遺跡馬鹿のイベント潜入記

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マチュピチュ「発見」100年インカ帝国展

インカ展マチュピチュ「発見」100年インカ帝国展 The Inka Empire Revealed: Century After
2012年3月10日(土)~6月24日(日)
東京・上野国立科学博物館


久しぶりのインカ展なので初日に駆けつけました!
といっても当日は冷たい雨…でも多くのお客さんが来場していて異様な熱気に満ちていました。

まずはカハク内のレストラン「ムーセイオン」へ突入し、一日30食限定の特別メニューを食べました。
感想は下の方に書きますが、店に到着したのは11時30分頃。
すぐに席に案内されましたが、12時頃に食べ終わって外に出たら多くのお客さんが待っていました。
限定食を狙う場合は早めに行った方が良いですね。

インカ展【入口の様子】

エスカレーターを降りると、床にインカ道の写真が貼ってあり、それが入口奥まで続いています。
たぶんスタッフは思い入れたっぷりに写真を用意したのでしょうが、残念ながら混雑した入口では足下の写真に気づいている人はほとんどいませんでした。
でも私のように「おっ!」と思う人もいるし、スタッフの「入口から気合い入れてるぜ!という想いも感じられました。
しかし実際の入口フロアは、パネル壁と天井からつり下げられたディスプレイでビデオ垂れ流しという面白みの欠ける簡素さなので、凝ったデザインを楽しみにしていた私としては、ショボーン(´・ω・`)でした。

インカ展第一部 インカ 帝国の始まりとその本質

    インカ人が使っていた日用品などが展示されていました。
    色鮮やかな貫頭衣(ポンチョ)とか、チチャを飲むための専用カップ「ケロ」など、割と普通のモノが多かったです。
    その中で可愛かったのは木彫りの玉座です。
    ジャガーの体が座板を支えているのですが、その顔がちょっとユニークです。
    よく見ると歯の間から赤い舌が出ています。
    この舌のお陰で怖いジャガーも愛嬌たっぷりに見えます。


    インカ展ちょっと気持ち悪いモノを見つけました。
    ジャガイモをデザインした壺ですが、ジャガイモの芽が人間の目に見えて、まるで百目妖怪みたいです。

    このコーナーの最後には外科手術が行われたドクロ3つが展示されていました。
    人骨好きとしてはドキドキ楽しい展示品でしたが、四角く削り取られた頭蓋骨はちょっとリアルで痛々しく思いました。
    このドクロの面白いところは切り取った骨片も展示しているところです。
    この骨片で穴に蓋をしていたそうです。

インカ展第二部  インカ:帝国の統治

    ここの目玉は「ミイラ」でした。
    ペルー北部のチャチャポヤ遺跡で見つかった空中墳墓。
    そこから引き出したミイラを4体展示していました。
    前評判も高かった「眼球のあるミイラ」ですが、なんと女性のミイラだそうです。
    展示されているミイラはヒモで手足を縛られていて、体型が良く分からなかったので、てっきり男性だとばかり思っていました。
    ミイラの正面に立つと目が合うのですが、なんとも不思議な感じです。
    ガラスケースの奥行きが狭いので、ミイラと観客の位置がすごく近いです。
    なのでミイラの目をしっかりと観察することが出来ます。
    縛られているので、みんなムンクの「叫び」状態になっています。

    ミイラ達は指に金属の輪をしている者、漁労用の網を体に巻き付けている者など、生前の生活用品と一緒にミイラになっているのですが、その物のお陰で彼らが生きていた時の様子が浮かんできました。
    網を巻いていた人は海の男で、漁が上手で、きっと女の子にモテモテだったような気がします。


第三部 第3部 滅びるインカ、よみがえるインカ
    インカ王国最後の様子を丁寧に解説していました。
    インカ王たちも抵抗しましたが、最後の王様が処刑されインカは滅びました。
    …が、19世紀にインカ王の再来(トゥパクアマル2世コンドルカンキ)が現れ、蜂起。
    しかし捕らえられ、四肢断裂というむごい処刑を受け、この乱も鎮圧されてしまいました。
    インカは2度の迫害を受けたことを強く主張しているような説明文でした。
    ヨーロッパ絵画技術で描かれたインカ皇帝の肖像画は味があるというか、すごくリアルで、夜になったら声でも出しそうな感じでした。

