遺跡馬鹿の普通感想

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【映画】ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝【2008年9月2日】

ファイル 28-1.gif 絵は長城の土台に練り込まれてしまった人たちを呪文で復活させるシーンです!
呪文というより、「一緒に復讐するから起きてください、力を貸してください!」と、骨たちを説得しているような演出で、なんともフレンドリーな方法だなと思いました。
イムホテップ様のように、「おまえら、起きやがれ!」って言わないところが、彼女の品の良さなんでしょうね。


出演者たち

    リックの恋女房、エヴリンがレイチェル・ワイズからマリア・ベロに変わったのは私としては残念でした。
    マリアさんも動きは良いんだけど、なんというか「クネっとした女性らしい可愛らしさ」を感じさせなかったのが物足りなかったです。
    今回のハムは女優陣がどの人も水気が足りない人ばかりなので、ムッチリ女優が大好きな私としては、これもガッカリ度が高かったです。
    ただ中国娘のリンが母のためにひたむきに闘うところは感動しました。
    今回のハムは親子の愛情が丁寧に描かれているなと思いました。

もはやお家芸、史実完全無視!!
    最初、砂漠の中に西夏王墓が建っているのをみて、「うん?」と思いました。
    だって予告では「兵馬俑大暴れ」ってなっていたからです。
    予告を観た私は当然、舞台は西安の「秦の始皇帝陵」だと思っていたのですが、そこから数百キロも離れた場所、「銀川」の西夏王国に地下宮殿を造ったりしているのですから、ここで苦笑でした。
    そもそもこの西夏王墓は紀元11世紀頃に造られたモノ。
    秦の始皇帝が中国を征服しようとブイブイ言わせていたのは紀元前3世紀…。
    つまり墓と皇帝の間には1400年もの時間の隔たりがあるのに、それを完全無視しているんだからサスガだな~と思いました。
    もう怖いモノなしというか、史実を気にしていたら面白いものなんか作れるか! …というスタッフの心意気を感じました。
    …とここまで書いていてアレですが、あれは始皇帝によく似た別の皇帝なんでしょうね。そういう事にしておこう!

謎の魔法書
    『不老不死』の秘術が記載されているのではないかという魔法書を探しにトルファンへ行く魔女さんと将軍。
    収蔵されているという図書館はヨーロッパの貴族の書庫みたいで、これは笑ってしまいました。
    見つかった魔法書は木簡ではなく、白くて堅そうだったので、私は骨の板(骨簡)かなと思いましたが、封禅の際に玉簡(翡翠でできたモノ)を使っていたこともあるそうなので、始皇帝と封禅の逸話を知っている人なら、あれを玉製だと思ったかもしれないですね。
    残念だったのは文字が甲骨文字だったこと。
    どうせ西夏王墓を出したのだから、ここは西夏文字を出して欲しかったです。
    西夏文字はずっと未解読の文字として研究者を悩ましてきましたが、最近は解読も進んでいるようです。
    私としては甲骨文字より西夏文字の方が秘文字っぽいかなと思います。

イエティーとシャングリラ
    雪の中で少女が名前を呼ぶと、雪男が飛んで来た!!(それも3匹)
    いつお知り合いになったのですか? という感じだが、信義に熱く、面倒見の良い彼らは輝いていました。
    シャングリラのシーンは「失われた地平線」という映画を彷彿とさせました。
    雪山にぽっかり空いた穴の奥は理想郷へとつながる扉…というのは、誰にとっても浪漫ですね。
    兄ジョナサンがここにカジノを作ろうと思うシーンはこの人らしさが出ていて良かったです。
    やっぱりハムにはジョナサンがいて欲しいと思うシーンでした。

ミイラと皇帝
    ミイラ大好きな私ですが、庶民軍団のアレはミイラとは言わないよな…。もちろん兵馬俑側も。
    でも良く動くし、人数多いし、迫力あったしで、両者の戦いは圧巻でした。
    敵役として登場したジェット・リーは存在感もあるし、アクションも良いし、男前だし文句のつけようがない!
    ただ残念なのは、「見た目が若すぎる」
    今までいろんなタイプの始皇帝を観てきたが、一番若いんじゃないかな…。
    こんな若い皇帝が死をおそれ不老不死を求めるというのは、時期尚早と感じました。
    そういえば3つの頭を持つドラゴンに皇帝が変身しましたが、あれってヨーロッパテイストで、ちょっとガッカリでした。
    中国の竜といえば蛇のように体が長いところが可愛いのですから、映画もそうして欲しかったです。

なんだかんだと言って、やっぱハムナプトラは面白いです。