遺跡馬鹿のイベント潜入記

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ペルシャ文明展

ファイル 5-1.jpg The Glory of Persia
世界遺産・ペルセポリスの栄華 煌めく7000年の至宝


ペルシャ文明展

東京都美術館で開催 2006年8月1日~10月1日まで


大帝国を築いたペルシャの文物が展示されるというので行ってきました。
今回は「イラン国立博物館が選りすぐった200点の逸品!」が来ているそうです。
確かに選ばれた品々はどれも「現地の人が好みそうなデザイン」が多かったです。
また豪華だけど清楚な文物も多いので、異国情緒もたっぷりと感じられました。


■今回の入り口は…

目の前、正面にペルセポリスを飾っている浮き彫りがドドンと置いてありました。
テーマは「鹿を襲うライオン」
地が白なので目立つことはないですが、やはり迫力のある構図、躍動感などが感じられ、とても素敵に思いました。

ファイル 5-2.gif ■今回の超~目玉!!

音声ガイドが美男俳優の「上川隆也さん」でした!
ペルシャ展の公式サイトで名前を見つけた時は驚きました。
だって大好きな俳優さんだから!
実は音声ガイドを今まで利用したことがありませんでした。
なんというかメモを取るのにジャマだし、ガイドを聞くことによって文物の感じ方に影響が出るのも嫌だったので…。
そんな偏屈な考えの私もさすがに上川さんがガイドしてくれると知れば、あっさりと500円を差し出してしまうのですよ~。
「この~商売上手!!」なんてツッコミ入れつつ、ホクホクしながらガイド聞きまくりで展示会を楽しみました。
こういう企画は個人的には大好評です!

初めて使った音声ガイドの良いところは特に感じませんでした。
それはガイドの内容と掲示されている案内の内容に差が少なかったからだと思います。
この展示会の案内板はとても分かりやすく、掲示の場所も良く、とても優等生でした。


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ファイル 5-3.gif ★第一章 イラン最古の都市群

古い土器などを展示してありました。

絵は紀元前5000年前の鉢です。
この頃は新石器時代なので大理石を石器で削って作ってあります。
上部の薄さにも驚きですが、下部の削りを粗くして滑り止めの役割をさせつつ、石の持つ風合いを残している点に驚きました!
日本の抹茶茶碗に通じる美しさを感じました。

多種多様な土器の展示も面白かったです。
特に緑泥岩を削って作った底が平らな容器も可愛かったです。
案内板には「自由闊達で素朴」と評価してありましたが、確かにそう思います。

ファイル 5-4.gif ←32番:山羊形把手付き筒形杯
【瀝青】という天然のアスファルトで出来ています。
動物の胴体を持ち手にするところが可愛いのです。
もちろん色も素敵でした。
耳が伸びていてウサギに見えますが、ヤギです。
ペルシャでは”ヤギ”のモチーフが多いように思いました。

【その他見どころ】

★こぶ牛形土器
何体か展示されてますが、最初のこぶ牛のお尻が一番、可愛かったです。
必見です!

★ルリスタン・アムラシュ青銅器
剣などのデザインが凝っていて見応えがありました。

★88番:ビーズ装身具
案内板によると、植物から作った薬液で紅玉髄の表面を腐食させ、文様をつけたそうですが、とても色鮮やかで紀元前3000年前に造られたとは思えないです。
このキッチリとした仕事が他のビーズ装飾品にもあらわれていて、このコーナーもなかなかの逸品揃いでした。


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第二章 ペルシャ帝国文明

このコーナーでは壮大なペルセポリス遺跡をイメージして展示が行われていました。
入り口には門を守る、翼を持つ人面獣の石像(模造)を2体配置し、遺跡っぽく演出!
そこをくぐるとペルセポリスの宮殿屋根を支えていた柱のミニチュアがドンと置かれていました。
モデルになった柱は20mの高さがあるそうです。
柱の頂には背を合わせたグリフィンが鎮座していて、愛らしさなど上手に再現されていました。
このコーナーで気に入ったのは、ペルセポリスを写した写真です。
あまりにカッコ良いのでハガキを購入してしまいました。
撮影は野町和嘉さんという人で、迫力ある構図に圧倒されました。

【その他見どころ】
106番 人面有翼の神
ものすごい黒光りをしている石で、これを見ていると「山田寺の仏塔」を思い出しました。
ここに展示してある石像群は石灰岩なのですが、赤や黒など色が豊富でビックリです。
どうも石灰岩というと「白」しか思い浮かばなかったので、よい勉強になりました。

【注目】
この辺りが音声ガイド13になります。
上川さんの熱い語りにも熱が入ります!

