遺跡馬鹿の普通感想

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【読書】 環境と文明の世界史

主題:人類の歴史を環境史という切り口で見ていくと、もうひとつの闇が見えて来るという事を座談会形式でまとめてある。

(感想)
一番驚いたのは1万年前…いや、それ以上前から環境破壊が人間の手によって行われてきたという事実です。
そんな昔の人がどうやって環境破壊を…と思うんですが、この本を読むと人類が発展する影でいかに多くの自然が失われていったかがイヤというほど分かります。

灌漑農業が塩害を招く…という話も面白かったです。
チグリス・ユーフラテス川に依存していたメソポタミア文明が滅んだ原因を環境から見ていくと、「おおぉ、なるほど!!」とすんなり納得できるし、実際に自分がモヘンジョ・ダロで目撃した「塩をふくレンガ」なんかを思い浮かべると、土壌破壊の怖さも実感できました。

対談物って表面上は仲良さそうでも、深く読み込んでいくと対立しまくっていることが多いのですが、この本に参加している方たちはとても和気藹々と語り合っていて、その点でも好印象でした。

文明が滅びた理由を環境の面から考えることが出来るようになったら、遺跡に対しての感想も更に深くなると思いました。


環境と文明の世界史
-人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ-
石弘之+安田喜憲+湯浅赳男 (洋泉社)

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