遺跡馬鹿のイベント潜入記

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【特別展】 キトラ古墳壁画-明日香から東京へ

【特別展】 キトラ古墳壁画-明日香から東京へ
2014年4月22日(火)~2014年5月18日(日)
東京国立博物館(東京・上野公園)

キトラ古墳展キトラ古墳からはがされた壁画が公開されるというので、さっそく行ってきました。
公開期間が短いので、多くの人が詰めかけていました。

旅先で積極的に古い壁画を見ている私ですが、国内はほとんど見ていないので、今回の展覧会はとても楽しみにしていました。
高松塚古墳の壁画がカビで大変なことになっているので、こちらはどうなんだろう…と、不安な気持ちを持って展示会に臨みましたが、予想以上にキレイで安心しました。

思っていたより絵は小さく、壁は大きいのだから、もっと大きく描けば良いのに…と、最初に思いました。
当時の職人さんはつつましいのか、それともあの大きさがちょうど良いのか、それともお手本があのサイズだから単に合わせただけなのか…謎はつきません。

キトラ古墳展壁画は四種あるのですが、今回の展示は、「玄武」「白虎」「朱雀」の三種だけでした。
「青龍」は泥で壁画が損傷し、展示は無しでした。

一番気に入ったのは、「朱雀」です。
よく見ると、足が大きく開いていて、「正に今、疾走中!!」なのです。
この躍動感を死者の玄室に残そうという理由はなんでしょうか。
壁画は玄室をふさぐ石に描かれていたのですが、私が思うに、火の鳥のように若さと活力を持って速く再生して欲しいという願いがあるのではないかと思いました。

キトラ古墳展「白虎」は前足の筆の細さをご堪能ください。
まるで女性の濡れた毛が石の上に落ちたような繊細さ。驚きです。
顔はニャンコ系でいかついのに…。


玄武はしっぽが伸びているのは分かるのですが、どうして腹から顔の前を通って尾が伸びているんでしょうね。
尾の始まりが良く分かりませんでした。


最初に複製の陶板が展示されているのですが、もうそこから行列で、なかなか列が進みませんでした。
壁画のガラスケース前でイヤホンを聞く人が続出なのだから仕方ありません。
イヤホンはガラスケースから離れたところで聞くように出来たら、一番良いのですが。


■オミヤゲ
玄武のTシャツがカッコ良かったです。
色があれば欲しかったかも。
トートバックなど、実用的な物もありました。


ついでに
新しく国宝に指定された長野の土偶を見てきました。
顔が▼の奴です。
縄文ビーナスも良いですが、こういう謎を秘めたような土偶も良いです。
あとアイヌの「シトキ」という首飾りも見ました。
大玉の青石が印象的でした。

同日に「医は仁術」も見ました。

特別展「出雲-聖地の至宝-」

古事記1300年 出雲大社大遷宮
特別展「出雲-聖地の至宝-」
2012年10月10日(水)~11月25日(日)
東京国立博物館 本館特別5・4室

【出雲展公式サイト】http://izumo2012.jp/


出雲展出雲大社の敷地から発掘された大柱が来るというので、さっそく見に行って来ました。
写真で見るとそれほど大きくは感じなかったのですが、実物の存在感には圧倒されました。

今年は古事記が編纂されて1300年になるそうです。
会場には古事記写本と出雲風土記が展示されていましたが、これらが1300年前に書かれた物なのかと思うと改めてスゴイ事だなと思いました。
「頑張ればなんとか読める」というのも漢字の力ですね。

チケットの図案ですが、効果線のようにみえる物は銅剣です。
「たくさん出土したんですよ~」というアピールにも感じました。
実際、荒神谷遺跡からは42本の銅剣が出土したので、このアピールの方法は正しいと思います。

見終わった後、久しぶりに本館を周遊。
今、興味があるアイヌの文物がちょびっとだけ展示されているのを発見。
やはり生活用具が多いのですが、前から見たかった「イナウ(御幣みたいなもの)」が展示されていたので嬉しかったです。