2階にあがると、アフラマズダの像があったり、ラピスラズリを贅沢にもまるごと一個使ったタイルなど、さりげない豪華製品のオンパレードです。
あと、赤マーブル模様の大理石皿もスゴイので見逃さないように。


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ファイル 5-5.gif 第三章 黄金の煌めき

目にも眩しい品々が一杯です!
入り口最初に展示してある「黄金の剣」はツヤ、細かい造形に驚きです。

黄金の杯が面白いです。
容器の中から動物の頭が飛び出しています!
こんな遊びを取り入れる職人さんのセンスが可愛らしいと思いました。

【見どころ】

黄金のリュウトン
ポスターにもなっている黄金のコップですが、とてもキレイです。
形も均等で細かいところにも気を配っているのが良くわかります。
これでビールなぞ飲んでみたいものです。


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第四章 帝国の復興

セレウコス朝からササン朝ペルシャへ移る頃のモノが展示されています。

【見どころ】
超有名なペルシャのガラス碗が展示されています。
案内板によると「国際的ヒット製品」!←確かにその通り!!
ガラス碗の飴色の光沢は時を感じさせる美しさがありクラクラでした。
めずらしいのは、表面を丸くカットしたガラスボトル!
こういうタイプは初めてみました。


【注目】
音声ガイドの最後は優雅な音楽の流れる中で、上川さんが優しくロマンチック・ペルシャを語ってくれます。
何度も聞き直してしまうほど、素敵でした。

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★おみやげ★

メモを取っていたら店員さんと目が合ってしまいました…ドキドキ。
定番モノばかりが売ってました。
とりあえずB5サイズのクリアホルダーと絵はがきを買いました。
大判ハンカチを大量に買っていく女性がいました。
確かに楔形文字が可愛くプリントされていて、歴史好きの女性なら心が動いてしまう逸品でした。
私はちょっとサイズが大きすぎるので購入は見送りました。
飴やクッキーも売ってました。
もちろん絨毯屋さんもいましたので、本格的なモノが欲しい人は見てみるとよいかも。
トルコ絨毯とは違う良さがあるので、見るだけでも勉強になります。

今回の大笑いグッズ→猫足の文鎮!

アフガニスタン-悠久の歴史展

ファイル 25-1.jpgカブール国立博物館やユネスコ・個人所蔵

アフガニスタン-悠久の歴史展


バルセロナ・カイシャ財団とパリギメ国立東洋美術館がこの展示を企画。

東京藝術大学 大学美術館で開催 平成14年7月16日~9月16日まで


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▼藝術大学…「美のプロフェッショナル」 が生息する得体の知れないトコロ…、
そんな印象を私は持ってました。
なにせ「藝大」…もうシロウトがあれこれ評論めいた文章を書くだけでも畏れ多いよなぁと思ってしまう相手。
だから「今日は胸を借りるつもりで観させていただきます」なんて緊張しながら自動扉に突入しましたが、
「美のプロフェッショナル」であっても、「美を披露するプロフェッショナル」ではありませんでした。
まったく私の勘違いでありました。
「やはり肩書きで物事を判断してはいかんなぁ」 と頭の後ろをカリカリと掻きながら、暑い日差しの中、博物館を後にしました。

今回の注目は、タリバンに爆破された「バーミヤン石窟の壁画片」などが出品されたことでしょう。
すこし黒ずんだボロボロの壁画片は涙を誘うモノがありました。

★ ちょっとヒトコト

■展示会の基礎は、知識を持たない一般の人に、てっとりばやく「地理と歴史」知ってもらい、その上で展示物を楽しく観てもらうことだと私は思います。
ところが今回の展示会…、最初に地下の展示場に誘導されました。
入ってすぐに学長である「平山郁夫先生のお言葉」パネルがありました。
けれど、アフガニスタンの地図も年表も入り口にあってしかるべきモノが見あたらない…。
おまけに通路の一角でハイビジョンの上映をしているので、立ち止まって観る人が、後から来る見学者の流れを妨げる…。

