遺跡馬鹿の普通感想

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【読書】 環境と文明の世界史

主題:人類の歴史を環境史という切り口で見ていくと、もうひとつの闇が見えて来るという事を座談会形式でまとめてある。

(感想)
一番驚いたのは1万年前…いや、それ以上前から環境破壊が人間の手によって行われてきたという事実です。
そんな昔の人がどうやって環境破壊を…と思うんですが、この本を読むと人類が発展する影でいかに多くの自然が失われていったかがイヤというほど分かります。

灌漑農業が塩害を招く…という話も面白かったです。
チグリス・ユーフラテス川に依存していたメソポタミア文明が滅んだ原因を環境から見ていくと、「おおぉ、なるほど!!」とすんなり納得できるし、実際に自分がモヘンジョ・ダロで目撃した「塩をふくレンガ」なんかを思い浮かべると、土壌破壊の怖さも実感できました。

対談物って表面上は仲良さそうでも、深く読み込んでいくと対立しまくっていることが多いのですが、この本に参加している方たちはとても和気藹々と語り合っていて、その点でも好印象でした。

文明が滅びた理由を環境の面から考えることが出来るようになったら、遺跡に対しての感想も更に深くなると思いました。


環境と文明の世界史
-人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ-
石弘之+安田喜憲+湯浅赳男 (洋泉社)

義経感想 最終回-新しき国へ

もぅぅぅぅぅ、あの馬は何? あの光は何? あのロバのような動物のいななきは何?ヽ(`Д´)ノキーッ!!
義経自害というクライマックスシーンでの過剰演出に茫然としてしまいました。
それまではもう涙、涙だったのに…あのワンシーンですべてが吹っ飛びました。・(つд`)・。

郎党たちが死んでいくシーンでも野菊の花びらがやたらと散っていたので、ちょっと心配していました。
そうしたら案の定、あの馬ですよぉぉぉ。
タッキーの押さえた演技をぶちこわしにした演出には腹が立ちました。
それと顔のアップも長すぎ!
特に弁慶とうつぼ…なんだかなぁ~。
うつぼが鞍馬山に行くシーンなんかより、私は壇ノ浦の映像でも見せて欲しかったです。

義経の最後…見事でした。今思い出しても涙が出てきます…(つД`) ハンカチどこだ?
私は自害する場面は流れないと思いこんでいたので、義経が小刀を取りだし首に当てた時、「えっ!? まさか!!」と叫んでしまいました。
だって主人公が自害するシーンなんて悲しすぎるし、ファンには刺激が強烈すぎる!
だからそれをわざわざ用意するハズがないと思っていたのですが…私の考えが甘かったです。

義経が屏風を前に死を決意していく演技は素晴らしかったです。
あの若さであそこまでの演技が出来るとは…まさに義経が乗り移った奇跡のように感じました。
しかし演技は良くても、この場で自害することになってしまった義経の戦略ミスを私は見逃すことはできませんでした。
国衡(長島一茂)が一緒に逃げようと誘った時、義経はついていくべきでした。
またはもう一人の弟、忠衡を引き込み、3人で泰衡(渡辺いっけい)に攻め込み、幽閉することも可能だったはず。
それをせず迎え撃つ事を決断してしまった義経のミスは郎党の命を奪い、果ては自分の命だけでなく藤原家4代の栄華も灰燼に帰してしまった…。
この事が頭の隅にあったため心の底から義経の死を可哀相とは思えず、やっぱり「自業自得」と突き放して見ている自分もいます。
でもその実直さ、思慮の浅さこそが義経の美点だと思うので、命を預けた郎党たちといっしょでそのミスを攻めることはできません。
みんな笑って死んでいったな~。
喜三太が倒れたとき、顔を見せずに死んでいくのか~と思ったら、弁慶がやかんのように腰を引っ張り上げて運んでいったのには笑いが!
最後まで殿の一番家来を主張し続けた喜三太は本当に愛らしかったです。
駿河次郎だけ血まみれで死んでいったのは迫力あったけど、これもヤリスギな感じでしたが悲壮感があってやっぱり泣けました。
三郎のカニも良かったです。
弁慶の仁王立ちは史実にもとづいての演出ですが、血も出ずキレイに死んでいったのは少々迫力に欠けていたような気がします。