第四部 マチュピチュへの旅
    巨大なマチュピチュの模型が展示されていました。
    神の目線でマチュピチュを堪能出来るので、これは面白いと思いました。
    本国ペルーの博物館にあるものより大きいんじゃないかな。
    この模型の見所は、いろいろありますが、
      1.ワイナピチュの裏側を横から見る
      2.ハイラム・ビンガムが這い登ったというマチュピチュ裏側の地形を堪能する
      3.ついでに月の神殿(ワイナピチュの麓あたり)も確認する
      4.分かる人はパチャママ神殿の生贄の石を探す(巨大な一枚岩)

【おみやげコーナー】
    相変わらずの民族衣装&小物など、定番アイテムの販売もありましたが、展示会のオリジナルキャラのグッズも充実していました。
    あとミイラとなったインカ王を御輿に乗せて運ぶ「あの絵」のアイテムがあちこちにありました。
    A4クリアファイルとか栞とか…。
    あとマラス塩田の塩もありました。もちろんインカコーラも!
    他には展示品をフィギュア化したガチャポンもありました。
    5種類中、3種類が「インカ皇統記」の挿し絵というのは、ちょっと手抜きですよね…。
    300円も払うのだから、パチャママ像とかせめてケロとか…可愛い物を出して欲しいです。

インカ展【ムーセイオンの特別メニュー】
    1日30食限定!
    「インカ帝国展記念特別メニュー「エスファド・デ・ポジョ風 鶏もも肉のスパイシー 焼きペルー風」

    <皿の構成>
    鶏肉+ソーセージ+トウモロコシ+さつまいも+ジャガイモ

    とりあえずインカっぽいと言えば、「トウモロコシ」と「ジャガイモ」ですが、もう一ひねり工夫が欲しかったです。
    鶏肉のソースに入っている「豆」はペルーっぽいかな…と感じました。
    肉はやわらかいし、トウモロコシは美味で味は大満足でした。
    できればインカっぽく冷凍ジャガイモ「チューニョ」にインカコーラを付けてくれたらもっと良かったのに…と思いました。

マヤへの道 古代メキシコ・オルメカ大文明

マヤへの道 古代メキシコ・オルメカ大文明
2010年10月9日(火)~12月19日(日)
古代オリエント博物館(池袋)

オルメカ文明展めずらしくオルメカ関係の文物がやってくるというので、さっそく行って来ました。
中南米というとマヤ文明やアステカ文明が有名ですが、その基礎となるオルメカ文明はあまり知られていないので、分かりやすい展示を心がけていたように感じました。


【入り口の様子】

すごく凝った演出になってました。
まず奥行きのある石の門を作り、その通路に草とか置いて、ジャングルの密林を思わせるような雰囲気を出してました。
私はポリネシアン・レストランの入り口みたいな印象を持ちましたが、なかなか良かったです。
その密林の中には、ジャガーの剥製が置いてあり、ジャングルにはこんな動物もいるんですよと説明されていましたが、どうせならオルメカ人はジャガーを神として見ていたことも説明してあったら、さらに良かったんではないかと思いました。


オルメカ巨石人頭像(サン・ロレンソ出土)

オルメカといえば、この大頭です。
タレ目がキュートです。

さすがにこれはプラスチック製のレプリカですが良く出来ていて、ちょっと見ただけでは本物のように見えました。
オルメカの大頭は色んなタイプがあるのですが、この像はどちらかというと細面系で、優しい印象があります。

プロローグ・マヤから遡る

    ここでは、写真と年表を駆使して、オルメカ文化というものを説明していました。
    1万2000年前、ベーリング海峡を渡って人間が新大陸にやってきましたが、中南米にまでたどり着いた人類が初めて文化を築いたのがオルメカです。
    ここで生まれた宗教やデザインは、マヤ文明にも大きな影響を与えていることを説明していました。