「なんだい、これは…」 とあきれながら進んでみると、狭い会場にお年寄りが大勢…。
「さすが平山先生だけあるなぁ…」なんて思いながら、展示品を観ていこうとすると、お年寄りがかがみ込んで何かしている
「なんだろう?どうしたんだろう?」と思うと、小さな文字で書かれた小さなプレートを必至に読もうとしているらしい。

プレートが貼ってある台と進入禁止のラインは少し離れているので、お年寄りにはそれが障害となって、文字がよく見えないようだ。
ガンダーラ関係は漢字と長いカタカナが多いので、私でもサラっと読めない。
ましてや杖をつくようなお年寄り…。その大変さは想像以上でしょう。

■他の展示品のトコロでは、展示物の前に小さなプレートを置いてあるだけなので、一般客はガラスケースの前にお互い顔を寄せ合って、プレートの文字を読んでいかなければいけない。
真正面から文字を読みたい人たちで、ガラスケース前は大騒動!! 気弱な私はあとずさり…。

■通常、パネルは目の高さ、またはそれより高いトコロに貼って大勢が観られるように設置するものです。
文字も大き目にして、視力の弱い人は近寄って、普通の人は少し離れたところからでも読めるように…そんなことも考慮して、説明パネルは設置するものです。
しかし、今回、この地下の展示場にはそんな配慮…カケラもありませんでした。

■じつはメイン会場は3階なのです。
3階に行って驚きました。「ちゃんとしてるじゃん…」。地図もちゃんとありました。
憶測ですが、地下の展示場は急ごしらえで用意した、メイン会場に入りきらなかったモノを置いたトコロ…そんな感じでした。
でも先に3階のメインフロアーを見学させて、次に地下へ行けばいいのではないでしょうか?


★ それとこれは個人的にニガ笑い。

入り口に 「メモを取る人は万年筆とかボールペンはやめてください」と書いてありました。
受付の人に「あの…鉛筆ならメモを取ってもいいんですよね」と念を押したところ、
「ええ、鉛筆なら構いませんよ。こちらに用意してありますが…」というので、ちらっと見ると、
長さ6センチほどの「スッゴク短~い鉛筆」が3本ほど、机の上においてありました。

「………えっ、なんでこんな短い鉛筆を………」
「………ケチくさ~い………」
と思いつつ、「大丈夫です。用意してきましたから…」と言い返しましたが、
「あんな小さな鉛筆でメモを取れというんか!!」と、内心怒りが…。


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★展示紹介★

■地下展示室

はいってすぐに首都カブールの様子をビデオ上映していました。
現在のアフガニスタンがどんな様子なのか…をアピール。
でも通路で上映するのではなく、もっと奥のめだたないトコロでやればいいのに…と、思う。
特に3階の学長サマの立派な絵が展示してある、人の少ないコーナーとかで…。

■11.カーシャバ兄弟の仏礼拝図

比較的彫刻の線が鋭く残っているので、人物たちの服装がとてもわかりやすく、当時の生活に想いをちょっと馳せてみたりしました。
ファッションがエキゾチック。さすがガンダーラと感心しました。
見渡すと他の彫刻群もこのように細部に渡って丁寧に彫り込まれていました。


■バーミヤン石窟壁画破片(6-8世紀)特別展示

タリバンの衝撃的爆破映像をフっと思い出しました。
「日本になんか来てはいけないよ…。平和なアフガンに早く帰りなさい」と祈るような気持ちで拝見しました。
どんな事情であれ、想いのこもったモノを爆破するという行為は許せないなぁ~と改めて思いました。


■アイハヌム遺跡(BC3世紀)

アフガニスタンとタジキスタンの国境を流れる川沿いにある遺跡

ファイル 25-2.jpgアフガニスタンという国の目玉は、美形の男性だけではない!
多種多様の文物が行き交ったロマン…。そう、ロマンを私はアフガニスタンの歴史に求めます。
だからこの遺跡のように「アフガニスタンにローマ遺跡!?」というだけで、ロマンチックな気分になってしまいます。
展示されていた写真は、私の大好きなモザイク床。
けれど恐ろしく小さな文字で説明が書かれている。写真も立ち位置から遠くてよく見えない。
離れたトコロに、ここから出土したゼウス神像の片足展示
その大きさに驚く。全体は3mほどの高さがあったとかないとか説明が…。
興味深く感じたところだったので、一つのコーナーで展示して欲しかったし、説明も欲しかった。