頼朝がお堂に籠もっていたシーン。
お前が殺したんだ! お前が殺したんだ! ヽ(`Д´)ノキーっと言っていたら、頼朝が突然の涙!
もうこっちも動揺してもらい泣き~。
泣くほど後悔するなら政子の意見など聞かずに義経を助ければ良かっただろうが…と言ってやりたくなりました。
頼朝が回想する義経の可愛いこと! 
あの瞳、あの顔を自分の手で葬ったことを頼朝にはちょっとでも後悔して欲しいです。

「土曜スタジオパーク」にタッキーが出演し、好きな言葉は「三度生まれ変わっても変わらず…』だって言ってましたが、今日、郎等たちが義経に出会えた喜びを語るシーンを観て「確かに名言だぁ~」と思いました。
この強い絆がドラマを盛り上げた基礎となっていると思います。

タッキーが可愛いから~と見始めた義経ですが、こんなにハマるとは自分でもビックリでした。
途中、旅行に行ってしまい観られなかった回もありましたが、感想もなんとか続けることが出来ました。
義経は物語としても面白かったですが、「自分だったらどう対処する?」という問いを常に持ち続けて観ていたことも、これだけハマった要因になったと思います。
特に法皇サマと政子からは得るモノが多かったです(笑)

一年間、楽しかったです。
特番や総集編も放送するので、美しい義経殿に再会するチャンスがあるのが嬉しいです。

義経感想 第48話 「北の王者の死」

秀衡(高橋英樹)がとにかく良かった~。
義経が都落ちのいきさつを語ろうとした時、「何も言うな」と、一言も語らせなかったのがグッと来ました。
「なにもかも見ていてくれた、分かっていてくれていた…」と思うと、義経もここに帰ってきて良かったと心の底から思ったでしょうね。
御館の器の大きさは奥州の自然と同じで、優しくて、強くて、これが父性なんだと実感しました。
それなのに…死んでしまうなんて…(つД`)
もう少し長生きしてくれたら歴史も変わっただろうに…と思いました。

藤原家の3兄弟は配役が絶妙で、特に渡辺いっけいさんはハマリ役だと思いました。
秀衡@高橋さんが臨終の際、目玉を向いて白目を見せていたのが怖いくらいに印象的で、「ピンポン玉に黒丸を描き足したような目だな~」という感想を持ちました。
その後、頼朝からの手紙攻撃でだんだんと憔悴していく様子など、まったく演技に見えず、彼が画面に映るだけで、こちらも不安な気持ちで胸がいっぱいになりました。

その反対に国衡(長島一茂)は落ち着きがあって、彼こそ秀衡(高橋英樹)の再来って雰囲気で、この人が跡を継いだら義経ももう少しは長生き出来たんじゃないかと思いました。
やっぱり苦労知らずの跡取り息子っていうのは頼りないモノなんですね。
弟たちに手をついて協力を仰ぐシーンを見ていると、無邪気でてらいのない性格で良いな…と思ったけど、これはこれで一国の大将としては器が小さすぎます。

吉次から知らされた静の出産と子供の末路…。
義経が夢見た「家族との穏やかな暮らし」を目の前で引き裂かれたように感じたことは想像できます。
あまり深く描かれなかったけど、目元に光る涙で義経の哀しみが伝わってきました。
自分の子にまで手をかけた兄…この時こそ、義経は頼朝と袂を分かつ決意をしたんだと思いました。

今日は丹後局が何気なく光ってました。
義経たちの気を引き寄せつつ、頼朝の機嫌も取る…とかなんとか。
その進言を聞いた法皇サマが目玉をぐるんぐるんと回して思案している様子は滑稽でもあったけど、世を渡る処世術として私にも教えて欲しいと、思わず身を乗り出してしまいました。
番組内ではとりあえず、頼朝の言う通り書状を送っただけで終わってしまったのは残念です。

「義経などいない」という手紙を送った泰衡(渡辺いっけい)を笑うように、「こいつはダメな跡取りだ」という頼朝。
すっかり及び腰になっているトコロを見抜かれているのが心配です。
奥州武士としてかっこよく散っていった佐藤兄弟のツメの垢でも煎じて飲ませたい衝動に駆られますが、来週は60分拡大でついに最終回。
なんかもう、切なくて、今からドキドキです。

義経感想 第47回「安宅の関」

画面を見ているだけで涙ボロボロでした…。・(つд`)・。
まさかこんなに泣ける話に仕上がっていたとは…油断していました。

小屋の中で弁慶が義経に一目惚れした経緯を話しているところがありました。
義経への愛をまわりから冷やかされつつも淡々と語る弁慶が印象的でした。
「一目見た時から家来になりたい」って…まるでプロポーズのようなセリフ(´ω`*)
そんな言葉を聞いた後だったので、よけいに今回の殴打事件は弁慶のつらさが伝わってきました。
義経もそんな弁慶の気持ちを感じ、なされるままになっている姿にまた涙が…。
そしてそんな主従のやりとりを見て、心がどんどん切なさで一杯になっていく富樫の気持ちを蓮司さんは好演していました。