    一番興味深かったのは、マヤの長期カレンダーの起点が紀元前3114年となっていて、オルメカ文明の期間に食い込んでいることです。
    このことから、マヤ・カレンダーの基礎を作ったのはオルメカ人ではないかという説もあると紹介されていました。
    カレンダーを作るには天文知識も必要です。
    オルメカの人たちはすでに天文に対する知識を持っていたというのは驚きです。
    というのも、私がオルメカ遺跡を訪ねた時、彼らに対する私の認識は未開の原住民といった感じで、本にもその程度の説明しかなかったからで、今から思うとすいぶんと偏見を持ちながら見学していたんだな~とちょっと恥ずかしくなりました。


人々と自然オルメカ展
    なんか絵が大きくなってしまいました…。
    これはラベンダ遺跡(紀元前1000年~紀元400年)から出土した小さな土偶ですが、とっても可愛いので描いてみました。
    子供を軽々と抱える、たくましい母親の姿と子供のむっちりとした体つきが、とても印象的でした。
    私の他にも女性達が興味深く像を見てました。
    オルメカの像はつり上がった細目で、日本の縄文土偶に似ているせいか、親しみが湧きます。



会場に置いてあったスタンプです。なかなか可愛いです。


スタンプ神と主権(サンロレンソ、ラベンダ)

    緑色スタンプに描かれた像が現地から来てました。
    肌色の地がキレイな、なで肩の神の像です。
    ロス・サンダードス遺跡出土で、だいたい今から1200年前のものらしいです。
    こういう像はいかにもオルメカらしい形で、なかなか面白いです。

    このコーナーには、有名な「会議する人々」が展示されていました。
    複製ですが良く出来ていて、ほとんど本物と同じでした。
    オルメカ特有の赤ん坊顔と、いびつな頭骨の形が奇怪で、個々の像の立ち位置や像の岩質と背後の屏風岩の関係などを考えながら見ると、見飽きることがありません。
    この像は立ったまま、今見ている通りに出土したので、それだけでもオルメカ人たちの宗教観を考える上でも貴重な遺品だと思いました。

    ここでの目玉は「ひすいの仮面」です。
    高さ17センチ、幅14センチ、製作時期は紀元前1500~1000くらい。
    つるつると丁寧に磨かれていて、歯を見せている表情がキモイなーと思いました。
    ウエヤパン・デ遺跡で発掘された物です。

    ▼聖なる地「エル・マナティ遺跡」-紀元前1000年の遺跡
    ここでは、出土した石が展示してありました。
    これらは泉や水の湧くところで発掘されていて、その用途は未だ謎です。
    涙や水滴のような形の石がずらっと展示されていたのは壮観でした。
    ただ同じ形の石ばかりで興味ない人も多いでしょうが、磨き砂程度しか持たないオルメカ人たちが、ツヤツヤと磨き上げた石をどんな思いで埋めたのかと思うと、なかなか興味深いです。
    こういう物を見ると、中国の璧(へき)や日本の勾玉(まがたま)を思い出します。
    オルメカ人も私も同じモンゴロイド、石を愛でるポイントもやはり似るものなのかと、しみじみ思いました。
    こんなにあるんだから、一つくらいは触らせて欲しかったです。
    きっとウットリするくらいなめらかなんでしょうね。゚.+:。(´ω`*)゚.+:。ポッ

    ここでは天然ゴムのボールも出土しています。
    バレーボールほどのサイズで、見た目は真っ黒です。

    「こんなモノ初めて見たよ!」と、感動したのはオルメカの木製像です。
    高さは42センチもあり、全体は茶色にくすんでいます。
    頭の部分が少し欠けていたのが残念ですが、瞑想中の仏像のような存在感で、とても眼を惹きました。


交流と拡散
    オルメカオルメカ文化が影響を与えながら他の地域に広がっていったことを説明していました。
    一番面白かったのは、絵にも描いた、頭が二つある土偶です。
    なかなかキモイです。
    ちなみにこれは展示品を見ながら描いた絵です。
    いつもこんな絵をこそこそとメモ帳にスケッチしてます。



マヤへの道
    マヤカレンダーの解説がありました。
    日本で初公開の碑文もここに展示されていましたが、ちょっと目立たなかったです。
    「マヤの予言」が注目されているせいか、難しいカレンダー解説を熱心に読む人もいました。

