Masterpieces of the Museum Island, Berlin - Visions of the Divine in the Sanctuary of Art
よみがえる美の聖域-世界遺産・博物館島
ベルリンの至宝展
東京国立博物館で開催 2005年4月5日~6月12日まで
▼桜を目指して多くの人が上野に集まっていましたが、東博はいつものようにマッタリとした人の流れでした。
今回の展示会は入口の場所がエスカレートを上がったトコロから出発するのではなく、後ろの方が入口になっていて、その分よけいに歩かされるのが不満でした。
何のためにそんなレイアウトにしたのかな? と疑問も残ります。
▼今回はなるべく博物館の全貌を見せたいという主催側の意図が明確に出ていて、扱う地域は広いけれど、展示の内容は浅かったです。
ベルリンの所蔵品はすごいと聞いていたので、前知識もなく展示品を見ましたが、まぁ…確かに美品ではあるが、「これは!」という品がなかったので、やっぱり全体の印象としては薄さを感じました。
まぁ…本当のお宝は本国にあるんでしょうが、せっかくの日本展示なのだし気合いを見せて欲しかったです。
■今回の入り口は…
あまりにシンプル過ぎて、ちょっと悲しくなりました。
入り口正面には博物館島の写真がヒソリと飾ってあり、その脇に一本のギリシャ風の柱が立っていて、これが唯一、趣を添えていましたが、もうちょっとどうにか装飾つけても良かったんじゃないでしょうか。
私はベルリン博物館が一つの島をなしていたなんてことを知らなかったので、写真自体には強烈なインパクトを受けましたが、やっぱり入口で「おぉぉぉぉ」と驚きたいんです。
展示会に対する主催の意気込みを感じたいんです。
それが写真一枚ですからね…まぁ…ふ~んって感じでした(-_-;)
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★古代への憧れ
入口を入ってすぐの円形ホールに数体の彫像が飾ってありました。
どうもこれは旧博物館の円形大広間を模しているらしい。
でも誰もその空間を楽しんでいないのがちょっともったいないと思いました。
★先史美術
『ベルリンの黄金帽』
ドイツ南部出土(紀元前10-8世紀)
「時の君主 road of time」が被ったと言われる帽子ですが、金製だし、頭に当たる部分は固いしで、被り心地は悪そうです。
でも、魔法使いの帽子みたいで可愛いなぁ~と思いました。
★エジプト美術
■ベルリン博物館の収蔵品におけるエジプト文物の中では、新王国時代-第18王朝の華! テル・エル・アマルナ(アケトアトン)からの出土品が有名ということで、日本にも数点が来ました。
エジプトコーナーに点在する18王朝モノは巨大な「セクメト像」や巨大なヒツジ像などもありますが、やっぱりアマルナ時代の展示品が群を抜いて素晴らしかったです。
特にチケットにも顔が載っている、『ティイ王妃の頭部』は凄みのある表情をしていて、とても印象的でした。
この像を見た時、「ティィ王妃ってアフリカ系?」という印象を持ちました。
このティィ王妃像とネフェルティティ王妃像を比べると、当時の王宮にはいろんな顔をした人たちがいたんだな~と思いました。
ネフェルテイティの頭部は完璧な美を形にしていて、やっぱりこの女王は美人だな~と感動しました。
ちょこんと展示されていた、『ヒヒ』の像はエジプト最古の石彫の一つで、その台座には古い象形文字が描かれているらしいのですが、線が浅く、確認出来ませんでした。
ちょっと残念です。
腰羽目石板の浮彫::鳥頭の精霊(前950年頃)
トルコ、サマアル出土 ★古代西アジア美術
←ここのコーナーで一番、綺麗だな~と思ったのが石版に彫られた精霊です。
頭の形が「鳥」になっているらしいですが、ちょっと輪郭が定かではないのが残念。
でも腰から伸びた羽に愛嬌があって、私はこういう像が好きです。
★ギリシャ・ローマ美術
ここでの目玉は大理石で出来た『カラカラ帝の胸像』です。
カラカラ帝っていうのは、私の中では神経質そうな男という感じなんですが、逞しい胸像から受ける印象は理知的で思慮深く、尊敬される皇帝にしか見えないです。
まぁ…胸像なんてものは依頼主を喜ばせるために作るわけだから、それももっともなんだけど。
★イスラム美術
コーランが書かれた『コーラン:第一章-開扉』と祈祷用の絨毯が、素晴らしかったです。
絨毯を劣化させないように照明を暗くしていたため、地味なコーナーになっていましたが、それがむしろ心をリラックスさせる効果が生まれていたような気がします。
★コイン・コレクション
なんだか多くの人が真剣にガラスケースを覗いていました。
私はあまり興味がないので、ざっと見ただけですが、やっぱりお金にみんな興味があるのかねぇ~なんて失礼な事を考えてしまいました。
硬貨の図章は神様を中心に展示してありました。好きな人にはたまらない企画かもしれません。
★ビザンチン美術
あまりめぼしいモノはなかったです。
★中世ヨーロッパ彫刻
ここでの目玉は、1150年頃作の『磔刑』かな。
生気のないキリスト様ですが、昔っぽくて味があります。
★ヨーロッパ古典絵画
多くの観客がボッティチェリの『ヴィーナス』に足を止めていました。
確かに繊細に描かれた金髪がとっても美しいですが、これだけポンと見せられてもあんまり感動しませんでした。
ボッティチェリは背景の美しさもお楽しみのひとつなので、どんな美人さんでも単体では自分的にはふ~んでした。
★ヨーロッパ近代美術
若いカップルが、沼地に一本だけ生えている木の絵に感動しまくってました。
■その他、注目
エジプトコーナーに展示されていたマスクに民衆文字(デモティック)で書かれた文字がありました。
死者のマスクには「ヒエログリフ」と思っていたので意外でした。
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★★おみやげチェック★★
高い。絵はがきも地味。
キーホルダーに心が動きましたが高い。
クリアファイルは種類が多かったです。
宝石コーナーは5000円からの品揃えで、女性客に人気でした。
パピルスも売ってましたが、小さくても高い。
絵もヘッポコ。複製というより我流で勝手に描いているモノが多かったです。