■ガラス器(1世紀)

これはベグラームという、カブール北方にある遺跡から出土したもので、3階に行ったら、似たようなモノが何点か展示されていました。

象牙色の透明なガラス…。
周りにビヨビヨとついた飾りがなんとなく野暮ったいが、それがかえって愛おしさを感じさせるのか、振り向きつつ何度も眺めてしまいました。


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■3階の本展示室


■1.先史時代

一番最初の展示品がラピスラズリの原石!
個人的には好感度高いが、先史時代の紹介に原石が最初とは………
深読みするなら、「アフガニスタンはラピスラズリの国」ということか…。

★ ムンディガグ遺跡


この遺跡は紀元前4000年~500年に栄えていた都市らしい。
ムンディガグ遺跡から出土した品々(銅)は、紀元前2800年のモノらしい。
どれもこれも洗練された美しさ…、無駄を省いた機能美。
印章などは、ケルトっぽい縄模様や迷路な感じ。
これを見ると当時の文化水準というか、「粋」を感じる感覚が現代人と大差ないなぁ~と感じずにはいられません。


ファイル 25-3.jpg★ 女神座像(紀元前2000~紀元前1900)バクトリア出土

女性の衣装なども寒い国ならではのゴージャスさ。
近くで見ると、毛の流れまで彫り込まれているのが分かります。

■2.アケメネス朝の支配からインド・ギリシア王朝まで


紀元前550~330年頃までアフガニスタンはアケメネス朝の支配下にありました。
その後、アレキサンダー大王に征服され、その後、インド・ギリシア王朝に支配されました。

ここは小皿や絵鏡など、青銅製品の展示がありました。


ファイル 25-4.jpg■3.イラン系遊牧民の時代(紀元1世紀頃)


ここは、カブール北のベグラーム遺跡やガンダーラ出土の遺物がありました。
気に入ったのは、ガラス製品です。
シリアヌという名を持つ、アレクサンドリア周辺生産のガラスはちょっと印象的でした。
青がとても美しく、野暮ったさは相変わらずですが、魚の形をしたモノなどもあり、当時の人の想像力の豊かさにビックリしました。

ガンダーラ出土の「財宝の女神」は、左手に蓄財を意味する巾着を持ち、右手に宝物を意味する首飾りを持つ女神さまで、なんとなく御利益ありそうな風貌でした。


■4.ハッダ(紀元3~4世紀)


ファイル 25-5.jpgハッダとは骨を意味し、昔は仏陀の頂骨、どくろ、まなこを安置していたストゥーパがあったそうです。
まなこって、目玉ですよね…。うううむ、そんなモノがなぜ…。(でもニセモノでしょう)
このコーナーは、仏教寺院址群の装飾などが多数展示されていました。
アフガン最古の仏教美術と銘打つ通り、仏教とギリシャ・ローマ文化が融合したものが多かったです。


■5.バーミヤン(紀元4世紀~7世紀)


地下の展示場にも展示してあるので、ここは大きなモノがちょろっと置いてありました。
印象的なのは外国人が模写したという 「太陽神ミイロ・ミヒラ図」 です。
西洋のドラゴン退治に出てくる騎士みたいで、こんな図が本当にバーミヤン石窟の天井画にあったのか…と驚きました。
全体を彩る青が綺麗で、まさにラピスラズリの青でした。
図の説明に「布にグワッシュ」と書いてあったので、説明を願ったところ、「分かりません」と言われてしまいました(-_-;)


グアッシュ

アラビアゴム、蜂蜜などの膠着剤で練った、重厚な不透明水彩絵の具。
また、それを用いて描いた絵やその画法。(小学館辞書)


■6.アフガニスタンとトルキスタン


中国・新彊ウイグル自治区のキジル石窟の壁画とか、敦煌の壁画とか…

■7.イスラーム時代


陶器や青銅の鍋、釜と古そうなコインとか…。

■平山郁夫アフガニスタンを描く


奥のコーナーに平山学長のアフガニスタン関係の絵が鎮座ましましてました。
昔は好きだったけど…。


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おみやげチェック!!


まったく興味を引くものがありませんでした。
絵葉書でさえも…。
なぜ、絵葉書で、あの「財宝の女神」と「太陽神ミイロ・ミヒラ図」を売らないのかなぁ。
まぁ、これからグッズが増えてくる国だと思うので、先を楽しみにしたいですね。

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