銅戈と勾玉
出雲大社の後方にある社の大石の下から発掘された銅戈と勾玉が展示されていました。
西日本を代表する銅戈と東日本を代表する勾玉が同じ場所から出土しました。
これは弥生時代からこの地が重要な場所として認識されていた証拠でもあり、とてもワクワクします。


出雲展宇豆柱(鎌倉時代)
大きい木。それを3つも束ねて3mの直径を出すなんて…昔の人は無茶します。
柱を観察すると運ぶためのロープ通しの穴などがあったり、ノミの跡が残っていたりと、職人たちが木と格闘した跡が残っていました。
柱の近くから斧が発掘されていますが意外と小さく、当時の作業を想像するなら、彫刻刀で鎌倉の大仏を削り出すような作業をしていたのではないかと思いました。
こういう大きい柱を見ていると三内丸山遺跡の栗の巨木を思い出しますが、古代の人は縄文の昔から巨木の神秘と扱い方を心得ていたんでしょうね。

出雲展復元・出雲大社
高校生が作ったという復元・出雲大社が展示されていました。
とにかく長く天に伸びていく階段が印象的な社です。
不思議に思ったのは、どうしてこんなに高い建物を建てたのかということです。
神に近い場を得たいなら裏山に登って程良い山頂に社を建てれば良いと思うんですが、古代の人はそういうことはしなかったようです。
その場所から離れたくない理由が何かあるんでしょうね。
この地から弥生時代の剣や勾玉が出土しているので、長くこの地は聖なる場所としてあがめられていたことが分かります。
だから山頂に社を築くのではなく、この場所に壮大な高さを持つ社を建てたんでしょう。
この頃すでに風水の考え方も伝わっていたのかな…だとしたら面白いです。
だとすると、まさにこの宇豆柱のあった場所こそ、エネルギー放出の中心だということですね。
そうと分かれば私も現地に行ってこの柱跡に立って、吹き出すパワーを浴びてみたいです。


出雲展銅鐸と銅剣
2階の展示室には荒神谷遺跡と加茂岩倉遺跡から出土した銅鐸、銅剣、銅矛などが展示されていました。
数年前、東京で行われた銅鐸・銅剣展を見ていた私にとっては目新しさはありませんでしたが、復元されてぴかぴかと10円玉色に光る銅鐸と銅剣には衝撃を受けました。
当時の人たちにとって、この輝きは直視したら目がつぶれると言われても信じてしまいそうな美しさだと思います。
特に日の下では神々しいばかりの存在感だったでしょう。
あと気になったのは、最後の方に展示してあった「銅矛」です。
とても太くて重そうです。
昔の人はこんな矛を軽々と振り回していたのだとしたら、その腕力は相当でしょうね。
ムキムキマッチョな古代人を想像するのは楽しいです。


【おみやげコーナー】

出雲大社で売られている品々が来ていました。
銅剣と銅鐸の手ぬぐいとか、古代米のセットとか、面白いモノもありました。
ポチ袋(お年玉袋)が売れてました。
デザインが可愛いです。

国宝 土偶展-縄文スーパースター

国宝 土偶展-縄文スーパースター

東京国立博物館 2009年12月15日~2010年2月21日

土偶展

新年を飾る展示会は「土偶展」しかないと思い、温存していた展示会だったので、当日はウキウキ・いそいそと出かけたのですが、新年から混んでいて博物館ブームは嬉しいけれど、ごっそり体力削られました。
と言いつつ、この日は古代オリエント博物館で開催中の「吉村作治の新発見!エジプト展」もハシゴして観てきたので、疲れたというわりに元気な自分にビックリです。


【入り口の感想】
小さな展示会なので、入り口には何も置いてありませんでした。
内部は照明を落としているのですが、土偶を入れたガラスケースがキラキラ輝くため、とても神秘的に見えました。


