開館30周年記念特別展
イートン・カレッジ/ダーラム大学所蔵
【古代エジプトの美展】
Egyptian Art at Eton College and Durham University
イギリス貴族の愛したファラオの宝箱
古代オリエント博物館 2008年10月10日~11月30日
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■全体の感想
イギリス貴族が愛した品々というサブタイトルがついているのですが、美しい…というより意外と趣味に走ったモノが多くて、とても楽しかったです。
■1.エジプト文明の芽生え
展示第1号として飾ってあったのは、フリント製の握斧。
作られた年代はなんと、紀元前700000年以降!
「ゼロが多すぎなんじゃないの?」と、何度もゼロを数えてしまいました。
意外と古い石器が出土するんですね。
となりには、ブラッドトップ壺と呼ばれる、縁が黒い土器が展示されていました。
形がドングリみたいで、すっと尖った、さきっちょの細さ、つややかな丸みが、なんとも美しくてウットリしました。
ネフェルティティ神が椅子に座っている像は、その台座に彫り込まれた精密な神々の姿が見どころかな~と思いました。
鏡を後ろにたてて、見えないところも見えるように配慮してありました。
同じ並びにネコの像が展示されていましたが、エジプトのネコ像って鼻-頭頂に段差がないので、オデコ好きとしては物足りないのですが、古代エジプトネコって実際もデコ無しさんなんでしょうかね?(´・ω・`)?
■2.神々の世界
ナンバー37に「マングース」像が展示してあるのですが、なんと、二本足で立ち上がっていました!
「古代エジプトにいた風太くんの前世だぁ!!」とビックリしました。
っていうか、マングースって沖縄にしかいないと思っていた無知な自分が恥ずかしくなったのですが、そいつが二本足で立てるだなんて、もっと衝撃的でした。
あまりに安定した二本足の立ち姿なので、このままスタスタと歩き回りそうにも見えました。
このマングースの隣には、トト神のヒヒ像が展示してあるのですが、顔が…。
二日酔いで目を開けるのもやっと…みたいな顔していました。
神様に捧げる像なのだから、もっとハツラツとした表情をさせたりすればいいのに、古代エジプト人はそーいうの、気にしないんですね。
あと、タイトルで笑ったのは、「ワニに乗るホルス神」
…なんでワニ!
■3.偉大なるファラオ
今回の展示の中で、声を失うほど見とれてしまった一品がこれです。
←61番.セベクホテプ4世の碗(中王国・第13王朝・紀元前1710・ファイアンス製)
深い海の底を思わせるような青色で、とても美しい碗なのですが、表面にポツポツと見える白いはじけた気泡が、ブクブクと海面に浮かび上がろうとする泡に見えて、ずっと見てても飽きないのです。
これは本当にキレイだな~と思いました。
■4.ナイルの暮らし
紀元前14世紀のエジプトでは全裸の女性図が多く描かれるようになったという説明がありました。
いつも気になっているんですが、古代エジプト人の壁画ってどうしていつも薄着とか全裸とかなんでしょうね。
昔はスゴク熱かったのかな? それとも寒さに強い??
私は2度エジプトに行っていますが、全裸になりたいと思うほど暑いと感じたことがないので、壁画をみるたびに不思議に思います。
薄着というのも神が喜ぶスタイルなのだとしたら納得ですが。
■5.来世への願い
面白くて可愛い像が多いコーナーでした。
プトレマイオス朝に作られた、顔が人間で身体が鳥の「バー」像の胸板が厚くてマッチョ系好きな私のハートを盗んでいきました。
じっと見つめていると、思わずこっちが目をそらしたくなるような可愛さでした。
「普段着のシャブティ(紀元前1300年)」というものが展示してありました。
普通シャブティって身体を包帯でグルグル巻きにされているんですが、展示されているモノは豪華な衣装を身にまとっていました。
来世で労働するために入れる人形に豪華な衣装を着させる主人の人となりにちょっと興味が沸きました。
■6.エジプト美術の遺産
ここの見どころは256番の「アメンヘテプ3世の小像(紀元前1350年)」です。
どこが見どころかというと、ズバリ腹筋です。
青い釉薬が凍石の上にかけられているのですが、そのテカリと凹にたまった釉薬の黒びかり具合がなんとも良く、体格の良さを際立たせているように思いました。
ヘソ下に巻いたスカートの細かい模様も完璧で、像全体が洗練された美しさに包まれていました。
エジプトの彫像は腹筋を意識させないモノが多いのですが、これは特別だなと思いました。
ミイラもありました。
棺に入ったモノが一体と、頭2個、手が2個。
手だけのミイラの展示ってめずらしいのですが、墨みたいで、言われないと粘土で作ったニセモノかと思ってしまうでしょうね。
よく見ると爪が残っていて、ちょっと恐いです。
頭の方は包帯を巻いているので、表情は分からないのですが、口元がちょっと開いていて、その間から白い歯が…ヽ(;´Д`)ノ
ちょっと恐いです。
あとは美味そうな鴨の像とかありました。
出口には細めのオベリスク像が展示してありました。
(アメンヘテプ2世のオベリスク・紀元前1420年)
凹んだところに金泥を塗り込んであって、とても美しいオベリスクでした。
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今回はオススメのおみやげは無かったです。