遺跡馬鹿のイベント潜入記

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マヤへの道 古代メキシコ・オルメカ大文明

マヤへの道 古代メキシコ・オルメカ大文明
2010年10月9日(火)~12月19日(日)
古代オリエント博物館(池袋)

オルメカ文明展めずらしくオルメカ関係の文物がやってくるというので、さっそく行って来ました。
中南米というとマヤ文明やアステカ文明が有名ですが、その基礎となるオルメカ文明はあまり知られていないので、分かりやすい展示を心がけていたように感じました。


【入り口の様子】

すごく凝った演出になってました。
まず奥行きのある石の門を作り、その通路に草とか置いて、ジャングルの密林を思わせるような雰囲気を出してました。
私はポリネシアン・レストランの入り口みたいな印象を持ちましたが、なかなか良かったです。
その密林の中には、ジャガーの剥製が置いてあり、ジャングルにはこんな動物もいるんですよと説明されていましたが、どうせならオルメカ人はジャガーを神として見ていたことも説明してあったら、さらに良かったんではないかと思いました。


オルメカ巨石人頭像(サン・ロレンソ出土)

オルメカといえば、この大頭です。
タレ目がキュートです。

さすがにこれはプラスチック製のレプリカですが良く出来ていて、ちょっと見ただけでは本物のように見えました。
オルメカの大頭は色んなタイプがあるのですが、この像はどちらかというと細面系で、優しい印象があります。

プロローグ・マヤから遡る

    ここでは、写真と年表を駆使して、オルメカ文化というものを説明していました。
    1万2000年前、ベーリング海峡を渡って人間が新大陸にやってきましたが、中南米にまでたどり着いた人類が初めて文化を築いたのがオルメカです。
    ここで生まれた宗教やデザインは、マヤ文明にも大きな影響を与えていることを説明していました。

    一番興味深かったのは、マヤの長期カレンダーの起点が紀元前3114年となっていて、オルメカ文明の期間に食い込んでいることです。
    このことから、マヤ・カレンダーの基礎を作ったのはオルメカ人ではないかという説もあると紹介されていました。
    カレンダーを作るには天文知識も必要です。
    オルメカの人たちはすでに天文に対する知識を持っていたというのは驚きです。
    というのも、私がオルメカ遺跡を訪ねた時、彼らに対する私の認識は未開の原住民といった感じで、本にもその程度の説明しかなかったからで、今から思うとすいぶんと偏見を持ちながら見学していたんだな~とちょっと恥ずかしくなりました。


人々と自然オルメカ展
    なんか絵が大きくなってしまいました…。
    これはラベンダ遺跡(紀元前1000年~紀元400年)から出土した小さな土偶ですが、とっても可愛いので描いてみました。
    子供を軽々と抱える、たくましい母親の姿と子供のむっちりとした体つきが、とても印象的でした。
    私の他にも女性達が興味深く像を見てました。
    オルメカの像はつり上がった細目で、日本の縄文土偶に似ているせいか、親しみが湧きます。



会場に置いてあったスタンプです。なかなか可愛いです。


スタンプ神と主権(サンロレンソ、ラベンダ)

    緑色スタンプに描かれた像が現地から来てました。
    肌色の地がキレイな、なで肩の神の像です。
    ロス・サンダードス遺跡出土で、だいたい今から1200年前のものらしいです。
    こういう像はいかにもオルメカらしい形で、なかなか面白いです。

    このコーナーには、有名な「会議する人々」が展示されていました。
    複製ですが良く出来ていて、ほとんど本物と同じでした。
    オルメカ特有の赤ん坊顔と、いびつな頭骨の形が奇怪で、個々の像の立ち位置や像の岩質と背後の屏風岩の関係などを考えながら見ると、見飽きることがありません。
    この像は立ったまま、今見ている通りに出土したので、それだけでもオルメカ人たちの宗教観を考える上でも貴重な遺品だと思いました。

    ここでの目玉は「ひすいの仮面」です。
    高さ17センチ、幅14センチ、製作時期は紀元前1500~1000くらい。
    つるつると丁寧に磨かれていて、歯を見せている表情がキモイなーと思いました。
    ウエヤパン・デ遺跡で発掘された物です。

    ▼聖なる地「エル・マナティ遺跡」-紀元前1000年の遺跡
    ここでは、出土した石が展示してありました。
    これらは泉や水の湧くところで発掘されていて、その用途は未だ謎です。
    涙や水滴のような形の石がずらっと展示されていたのは壮観でした。
    ただ同じ形の石ばかりで興味ない人も多いでしょうが、磨き砂程度しか持たないオルメカ人たちが、ツヤツヤと磨き上げた石をどんな思いで埋めたのかと思うと、なかなか興味深いです。
    こういう物を見ると、中国の璧(へき)や日本の勾玉(まがたま)を思い出します。
    オルメカ人も私も同じモンゴロイド、石を愛でるポイントもやはり似るものなのかと、しみじみ思いました。
    こんなにあるんだから、一つくらいは触らせて欲しかったです。
    きっとウットリするくらいなめらかなんでしょうね。゚.+:。(´ω`*)゚.+:。ポッ

    ここでは天然ゴムのボールも出土しています。
    バレーボールほどのサイズで、見た目は真っ黒です。

    「こんなモノ初めて見たよ!」と、感動したのはオルメカの木製像です。
    高さは42センチもあり、全体は茶色にくすんでいます。
    頭の部分が少し欠けていたのが残念ですが、瞑想中の仏像のような存在感で、とても眼を惹きました。


交流と拡散
    オルメカオルメカ文化が影響を与えながら他の地域に広がっていったことを説明していました。
    一番面白かったのは、絵にも描いた、頭が二つある土偶です。
    なかなかキモイです。
    ちなみにこれは展示品を見ながら描いた絵です。
    いつもこんな絵をこそこそとメモ帳にスケッチしてます。



マヤへの道
    マヤカレンダーの解説がありました。
    日本で初公開の碑文もここに展示されていましたが、ちょっと目立たなかったです。
    「マヤの予言」が注目されているせいか、難しいカレンダー解説を熱心に読む人もいました。

【おみやげ】

久しぶりにおみやげ買いました。
生成の布にマヤカレンダーの歯車が描かれたエコバッグです。
300円と値段も手頃だし、使い勝っての良いA4サイズなので、資料を入れるにも重宝します。
そのほか、「オルメカ展に行って来ましたクッキー」もあって、なかなかの充実ぶりでした。