1.土偶のかたち

仮面土偶入り口を入ってすぐに展示してあった土偶です。
名前は「仮面土偶」と言って、人間が仮面をかぶっている姿です。
長野県茅野市中ツ原遺跡から出土したもので、紀元前2000年辺りに作られたそうですが、とても美肌で、モッチリ肌と若々しいツヤにビックリしました。
形もどっしりしているため、すごく存在感があるなと思いました。

このコーナーには山内丸山遺跡で発掘された、板状土偶も展示されていました。
クッキーにもなった土偶ですが、本物も厚さがほどほどあって、かなり美味しそうに見えました。
この土偶、頭と胴が別々に発見されたのですが、なんとその距離が90mも離れていたそうです。
これはもう…意図的にバラバラに捨てられたとしか思えませんでした。
同じ年代の他国の土偶ってあまり割れて出土していないように思うので、これは縄文土偶ならではの破壊行為なのかな…と思いました。
割ったり、バラバラに捨てることで、体の悪い部分を治してもらおうという願いがこもっているのかなと思いました。


【その他の超スーパースタークラスの土偶さんたち】

ハート形土偶←見事に顔がハートの形をしています。オデコはどうしたの?って聞きたくなりました。

みみずく土偶←みみずく…というより、昔のおばさんパーマみたいに見えました。

遮光器土偶←宇宙の至宝! やっぱり宇宙人っぽい♪


2.土偶芸術のきわみ

第39番目、縄文ビーナスは横から鑑賞するのが良いです。
お尻の丸みがとても可愛いです。
伊達巻きみたいな頭のかぶり物が不思議です。
頭をかなり締め付けているように見えますが、痛くないんでしょうかね…。
こんな風に、頭に布を巻き付けている民族がグァテマラにいたことを思い出しました。

第40番目、合掌土偶と呼ばれていて、手を合わせている土偶ですが、ゆったりとした専用イスに寝そべったような姿で展示されていました。
思っていたより小さかったです。


3.土偶の仲間たち

土偶形容器再生シンボル第62番目、土偶形容器
神奈川県大井町中屋敷き遺跡 紀元前3000年前

解説を読むと、子供の骨を入れていたらしいです。
他のお客さんたちが「これが骨壺?」と、驚いたように言っていました。
確かに不思議な存在感があって、顔も怖いのに骨を納める容器だと知ると、よけいに不思議感が高まりました。
死んだ子供の再生を願っているのではないかと解説に書かれていました。
となると、背中に描かれた渦巻き模様は縄文人の再生のシンボルなんでしょうね。
渦巻きは古代世界に普遍的に存在する謎の記号ですが、縄文人は再生のシンボルとして渦巻きを見ていたことは確かみたいです。


【出口に飾ってあった大英博物館での展示写真について】
大英博物館での展示模様を写真パネルで紹介していましたが、最後の一枚になんと諸星大二郎先生の「暗黒神話」のイラストがチラリと!!
英語での紹介を勘だけで超意訳するなら…、土偶は日本の漫画にも登場するほど人気なんだよ…と言っているんだと思う。
ちょっと嬉しかった!


オミヤゲコーナー

小さな企画展の割にグッズは充実していました。
Tシャツやバッグ、クリアフォルダーなど、定番アイテムもごっちゃりありましたが、一番人気は土偶のガチャガチャみたいです。
係員が景品を補充していました。
最近は必ずこのガチャガチャが置いてありますが、意外と売り上げが良いんでしょうね。

新年ということで、本館前ではめでたい江戸の太神楽を踊ってました。
和太鼓も来ていたりして、お祭りムード一色でした。

【国宝:薬師寺展】

【国宝:薬師寺展】
平城遷都1300年記念

東京国立博物館・平成館 3月25日~6月8日まで

ファイル 43-1.jpg


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桜満開
奈良を離れ、日光・月光菩薩が東京にやってきたと聞いて、桜見物でごった返す上野公園へ突撃してきました!
今まで何度も桜の季節に上野へ行っていますが、今回ほど人の多さを実感した日はありませんでした。
案の定、博物館にも多くの人が来ていましたが、展示の仕方がいつもと違うので、ここではあまり混雑を意識することなく展示物を堪能することができました。