【おみやげ】

久しぶりにおみやげ買いました。
生成の布にマヤカレンダーの歯車が描かれたエコバッグです。
300円と値段も手頃だし、使い勝っての良いA4サイズなので、資料を入れるにも重宝します。
そのほか、「オルメカ展に行って来ましたクッキー」もあって、なかなかの充実ぶりでした。

インカ・マヤ・アステカ展

ファイル 1-1.jpg The Three Great Civilizations of Mesoamerica & the Central Andes The World of Maya , Aztec and Inca
世界遺産の宝庫 中南米三大文明

インカ・マヤ・アステカ展

国立科学博物館で開催 2007年7月14日~9月24日まで

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▼初日に突撃してきましたが、朝から混雑していました。

テレビで特別番組が放映されていたり、世界遺産への関心も高いせいか、台風接近の雨の中、朝から大勢の人が展示会に押し掛けてました。

今回、気がついたのは旅行カバンのカート(ガラガラと引くヤツね)を会場内に持ち込んでいる人が数人いました。
ベビーカーなら仕方ないと思いますが、さすがにこれはスタッフがロッカーまで誘導すべきものじゃないかと思いました。
会館の入り口(切符チェックはここ)から展示会入り口までは一方通行になっているため、一度入ってしまうと、会場内を抜けなければロッカー室まで行くことができません。
これでは途中で預けたくなっても、身動きとれないだろうと思います。
カートの車に足をぶつけられて不機嫌になるお客さんもいたので、スタッフも気を利かせて欲しいですが、今後もカート持ち込みのお客さんが増えそうなので防犯の意味でもしっかり誘導して欲しいと思いました。


▼今回のオススメ

展示品の 9割が本邦初公開!
これだけでも行く価値はあると思います。
逆に言うなら1割は以前見たことのある遺物ですが、それなりに懐かしかったです。
「おぉ~また会えたな!!」などと語り合うのも、また楽しいです。

ファイル 1-2.gif■入り口

ものすごく凝ったデザインでした。
絵に描いてみましたが、屏風のように写真パネルを3枚立てて、その前に大きなテーブルがあります。
このテーブルにはモンゴロイドがアフリカらから出発し、アンデスに文明を興すまでの時の流れを一気に説明する「動く年表」となってます。

横を向くとジャングルに生息する動物をプリントしたパネルで天井を覆って、樹木のトンネルを造っていたりしています。


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★マヤ文明のあけぼの

展示用の棚ですが、注意して見て欲しいです。
ウシュマル神殿の特徴あるアーチや赤い壁、壁画の石組みを巧みに組み合わせて、雰囲気ある空間を作ってあります。
ここでは古典期の土器などを通してマヤ人の生活スタイルを紹介しています。

【私の注目-中央に飾ってあった王の石版】
600年に作成された王の姿を彫り込んだ石版ですが、これがとても素晴らしいです。
右足のかかとを少し上げ、右手を胸の前でひねっているのですが、この手印が優美。
後ろに流した左手も自由な感じ。
王が背負う羽根飾りが動きに合わせてワシャワシャとこすれて音を出しているように見えます。
この一瞬の動きを捕らえた構図は素晴らしいです。

■エキセントリック・フリント
フリント(火打ち石)を細かく砕き、不思議な物体を作り上げてますが、とても印象的です。
細かい仕上げに職人魂を感じます。
でも、何に使ったのか気になります。

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★オルメカ→テオティワカン→トルテカ

中米の文明を一気に説明していました。
私が面白いと思ったのは「テオティワカン」の大きな土偶(壺?)です。
色は地味な灰色ですが細部も細かくて見ていて引き込まれる美しさがあると思います。


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★アステカ

メキシコシティの中心部にある「テンプロ・マジョール博物館」の展示物が多かったです。
この博物館は外から遺跡が見られるせいか、お金を払ってまで博物館を見学しようする人が少なかったり、メキシコ人類学博物館だけで済ます人が多いので、中心地にあるのに無名の博物館だったりします。
今回、あっと驚く展示物の数々で、この博物館の評価も高くなったんじゃないかと思っています。

ファイル 1-3.gif■ここではアステカの神々を中心に展示してあります。
なぜか「体育座り」をする神の多いこと!
顔は怖いのですが、その姿に愛らしさを感じました。

