特別展 古代アンデス文明展
ANCIENT CIVILIZATION OF THE ANDES
2017年10月21日 - 2018年2月18日
国立科学博物館(東京・上野)
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久しぶりのアンデス展です。
今回はミイラも多めでした。
展示室はいつもの1本道タイプではなく、キープのように放射状に配置したりと工夫されていました。
レプリカなどもありますが、アンデス地方の歴史と文明の系譜が分かりやすいようになっていました。
展示の分量は少なめで物足りないと思う人もいるでしょうが、私はむしろサクサクと見て回れたので好印象でした。
映像コーナーは品薄をカバーしているのかなと思いましたが、綺麗な映像で満足でした。
【入り口ホール】
入り口で目を光らせているのは、このリャマ!
サイズはかなり大きめで、ワリ出土の大型リャマはこれだけだそうです。
目が大きく、おまけにウルウルしているので、とっても愛らしいです。
背中に小さな壺が乗っています。
ちゃんと確認してこなかったのですが、下に通じてる?
もし通じているなら、相当大きな壺になりますね。
【展示のみどころ】
■コトシュ遺跡の復元模型
コトシュ遺跡が2層になっていることを示す模型です。
あの「交差する手」が神殿増設工事の中、よくまぁ壊れずに残っていたモノだと思いました。
男女の手の表現も違いが分かって面白かったです。
この頃からアンデスの人たちは「指先」に特別な想いを持っていたんですね。
■チャビンデワンタル遺跡の石の杭が展示されていました。
現地でもいくつか見ましたが、こうやって近くで見ると「デカイなぁ」と感じます。
動物から人間に顔が変化する様子を表現している…というようなことを説明していました。
たった2枚だけのパラパラ漫画を見せられているような感じですが、ちょっと面白い説だと思いました。
■今回の展示で一番気になったことは、「足指」です。
チャビンの「サル人間の図」の石板の足を良く見てください。
どうして全部の指が縦に並んでいるの!!
エジプトの壁画みたいに、シュッと横向きにするとか、指先正面とか…描き方はあるというのに!!
この描き方、ナスカあたりでも流行していたようで、あちこちの足が同じ縦指!
不思議ですね。
■今回の展示は地味に怖い物が色々とありました。
「擬人化したネコ科動物(モチェ文化)」
元はネコ科の動物だそうですが…私にはまったくネコ科に見えないです。
たとえば、ひこにゃんとかライオン株式会社のライオンなど、日本人は二本足で歩くネコ科をたくさん生み出してきましたが、だいたい可愛いです。
しかしモチェのネコは…まるで地獄の使者!!
モチェ人…恐ろしい子!
そしてもう一つ怖かったのが、「自身の首を切る人物の象形鐙型土器(クピスニケ文化)」です。
もうざっくりと首が切れて内部の血管まで見えていました。
しかしポーズが変というか、この頭を元の位置に戻すと、なんと後ろ前が逆に!!!
アゴの下が背中…。
誰でも一度は夢見る「背中を見ながら、背中を洗う」というのがあると思いますが、この像はそれが出来ちゃうんですね。
ミスではなく、この後ろ前にも何か意味があるのだろうか…と悩んでみるのも楽しいです。
■その他、日本初公開の「パリティ島の遺物」も興味深かったです。
壺に顔がついているのですが、特徴としてどれも唇が薄いです。
■待望のミイラコーナー!
厚い布団に包まれていたミイラを剥がした状態で展示したりと、わりと普通の展示でした。
しかし最後の方で、さりげなく「割った土偶の割れ方に合わせて、生け贄を切り刻んだようです」というような説明板と写真があり、とても驚きました。
日本も土偶を意図的に破壊して埋めたりしますが、アンデスでは人間もその形に合わせて刻むとは…。
身近に感じていたアンデス人たちが一気に遠く感じられた瞬間でした。
おしまい。