ちょっとビックリな展示方法
入り口を抜けると、いきなり広々とした空間に出ました。
左壁には朱塗りの社(正面のみ)が映画のセットのように組まれ、まるで薬師寺の境内を歩いているような錯覚がしました。
狛犬に守られた神域には八幡神や神功皇后像が鎮座していました。
右側には神の姿が描かれた板絵が並び、両側から神様の視線をビシビシと感じられるようになってました。

その後もずっと面白い空間の使い方、見せ方が続き、角を曲がるたびに予想もしない景色が広がるので、とても面白かったです。
この演出のせいか、展示数が少ないことは気になりませんでした。
むしろ一体、一体の仏像に集中できるので、私にはちょうど良かったです。


仏像のお尻
お寺では正面のみしか拝見できない仏像の後ろ側をたっぷりと堪能できるチャンスでした。
他の人もそう思っているのか、正面より後ろ側に人がたまってました。

「聖観音菩薩立像」が最初にあらわれます。
この菩薩様、正面から見ると華奢なのに、横からみると意外とお腹回りにお肉があり、まるで別人のような感じがしました。
装身具が美しく、特に後ろから正面に回っていく薄衣の流れなどは、目で追うだけで楽しいです。

「日光・月光菩薩」
とても大きい仏像でした。
そして意外と色が明るいなと思いました。
薬師寺で観た時は、もうちょっと煤けて、小さい感じがしたのですが、こうやって広い空間に取り出してみると、その大きさに目を見張りました。
この二菩薩、腰をクネっとひねっているのですが、それがとてもなまめかしいです。
そして薄衣の流れ、たれ具合、どれをとっても絶品でした。
近くにいた人が「…離れがたい…」とつぶやいていましたが本当にそうでした。
旅行にいくと何百体ものギリシャ・ローマ時代の彫刻を観ますが、やはり仏像の美しさには叶わないよな~と実感しました。
完璧な肉体の模倣より、様式美された仏像の方が好みなんだと思います。


国宝・吉祥天女
この絵が来ているとは知らなかったので驚きました。
心の準備も出来ていないまま絵の前に立ったのですが、印象は「小さい」でした。
そして「印刷物」みたいだったので、ありがたさを実感しないまま場を離れてしまいました。
今思うと、その邪念がジャマでした。


おみやげ
グッズの多さに驚きでした。
特にTシャツの種類は多く、斬新なデザインも多かったです。
あとは相変わらずのマグネットとかシオリ(何故か金色)も健在でした。
あまりに人が多くてサッと見て退散してしまったのですが、みんな嬉しそうにグッズを買ってました。


館内で昼飯&庭園散歩
博物館内で食事をしてみました。
レストラン「ラコール」です。
1日限定50食、鹿児島産・黒豚を味噌で漬けて焼いたヤツを注文してみました。
こんなスゴイ銘柄の豚肉を食べたことがなかったので、どんなものかな~と思っていたら、予想以上に味噌がしっかり染みていて、美味しかったです。
あと豚汁も具たっぷりで美味しかったです。
これにデザートの白玉抹茶アイス&熱い抹茶がついて約2000円でした。
席は庭を見渡せるカウンター席があるので、一人でも気軽に利用できました。

桜の季節は庭園の開放があるので、歩いてきました。
トップの「たれぱんだと桜」は、この庭園で撮したものです。
今年からコーヒーなどを売るライトバンが入ったので、飲食しながらお庭を堪能できるようになりました。
これはちょっと嬉しいです。


と、いうわけで楽しい一日でした。

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