それにしても、まさか笛を見とがめられるとは…。
酔っぱらっているとはいえ富樫の眼力のスゴサに「おおおぉ!」と思いました。
そして勧進を読み上げる弁慶@マツケンさんの貫禄にシビれました。
歌舞伎だと、勧進帳をのぞき込もうとする富樫とそれをすんでのところで阻止する弁慶の見得があるんですが、それをドラマでは省略されていたのは、ちょっと残念。
すんなりと勧進を読み上げてしまったのが、もったいないような気もしました。

巴御前が子供をおんぶして再登場したのには驚きました。
オープニングに名前があるのを見て「え????」と思っていたのですが、まさか普通の村人の奥さんになっていたとは。
この人も世の栄華に身を置いたこともあったのに…。
でも落ちぶれたとは思えなかったです。
それはきっとあの笑顔のせいかな~。
なんだか母になってたくましさが増して、さらにカッコ良い女性になったと思います。

冬山をわらぞうりだけで歩いていく義経一行…。
背嚢にぶらさがった予備のぞうりがよけいに惨めさを演出していました。
薄汚れた衣服、蓬髪、そしてやつれた顔…ついこの間までは都で華やかな暮らしをしていたのに…。
そう思うとさらに胸が締め付けられましたが、来週はどうやら平泉到着ですね。
こざっぱりと着替えて、綺麗な着物の義経はやはり目の保養です。

御館サマの登場で、やっと義経たちに光が当たるのかとおもいきや…すぐに暗雲が迫っているみたいです。
たとえ無理だと分かっていても、彼らが夢見た「新しき国」が現実になることを願ってしまいます。

義経感想 第46回 「しずやしず」

もみじが散りすぎでしたが、静の舞と義経一行の姿が重なる演出はとても面白かったです。
予告を観たとき、正直、静の舞には期待していませんでした。
むしろ「またヘタなモノを観なきゃいけないのだろうか…」なんて危惧していたんですが、とんでもない誤解でした。
静の舞、そして歌がとっても染みてきて感動でした。

「奉納の舞を」と政子が言った時、「装束は? 楽は? 田舎の奉納舞とは違うのよ!」と切り返した静に、「その要望、受けて立つぜ!」と言い切った政子。
そのやりとりを観て、「うはぁ~女の戦いが始まるぅぅぅ」と、ビクビクしていたんですが、まさかの展開!

    静の舞を政子が絶賛するとは!

この時、私のはぁとは政子に持って行かれました゜.+:。(´ω`*)゜.+:。ポッ
女が女を誉めるなんていうのは、演じ方一つで気持ち悪く感じてしまうモノもあるけど、今回の演出はサジ加減が良かったというか、政子のねじ曲がった性格があってこその演出だったなぁ~と思います。
政子を見直した回でしたが、静が良き舞を踊ったのに、殺した子のことをダシにして頼朝さんに「褒美を渡して云々」とささやく政子の毒に、やっぱり「鬼」を見ました。

静の母「磯禅師」、綺麗で強い母でした。
思えば義経と静は長く一緒にいたのに、義経が母に会うのはこの時が初めてだったんですね。
意外っていうか、現代風っていうか…。
娘に干渉しない母なのに、娘の考えているコトはちゃんと把握している…凄いです。
この母の忠告がなかったら、義経たちは都の大路で命を落としていたかもしれないですね。
でも禅師に「手助け無用」と言われて、悔し涙をためる義経の目を見てたら、もらい泣きしちゃいました…(つД`)

静が子供を取られて半狂乱になるシーンもグッときました。
石原さんのうつろな表情は目玉がガラスのように透明度が増して恐い印象になるんですが、そのせいか焦点が合う(正気になる)と凄味を増すので、今回のようなメリハリのある展開にはピッタリだと思いました。
政子に取りすがって、ガーガー言うシーンで、またもらい泣きでした…(つД`)

佐藤弟、絶命…。
次郎が後方で大泣きしているのが哀れでした。


来週はいよいよ勧進帳ですね。
私が初めて見た歌舞伎も勧進帳だったので、この話には思い入れがあります。
どんな展開になるのか、とっても楽しみです。