他には王の小道具なども展示してあります。
中央にはドン★とアステカの神殿群を復元したジオラマが飾ってありますが、残念ながら無説明で展示してありました。
各建物の名称くらいは立て札でも立てて説明して欲しかったです。

■青い壺は展示会のマスコットボーイとなっていて、パンフレット等でお茶目に解説している姿が微笑ましいです。
本当はそんなに可愛い神様じゃないと思うんですが。
あと「鳥人間」の像もインパクトありました。
今でもこんな衣装をつけて踊る村人とかいますね。

■このコーナーではアステカの生け贄についてビデオ解説をしていました。
心臓がぴゅーと飛ぶ絵を見た子供が「これ、教科書で見た!」とか言っていたのに驚きました。意外と残酷な資料も最近は載せるんですね。

■チャックモールも飾ってありましたがレプリカでした。
神殿を模したセットの上に鎮座してました。赤いライトが不吉な雰囲気を出していて合っていると思いました。


ファイル 1-4.gif ■ちょっとユーモラスな「ミクトランテクトリ神」
頭のポツポツは毛を植えていた跡だそうです。毛のある神…ちょっと想像できません。
この神の特徴は体の中に見える臓器です。
心臓とか肝臓とか言われていますが、はっきりとは分かっていないそうです。
かなり大きな像で、見上げるほとです。
顔は笑っているけれど不気味ですね。


ファイル 1-5.gif■テンプロ・マジョール博からのビッグゲスト!
穴あきドクロです。
でも本物は1個だけで、あとはレプリカです。
現地では驚くほどのドクロたちが、ずらっと串に刺さってます!

隣も驚きのドクロです。
お客さんも大興奮で見てました。

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★インカ文明

部屋の造形が素晴らしかったです!
これは現地で驚いてください!
実際、よくまぁ作った物だと関心しました。お客さんに少しでもマチュピチュを味わって欲しいという主催側の気持ちが伝わってきました。

武器や生活用具、キープなどが展示してありました。
最初の部屋にはマチュピチュの全体模型がありました。
ちょっと小さすぎて本来の規模が伝わらないのが残念ですが、高低差、建物の並び等、興味深かったです。

■変形頭蓋骨が展示されていました! 人骨好きなみなさん、お待たせしました!!
縦にのばしたり、横にのばしたりと頭蓋骨の形がこんなに変わるとはお客さんも知らなかったみたいで、驚く人続出でした。

■テレビでも紹介されていたミイラが展示されてました。
思った以上に美麗でした。
特に男性のミイラは肌の様子などを見ると、フリーズドライされたような感じでした。
子供のミイラは男性より古いミイラだそうで、男性を埋葬するとき、わざわざ掘り出されて再埋葬されたそうです。
親子なのかな~と思うのですが、まだ断定出来ないそうです。
三つ編みされた髪にツヤがあって、これは不思議でした。
どうしたらこれほどのツヤを保てるのか…是非とも知りたいところです。

■最後に展示されていたミイラはショッキングでした。
お腹を割かれ、なんと中に織物が詰められていたそうです。
よく見ると確かにお腹がパックリ開いていて、中に布が見えました…。
いくら神に捧げるためとはいえ、人間を巾着袋のように扱うインカの世界にちょっとぞっとしました。


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★★おみやげチェック★★


第一会場には少ししかないのですが、第二会場には、たっぷりとミヤゲが売ってました。

T-シャツからクッキー、ノート、文鎮(1960円)、ドクロのついたボールペンなどマニアックな路線を突き詰めたグッズが多かったです。
クッキーは丸缶でした。四角い形ならカードケースとして使用したのに…と思いました。
クリアファイルは青い壺をデフォルメしたモノが可愛かったです。(400円)
しかしタオルに1200円とか、値段はビックリでした。

