☆日本人はどこからきたのでしょうか。 ☆
日本人はるかな旅展
国立科学博物館「東京上野公園」で開催
▼日本人とは何だろう?
日本人として生きている私たち。
…が、海外旅行に行くようになると「フィリピン人」だの「ラオスの出稼ぎ人」などに間違われ(私だけか!?)、日本人という自分がすごくあやふやになってしまうことがよくあります。
また「エレクトロニクスが発達した日本はどこにあるの?」と子供に聞かれ、そんな夢の国がユーラシア大陸の端っこにぶら下がっているような島だと言うと、信じられないという顔をされることもあります。
摩訶不思議な国、日本。
今回、この展覧会で本当の日本人を知ることが出来ました。
私たちの祖先がどこから来て、どう生きていったのかが詳しく説明されていて(通常の2倍は説明文がありました)、とても有意義でした。
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▼見学コース▼
■第一章:私たちはアフリカで生まれた
10万年前にアフリカで誕生した新人(ホモサピエンス)の直接の子孫が日本にやってきたのは今から3~4万年前。
この人達が原日本人だそうです。
■このコーナー注目の展示■
▼360万年前の足跡(ラニトリの足跡)
日本足で歩く親子の足形が残る化石の石膏取りが展示されています。
他に樹脂で作った模型もあり、こちらはじかに触ることが出来るので、大きさだの指のくぼみなど触感できます。
おもったより大きくて、よく中国にいると言われる「猿人」の足型に似ています。
▼人類の起源には主に2説あります。
1.アフリカ単一起源説:アフリカで生まれた新人が各地へ拡散していったという説
2.多地域進化説:原人が各地に広がり、同じように新人へと進化したという説
最近ではアフリカ単一起源説の方が優勢だそうです。
●このコーナーに「新人の世界進出地図」が展示されていて、それを見ると、日本列島に新人がやってきたのは4~3万年前でスペインが同じように4万年前。イースター島には1500年前となってました。
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第二章:マンモスハンター シベリアからの旅立ち
人類が寒いシベリアを目指したことが人類史の七不思議の一つだそうです。
マンモスの全身骨格は本当にでかくて、頭もでかいがキバもでかい。
(この壁紙のマンモスが展示されていました)
あの首の骨だけでよく支えられるものだとシロウト考え。
マンモスのキバは平均50~60kgあるそうです。
シベリアにある「マリタ遺跡」は世界的に有名な遺跡だそうです。
今から2万3000年前の集落跡でここからマンモスの狩りに使われた道具など多数、発掘されています。
場所はイルクーツクの北西80kmにあります。
現在は40名ほどの村人が住んでいる小さな村だそうです。
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第三章:黒潮の民-スンダランドからの旅立ち
当時の人々が使っていた木製の丸木船が展示されていました。
以前はこのような木製品は空気に触れるとだめなので、展示されることがあまりなかったのですが、最近は樹脂で覆う方法が採用されているので、近くで観察できるようになりました。
■アジア・後期更新世人骨のコーナー■
▼人骨を出土地別に比べてみると…
ワジャク人(インドネシア)←似ている→港川人←似てない→山頂洞人・柳江人(中国)
←港川1号男性(1万8000年前)の全身骨格をみると、なぜか右足の骨が真ん中でスッパリと切れているので、断面をみることが出来ます。
向かいには4号女性も展示されています。
この港川遺跡(沖縄)は亀裂のように地面が裂けているところにあるようで(写真を見ただけなので詳しくないのですが)、その地面から4体の人骨が発掘されました。
彼らがどうしてこの裂け目に落ちてしまったのか?ちょっと不思議ですね。
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第四章:成熟する縄文文化
このコーナーには縄文最古の人骨と土器が展示してあります。
●縄文最古の人骨-沙音寺洞穴人骨
●縄文最古の土器-隆帯文土器(加世田市)9000~8000年
人骨の方は、本来歯を守るあごの骨が、歯の周囲がぐるっとえぐられているかのように無くなっています。当時、化膿してかなり痛んだことは想像できます。昔は虫歯で悩む人が多かったようですね。エジプトのミイラからも歯槽膿漏など見つかってそれで命を落とす人もいたと言いますから…。
■日本三大縄文遺跡■
▼九州の上野原遺跡-7500年前。
▼三内丸山遺跡-交易をポイントに説明。
▼船泊遺跡-礼文洞島の最北端3000~3500年前
後期の住居跡と墓が残ってました。
ここから出土した人骨を調べてみたら、意外や顔は縄文顔だったそうです。
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第五章:そして日本人が生まれた
弥生人を中心に日本人がどう変わったかを解説するコーナー。
弥生人が入ってくることによって、日本に「アイヌ・本土人・琉球人」という三種類の骨格が存在することになりました。
■縄文人の歯■
縄文人の頭蓋骨を例に解説していました。
下顎をはずして上の歯の形で見比べてみると、スンダドント(縄文系)の形と渡来人の歯シノドント(弥生系)では歯並びの馬蹄形が大きく違うことに気がつきます。スンダドントはいかにも幅広い丈夫そうな歯並びですが、シノドントは幅もせまく、小さい印象を受けました。
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▼石器ねつ造事件の石器たち▼
これは大いに評価出来ることだと思います。
日本の旧石器時代を混乱に陥れたあの事件-石器ねつ造事件の石器をあえて展示し、すべてをさらけ出して、新たに取り組んでいこうという姿勢みたいなものを感じました。
でも展示してある35年前の石器とだまされたモノは、シロウト目にも新しいとわかるんですが…。
農機具が当たった際についた錆など、冷静になって観察すれば、あきらかにおかしいと分かっただろうに、いったい何に騙されていたのですか?と問いかけたくなりました。
■最後に気づいたこと■
昔、教科書で習った日本の原人達…「葛生、三ヶ日、牛川、明石、聖獄」などの原人が、それぞれ時代がずっと若いことがわかったそうです。
中には江戸時代なんてものも…。
■総 括■
人骨が好きな私はちょっと別の意味で楽しんでしまいました。