遺跡馬鹿のイベント潜入記

記事一覧

トリノ・エジプト展

【イタリアが愛した美の遺産】
トリノ・エジプト展-ANCIENT EGYPT in TORINO

東京都美術館 2009年8月1日~10月4日


★トリノ博物館の室内装飾までマネした、実は気合い入りまくりの展示会

この夏はエジプト展だらけで、少々食傷気味だったので、時間をおいて見に行く事にしました。
もう公開から一ヶ月経ったし、夏休みも終わったので空いているだろうと思っていたのですが、私の予想はハズれ、会場は多くのお客さんで混雑してました。
改めて日本人のエジプト好きを実感しました。

トリノ博物館は改装してから、その効果的な演出が評判になり、なんだかたくさん、お客が来るようになったそうです。
今回の展示ではその演出方法もマネて部屋を作っているので、とっても興味深かったです。
照明と鏡をうまく使うと、こんなに劇的な空間が出来るのかと、驚きました。
でもぶっちゃけ空間は確かにすごいけど、その感動が遺物を良く見せるとか、逆に曇らせる事もなく、淡々と見学してしまったのは、ちょっと残念だったかも。


------------------------------

入り口

黒い壁に金の文字で美術展のタイトルが並んでいました。
奥の壁は灰色の格子柱が並ぶモダンな空間になってました。

あいさつパネルには、今回展示の目玉として、新王国時代時代に王墓造営に関わった職人さんたちが住んでいた「ディール・アル・マディーナ」から出土した道具類などを展示するよ~と書いてあり、入り口ですでに血圧上昇しました。

それとシャンポリオンが、トリノ博物館のエジプトコレクションを見て、こんな言葉を残したそうです。

   「メンフィスとテーベへの道は、トリノを通過している」(1842年トリノ)

当時からトリノ博物館のコレクションはすごかったみたいです。

購入品が多いので出土品ばかりの展示会より美麗な物が多いのも、この展示会の特徴だと思います。


良かったこと

解説板がガラスケースの遺物近くに一つと、ガラスケースの天井近くにもう一つ貼られていました。
そのお陰で解説を読もうと人々がガラスケースに顔を近づけて、押し合うなんてことがなく、とっても快適でした。
これは本当に気が利いていると思いました。
他の博物館もどんどんマネて欲しいです。

++++++++++++++++++++++++++++++++++

1.トリノ・エジプト博物館

▼職人村(ディール・アル・マディーナ)から出土した道具類が展示されていました。
木槌と鑿(のみ)を描いてみました。

このコーナーで目を見張る美しさだったのは亜麻布です。
とっても保存状態が良く、これが数千年前の物とは信じられません。
表面もピッチリしていて、業者が売るとき、アイロンでもかけたのかもしれませんね。

▼部屋の中央には墓の模型が展示してありました。
墓が地上からずっと下に作られていることが分かります。
その様子はアリンコの世界です。


2.彫像ギャラリー

本家トリノ博物館の雰囲気を再現した展示室。
暗い室内、そして各所に配置された鏡の効果で、まるで星空の下で彫像を見ているような気分になれました。
部屋が暗いため、案内板は光るようになっていて、これも幻想的な雰囲気でした。
といっても、この部屋の彫像たちは、どれもガッシリだったり、お茶目だったりするので、ちょっとバランスが悪いかなと思いました。
どうせ暗いなら、ミイラとか棺とか、そういった物の方がさらに雰囲気が出たかもしれません。

絵は羊の石像です。
巨大な頭だけが展示してありました。
後ろから見ると、耳の丸い象さんみたいなのに、横に回ると鼻の長い羊になるのが騙し絵みたいで面白かったです。






彫刻ギャラリーに目玉は、チケットにもなっている、『アメン神とツタンカーメン』の像です。
アメン神の隣に可愛くよりそうツタンカーメンがとても愛らしく見える彫像なのですが、面白いのはツタンカーメン王が神の肩に手を回しているところです。
裏側に回ると、確かにちょこっと手が出ているのですが、見ているうちに不気味に感じて来て、少し背筋がぞーっとしました。

台座に彫られていたツタンカーメン王の名前をホルエムヘブ王が削り取って、その上から自分の名を刻んだという説明を読んで、ホルエムヘブの姑息な性格に笑いが出ました。


3.祈りの軌跡

動物の像が一杯ありました。


4.死者の旅立ち

焼けただれた棺が展示してありました。
こういうのを見ると、棺って本当に大きくて厚い木を削って作られているんだな~と思いました。
ちょっと消し炭の香りを嗅いでみたかったのですが、ガラスケースの中に入っていたので、嗅ぐことは残念ながら出来ませんでした。


5.再生への扉

エジプト展示の中で一番インパクトがあるのは、やはりミイラとか美しく描かれた棺だと思うのですが、今回はたっぷり美麗で、それもデカイ棺がたくさん展示されていて、みんなビックリしていたようです。
その中で一番、お客さんをギョッとさせていたのは、№105の「ハルワの棺とミイラ」だと思います。
このコーナーで一番大きなガラスケースが使われているので確かに目立つのですが、でも皆の興味は、包帯巻きされたミイラから染み出た「黒いシミ」に集まっていました。
私も最初見たとき、驚きました。何が漏れているんだ?とちょっと考えてしまいました。
真っ黒いので樹脂かな?と思ったんですが、他のお客さんは血が黒く固まった物かと思ったらしく、ミイラを前にあれこれ囁いていたのが興味深かったです。
この黒いシミ、よく見るとガラスの粉がまぶしてあるかのようにキラキラ光ります。


オミヤゲ

とってもニギヤカ! レジも大忙し! 
いつもは閑古鳥のアクセサリーカウンターも人が群れ、高めのグッズもバンバン売れているみたいで、私はビックリでした。
あとはイタリアから持ってきた、ジャム?とかチョコレートとか、もう~何でも売っちゃえ! みたいな感じで、まさにエジプトのスーク(市場)のようでした。

最近は綺麗な写真が印刷された缶ケースにクッキーを入れて、来場記念にどーぞ!と販売されていることが多いです。
今回も同じような物が売っていたのですが、値段表のところに「空き缶はCDケースとしても使えます」と書いてあり、「クッキーを食べ終わった後の缶ケースの使い方まで教えてくれるかぁ!」と、そのサービスぶりに笑ってしまいました。

レストランではイアリア料理を提供していたみたいですが、この日は国立西洋美術館の「すいれん」でランチしてしまったので食べませんでした。
行列の出来るレストラン「すいれん」のランチは安くてうまかったです。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