神秘の王朝-マヤ文明展

ファイル 22-1.jpg MAYA Kingdom of Mystery

神秘の王朝-マヤ文明展

国立科学博物館で開催 2003年3月18日~5月18日まで


▼マヤ遺跡といえば「メキシコ・グァテマラ」ですが、今回はホンジュラスの国立人類学歴史学研究所研究員である『中村誠一先生』が中心となって、「今までとはひと味違うマヤ展」を開催していました。
▼副題には「神秘の王朝」とありますが、展示の中心は「マヤ文明の実像に迫る」という意図がはっきりと打ち出されていて、とても小気味よい展示会になっています。
▼辛い点をつける私ですが、今回は文句無しに「星3つ★★★」でした。

ちらしより:

マヤ文字は解読され、謎だらけだったマヤ文明の全貌が、今、明らかになりつつあります。

チラシを読むと、現在、マヤ文字の8割が解読済みだそうです…いつの間に…。
今まで分からなかった王の名前もみんな解読されていて、いろんな意味で新鮮な驚きに満ちた展示会でした。


ファイル 22-2.jpg ★入口からしてステキ

入口の演出がすごく凝ってました。
白黒の遺跡写真の前に、樹木をプリントしたオブジェを立たせ、入口から展示室までの通路をあたかもジャングルのように演出しているのです。
その遊び心に感嘆しましたね。
突き当たりで私達を待つタイトルパネルも泣かせるデザインとなってます。

エントランス部分をちょっと遊ぶだけでも、訪れる人にとっては展示への感心が増すものです。
ついでを言えば、鳥のさえずりやホエ猿の声も効果的に使うと、さらに良かったんじゃないかと思いました。


主催のご挨拶

従来の謎とロマンのマヤ文明像ではなく、新しく解明されたマヤ文明像をお見せいたします。
「マヤ文明発見の旅をお楽しみいただければ幸いです」


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第一部 よみがえるマヤ王朝

■ホールを円形にして、床に6大文明の世界地図を配置。
壁に貼られたパネルの一つ一つが古色然とした色、デザインになっていてとてもステキでした。

★ 見所

○マチュキラ石碑3号-石灰岩(815年)

最初に遭遇するマヤの石碑! かなりのインパクトがありました。
他の人も「ほえぇぇ~」と、驚きの声を上げてましたね。
そして今回、石碑に彫られたマヤ文字が読めるようにと丁寧な解説パネルも掲示されているので、私のような初心者でも「フムフム」と、石碑に何が書いてあるのか分かるようになってます。
ある意味、すごいことですよねぇ。これって…。
「ただ見るだけではなく、一緒に謎を解きましょう」という主催者の気持ちも伝わります。


◆貴族の日常

★ ここでは貴族が普段使う道具などが展示されていました。


ファイル 22-3.jpg■ちょっとすごかった品物

★右図の「カカオの神」--全身にぼつぼつとカカオが…。鳥肌ですよぉ

★No.26-カカオ用の多彩色の円形型壺--容器上部にわざわざ『カカオ用』と書いてあるんだって。
当時は専用容器で飲むほど、貴重品だったんですねぇ。


ファイル 22-4.jpg ◆美と知識の想像と体現

★ ここでは当時の書記が芸術、文化の先頭を走っていたという検証をやってました。


■ちょっと気になった品物

★樹脂の残骸が残っていたという大壺-『コパル』という樹脂の残骸が残っていたそうです。

エジプトのミイラに使われていた香料を調べる関係で、最近、香りに興味を持っているので、マヤの「コパル」という樹脂の存在がメチャクチャ気になります。


コパル

メキシコ産の針葉樹の樹脂。琥珀に似ているそうです。
色は白っぽい感じ。これを香として焚いたりしたそうです。

★No.52ピエドラス・ネグラスのパネル--石器で彫られたわりには線がするどいです。
少し離れたトコロにあるガラスケースの中に、彫刻用の石斧も展示してあるので、忘れずに見ておいてくださいね。
「こんな道具しかないのにあれだけのモノを…」と、感心することができます。

★蓋つきヒスイ容器の展示台がさりげにピラミッド形になっていました。
どうも良品を展示する時にこの台座を使用しているみたいです。

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◆劇場的世界

★ 芝居がかったマヤの人々…王様や貴族、一般市民にまで広がる、その役者魂をさりげなく紹介。


■ちょっと気になった品物

ファイル 22-5.jpg ★ユーゴという名のプロテクター--マヤ式ボールゲームの際に着用したと言われている、見た目にも重そうな石のプロテクター。
解説板にも「非ぃ実用的」と書いてありました。


