。
★ ジュラシュ遺跡…なんか入口を探してウロウロしていたら、中に入っていました…(^_^;)
ここは本当に大きな遺跡なので、モザイクの残る床などが柵もなく野ざらしになっていました。
シリアの遺跡はどこも列柱が有名なのですが、ここも本当に素晴らしい列柱が残ってました。
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初期イスラーム・ウマイヤ朝時代
636年~750年
イスラームの台頭-「アル・ウルドゥン(ヨルダン河以東の地)」の形成
あんまり印象に残るモノがなかったです。
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ドルメン
「エッ・ダーミアed-Damieh」
資料の展示はなかったのですが、販売されていた図録に紹介されていました。
ただ旅行者が気軽に見学できるような場所ではないようなので、よけいに気になってしまいました(*^_^*)
【図録より】
ドルメンの密集地帯。年代は銅石器時代~前期青銅器時代と考えられてる。現地での見学はやや難しいが、そのうち数基がヨルダン大学考古学博物館の前庭に移転復元されている。
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★★おみやげチェック★★
すべてが非常に高い!! 世の相場を鼻で笑うような値段設定。
クリアファイル-450円
テラコッタマグネット-900円
携帯用鏡-1000円
図録は2000円。写真豊富で情報豊富! これから行こうと思っている人にはお勧め。