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第二部 コパン王朝興亡史

■ここではマヤ文字解読から見えてきた、コパン王朝の栄枯盛衰を詳しく解説しています。
このコーナーを見終わった後、あなたのマヤ観も変わるでしょう。

★ 見所

○「祭壇Q」のレプリカ-グラスファイバー製


実物から型を取ったレプリカなので、もう素材が違うだけで99%はオリジナルと同等です。
細かい彫りの具合までバッチリ観察できます。


■ちょっと気になった品物

★No.72の絵文字様式の彩色壺--墨絵の感じが鳥獣戯画のような絵壺。迷いのない線がまた魅力的。正面より向かって右の方がダイナミックでよろしい。

★謎のゴムボール--第一展示室出口付近に球技で使ったゴムボールのレプリカがおいてある。
ウーレ(hule)という木の樹脂を固めて作ったものだそうです。
みかけは焼けこげの『たこやき』みたいですがよく弾みます。

★ ◆コパン王朝の成立と拡大

★ 見かけはひとつのピラミッド…だがそれはロシアのマトリョーシカのように幾層もの墳墓が埋められた、魔の聖域だった!!


■西暦426年 ガシュ・クック・モがコパン王朝を創始。
ピラミッドの最深部はフナル王朝のモノ?とマルガリータ神殿が中心。
マルガリータからは「赤い王妃」が発掘されました。


★ ■10J-45「王墓の謎」-コパンのメイン遺跡からちょっと離れている
アクロポリス外で見つかった初めての王墓です。
王位継承者のみが持つことを許されるというゴザ編みのヒスイ製品が出土しました。


■このコーナーではマヤ人たちが生み出した、奇妙キテレツな想像の産物を見ることができます。
鼻のもったりした神官像しか知らない人にとっては、まさに驚異の世界となるはずです。


★ ■ちょっと気になった品物

★怪物型の香炉--もう見た目がスゴイ印象的です。どうしてこんなモノを造ったのかと、小一時間問いつめたいですね。


★王の姿をかたどった土偶たち--チョルチャ王墓の出土物。香炉の蓋に作られた王たちの姿・形がとてもユニーク。一体、一体をよく観察すると「ふんどし」の形が微妙に違う…(^_^;)。


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◆内乱と衰退


■18ウサギ王がキリグア王に首を狩られてからコパン王朝は衰退していったそうです。
キリグア遺跡とコパン遺跡って距離がとても近いんですよね。
そんなご近所王朝がなぜ、仲違いをするようになったんでしょうね…。


■ちょっと気になった品物

★変形された骸骨-歯にヒスイが象眼された骸骨。マヤ人と言ったら、この「変形頭」ですが、今回の展示ではあまり重要視されてませんでした。もう2、3個は見たかったです。


◆コパン王朝の崩壊

古典期マヤ文明の崩壊に関する仮説


▼有力なのは

都市間の戦争
貴族の反乱
生態系の破壊-これについては栄養失調の人骨が見つかったそうです。


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◆バーチャルリアリティシアター

形は映画鑑賞と同じです。客席とスクリーンが用意されています。
違うのは民族衣装を着たお姉さんが、西暦802年のコパンへ私達を誘ってくれるというアトラクションになっていることです。
『仮想考古学』という新しい手法といえますね。

廃墟や遺物ばかりの展示と違い、遺跡にも人が住み、太陽はめぐり、音や匂いが溢れていた…そんなイメージをお客さんに持ってもらうには最適の方法です。オモシロイ技術が育ってきているのですねぇ~。


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◆お土産チェック

バーチャルシアター前の空間を利用してお土産屋がマヤ関連のグッズを販売していました。
いつもの「クリアーホルダー」や「しおり」などのレアアイテムはありませんが、なかなか素敵なモノが並んでいて、買っていく人も多かったですね。


★ グァテマラ観光局が美麗なパンフレット配布していました。
★ マヤ文字のセンスの良いTシャツはステキでした。これからの季節にはちょうどイイですね。
★ 『文明展オリジナル』と銘打ったマヤ土器のチョコレートセット! 味見したかった(^_^;)

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